【写真】笑顔で並ぶ登壇者4人

1月31日に「多様な人が暮らしやすい社会をつくるには?〜ダイバーシティについて考えよう〜」を開催しました!

今回はドコモ39worksのプロデュースにより、国や地域、世代を超えて人々がよりあんしん・安全かつ快適で豊かに暮らすことができる社会の実現をめざしているNTTドコモと、社会的マイノリティを含むすべてのひとが生きやすい社会をめざして活動する「soar」が、多様なひとたちが暮らしやすい社会をつくるために私たち一人ひとりができることを考える場をつくりました。

【写真】イベントの案内板

【写真】参加者同士で議論する様子。どのグルーオプも笑顔を見せながら、リラックスした様子で話し合っている

会場は、スタートアップやイノベーション機会の発掘に取り組んでいるNTTドコモ・ベンチャーズのオフィス。広くて、機材も揃った会場でイベントを開催することができました。

なんと、参加人数の定員50名はたった1日で埋まってしまうほどの関心の高さ!当日は、学生から社会人まで幅広い年代の方々が参加してくださいました。

全てのひとが自分の可能性を活かして生きる未来を

【写真】くどうが、真剣な表情で話している

まずはじめに、NPO法人soar代表であり、人の可能性が広がる瞬間を捉えるウェブメディア「soar」編集長の工藤からsoarを紹介させていただきました。

工藤:人は誰でも生まれたときから、内側にエネルギーや可能性を持って生まれてきていると思います。でも障害や病気があったり、今の社会の仕組みのせいで自分の力を発揮できない人たちがいる。soarは、そういった人たちが「社会的マイノリティ」なのではないかと考えています。デザインやテクノロジー、ビジネス、一対一のコミュニケーションなどを用いて、彼らの可能性を広げている事例を紹介していくのが「soar」です。

2015年12月にリリースし、これまで100以上の困難を抱えるひとたちをサポートする活動を記事として紹介してきました。

工藤:総務省の調べでは、何かを自発的に調べる際にインターネットを使うひとは約7割と圧倒的多数。インターネットを使えば、いつ、だれが、どこにいても情報を調べることができますよね。なのでsoarは、インターネットをとおして、困難を抱えるひとと素晴らしいサポートを提供している活動を結びつける媒介者の役割をしていきたいと思っています。

今後はウェブメディアを軸として、企業や教育機関、行政など様々なセクターとの協働を生み出していきたいと考えています。

soarが目指すのは、どんな困難に直面しても必ずサポートが提供される社会。そして、それによって全てのひとが自分の可能性を活かしていきいきと生きることができる社会です。

日本の社会が発展しない限り、会社が発展しない

【写真】かわさきさんが、スライドの前で参加者に向かって話している

次に、NTTドコモCSR部長の川﨑博子さんから、NTTドコモとしての思いやCSR活動に関する紹介がありました。
今回NTTドコモとイベントをご一緒するきっかけのひとつとなったのが、CSR活動の一環として放送しているTVCM。「世界は、ひとりの複数形でできている」というメッセージを伝えるためにリリースされた「For ONEs」という90秒の映像です。

白杖を持って歩く視覚障害の方、レズビアンのカップルや妊婦、高齢者、子どもなど様々なひとが次々登場していきます。まさに、イベントのテーマである「多様性」が表現されています。

川﨑さん:企業のなかで多様性というと、女性、人種、LGBT、障害などが挙げられると思います。多様なひとが働いていることをどうやって企業の経営の強みに変えるのか。それによって企業が成長するだけでなく、どう社会を豊かにしていくのか。それが私たちが取り組んでいかなければいけないことだと思っています。

川﨑さんは、社会をよりよくしていくために、企業が持っている役割は大きいと考えています。

川﨑さん:ドコモはお客さまのほとんどが日本の方々。当然、日本の社会が発展しない限り、ドコモが発展しません。なので、暮らしのなかでの課題は感じられるものは、私たちが解決していかないといけない。これまで日本で人と人のコミュニケーションを支えてきたドコモだからこそ、一人ひとりの生き方や多様性を受け入れ、それを人生の豊かさ、社会全体の豊かさにつなげていきたい。そういったメッセージを込めて、「For ONEs」の映像を制作しました。

今後はFor ONEsで描いたメッセージをドコモ社員と共有するだけではなく、広く日本のなかで知っていただく取り組みにしていきたいと考えているそうです。

相手が自分と違ったとき、違いに寛容になることが大切

【写真】おおたさんが、笑顔で話をしている

2組目のゲストには、『人の意識を最も変え得るのはエンターテイメントだ』というポリシーのもと、自身もゲイであることから「ちゃんと面白いけど、さりげなく多様なセクシュアリティへの理解が深まる」ことをめざしてLGBTについて情報発信をする「やる気あり美」代表の太田 尚樹さんが登場!

