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オリンピック・パラリンピック、リオ2016大会後から、2020年東京大会までの4年間に開催される文化プログラムがあることを知っていますか?

オリンピック・パラリピックはスポーツの祭典ですが、同時に文化プログラムの開催が定められており、スポーツ競技の開催に先立ち、2016年からスタートします。

その一環が、今回紹介する「TURNフェス」。2016年3月4日(金)~6日(日)に東京都美術館で開催されます。

フェスを通じて多彩な文化プログラムを知る

 

「TURN」とは、多様な人との出会い方、つながり方に創造性を携え働きかけていくアートプロジェクト。

東京2020オリンピック・パラリンピックにおける文化プログラムの先導的役割を果たす「リーディング・プロジェクト」として、2015年にスタートしたもので、芸術文化の創造・発信を推進し、東京の魅力を高める事業を展開する「アーツカウンシル東京」などによって手がけられています。

3日間のフェスでは、16組が参加するエキシビション、4つのセッションが行われるカンファレンスが開催予定。その内容の一部をピックアップして紹介します。

アーティスト×障害者が出会い、生まれた作品やパフォーマンス

エキシビジョンは東京都美術館の展示室で開催。誰でも自由に入ることができ、無料で観覧できます。展示されるのは、インスタレーション、映像、音楽、パフォーマンス、体験型作品などさまざまなアート。

このアートの背景にあるのは、2015年秋より行われたTURNの「交流プログラム」。このプログラムを通じて、アーティストは障害のある人や生きづらさを抱えた若者たち、また家族や支援者と出会い、関わりました。今回のフェスで並ぶのは、その交流の日々の中で生まれたコミュニケーションや気づきをインスピレーションとした作品です。

アーティストとの交流に参加したのは、障害福祉施設だけではなく、フリースクールから生まれたオルタナティブ大学や、新宿2丁目にあるセクシャルヘルスセンターなど。さまざまなバックグラウンドを持つ人の参加が、アートの幅を広げているようです。

例えば、James Jack×ハーモニーによるインスタレーション《The Sea in Between Us》は、人や場の関係に関心を持つアーティストのJames Jackが、就労継続支援B型事業所ハーモニーで心に病を持った人と出会い、彼らと丁寧に過ごした時間を元に作られる作品。

 

【写真】ジェームズジャックの2015年の作品、高松、那覇、航海。 部屋の床一面に様々な海の写真が敷き詰められている。

参考作品:James Jack《高松-那覇、航海》 2015 年

また、五十嵐靖晃×クラフト工房La Manoによる展示《New Horizon》は、地域の人と協力して景色を作り変えるような表現をしてきたアーティスト五十嵐靖晃が、一般就労が困難な人たちが生き生きと働ける場として設立されたクラフト工房La Manoのメンバーと共に染めた糸を用い、作り上げるもの。

【写真】大きなバケツに入った染料で糸を染める二人のプログラム参加者。

五十嵐靖晃×クラフト工房La Manoによる交流プログラム

「福祉施設」や「自立支援施設」といった言葉を聞いたことはあっても、実際にどのような活動をしているのかはなかなか知る機会がないと思います。この展示は、彼らがどういった活動をしているのか、そしてどんなポテンシャルを秘めているのかを、知ることができる展示となるようです。

「人」「場」「アイデンティティ」をテーマに4つのセッションが開催

カンファレンスは、5日、6日の2日間、東京都美術館の講堂にて13時と15時から計4回行われます。各回200名先着順、無料で参加でき、事前予約は不要です。

カンファレンスは「TURN」という言葉を手がかりに、多様な経験や価値観を共有する対話の場。各セッションでは、アート、福祉、教育、科学など、多彩な分野からゲストを迎え、「人」「場」「アイデンティティ」をテーマに、これからの課題を共有していきます。

例えば、5日(土)15時から開かれる「人といる場を作る実践」では、福祉の現場、アートの現場、その両方を横断しようとするTURNの取り組みについて、三者三様の「場づくり」の試みについて紹介し、語り合うもの。

また、6日(日)13時から開かれる「“その人らしさ”について考える」では、「多様なあり方」のマネジメントに関わる実践者が集い、それぞれの経験から、無理のない「その人らしさ」の可能性を探るもの。

各カンファレンスとも、実際に福祉やアートの現場にいる人が、どのような「今」を見て「未来」を描いているのか、分かりやすく解説が聞ける貴重な機会となります。

 

「出会い」が変わる、「出会い」を楽しむ

この3日間は、東京2020オリンピック・パラリンピックまで続くプロジェクトが行う、フェスの第一回目。

このところ、精神障害やフリースクール、LGBTなどの言葉を聞くことが増えていると私自身感じているのですが、実際どんな人がいるのか、その場所でどんな生活があるのかということを直接知る機会は、今までありませんでした。なんとなく遠いところにある世界と思ってしまっていたのだと思います。

このイベントのように、そういった人々のことを美術館で知ることができるというのは、なかなかない機会です。「出会い」が変わる、「出会い」を楽しむというテーマの通り、その経験は、日常の視点を変え、社会で一緒に生きる人として、彼らとの距離が縮まるきっかけになるのではと思います。

【TURNフェス開催概要】
・正式名称:TURN フェス
・会 期:平成 28 年 3 月 4 日(金)~6 日(日)
・会 場:東京都美術館 公募展示室 1 階第 2・3 展示室、講堂(東京都台東区上野公園 8-36)
[エキシビション]
・会場:東京都美術館 公募展示室 1 階 第 2・3 展示室
・観覧料:無料
・開室日時:3 月 4 日(金)~6 日(日) 9:30~17:30(入室は閉室の 30 分前まで)
[カンファレンス]
・会場:東京都美術館 講堂
・参加費:無料 / 事前予約不要 各回先着 200 名 / 手話通訳あり、車椅子席あり
・開催日時:3 月 5 日(土) 13:00~14:30、15:00~16:30 / 3 月 6 日(日) 13:00~14:30、15:00~16:30
・主 催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人 Art’s Embrace
・協 力:東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」
・公式 URL: http://turn-project.com/event/27