まずはじめに「会場にいらっしゃるみなさんのなかで、周囲にLGBTの人がいるっていう方はどのくらいいますか?」という太田さんの質問に、12人もの手があがりました。LGBTに関して詳しいと自負されている方も多いなか、太田さんのトークが始まります。

LGBTに関する基礎知識からスタートし、自身が10代のときに友人と恋愛の話ができず苦しかったこと、大学時代の友人へのカミングアウトでの経験などの様々なエピソード。そして企業に入社し、より広くなった人間関係のなかで、周囲の人にLGBTであることを受け入れてもらうことの難しさを知った太田さんがはじめたのが、やる気あり美の活動です。

太田さん:今、LGBTについて理解してもらおうという活動はたくさんありますが、それだけだとLGBTに愛着を持ってもらうのが難しいなと思ったんです。それで「世の中とLGBTのグッとくる接点をもっと」というコンセプトで、アーティストなどコミュニケーションが好きなメンバーで活動を始めました。

こちらはやる気あり美が昨年リリースした、ゲイである男性の思春期の恋愛を描いた作品。10代の若者が、セクシュアリティにかかわらず自由に恋を楽しめるような空気をつくっていきたいという思いがこめられています。

多様性ある社会をつくるために、何ができるのか

【写真】おおたさんとかわさきさん、そしてモデレーターのくどうが話す様子
その後はsoarの工藤がモデレーターをつとめ、太田さんと川﨑さんとのトークセッション。

川﨑さんの胸元には、「私はLGBTを理解し支援する気持ちがある」という意思の証明である「アライ」のバッチが。NTTグループではこのバッチの作成や、LGBTに関する研修を開催するなど、社内でのLGBTへの理解を深めようとしているそうです。

日本でLGBTは13人に1人いるといわれており、友人関係だけでなく共に働く仲間のなかにもカミングアウトできず悩んでいる人もいるかもしれません。もし同僚がカミングアウトしてくれたとしたら、どんな風に受け止めればよいのでしょうか。

【写真】マイクをもち、にこやかに話すおおたさん

太田さん:僕はアライのバッチをつけてくださってるだけでも、勇気付けられるし嬉しいですね。もちろんLGBTのなかにも、いろいろな人がいます。カミングアウトされたときにどう反応するのが傷つけないのか、と悩んでいる方も多いと思います。でも、LGBTの知識がないとしても、私はLGBTを受け入れたい意志があるということを伝えてくれることが重要だと僕は思うし、それだけでもすごく安心します。

それを受けて川﨑さんからは、「多様性」というテーマに対してどう企業として取り組んでいくかが話されました。

【写真】横に座っているおおたさんの方を向きながら、笑顔で話すかわさきさん

川﨑さん:同質のひとばかりで働いていても会社は強くならない。イノベーションを起こすには、様々な人が集まって知恵を出し合わなければいけません。そのためには、みんな自分が会社に受け入れられている存在なんだという実感が必要ですね。なのでダイバーシティを競争力の源泉とするのであれば、ひとりひとりが「違いを受け入れていく」という考えが、トップから新入社員までがわかっているという状態をつくらないといけません。

最後に太田さんから、これまでの活動を通して見つけた多様性がある社会をつくるためのヒントを教えていただきました。

太田さん:多様性のある社会のためには、相手が自分と違ったとき、その違いに寛容になることが大切だと思います。心がけるとそれが習慣になっていくので、まず寛容になる練習をすること。そして、自分たちが共感されなかったときに、さらに共感を求めて手を伸ばすというのも大事です。僕たちは多様性をテーマに活動しているのに、自分たちが共感されなかったときに拒絶してしまってはダメだと思うんですね。

それぞれの立場から多様性ある社会を目指した行動を

終了後は、参加者の皆さん同士で「多様性ある社会をつくるために、私が感じている課題意識。それに向かって私がしたいこと」をテーマにディスカッション!

【写真】4人組になった参加者らが、真剣な表情で話している

【写真】ある参加者の話を、身を乗り出しながら笑顔で聞く参加者

【写真】グループディスカッションの全体写真。どのグループもそれぞれ盛り上がっている

LGBTだけでなく、障害や病気、介護や子育てをしながら働くことなど、参加者の皆さんの関心も様々。熱量高いディスカッションタイムとなりました。

違いに寛容になること。
相手との違いを楽しむこと。
相手に想像力を持つこと。

今回のイベントでは、多様なひとが暮らしやすい社会をつくるための鍵となるワードがいくつも出てきました。得られたヒントを活かし、それぞれの立場から多様性ある社会を目指し行動していきたいと思います。

(写真・モリジュンヤ)