みなさんはお気に入りのファッションアイテムはありますか?

新しく買った服を身にまとうだけで、いつもの風景が少し色鮮やかに見えてくる。そんな経験はないでしょうか。

朝、お気に入りの服を着たとき。ハレの日に特別な衣装を着たとき。

ファッションはわたしたちの日常に彩りを与えてくれます。

でも実は、病気や障害などによりボタンが留められなかったり、車椅子に座ったままでの着脱が難しかったりして、オシャレを諦めてしまう方も多いのです。「オシャレな服を着たい」という気持ちは誰だってきっと同じ。今回みなさんにご紹介したいのは、これまでのsoarでもご紹介したユニバーサルデザインのファッションです!

靴ひもを結ばなくてもスニーカーを楽しめるZubits

体に不自由がある方や妊婦さん、高齢で屈むのが辛い方でも、お気に入りのスニーカーを履いて出かけられるようにと考えられた「Zubits」。

Zubitsを装着すると、靴ひもを結ぶ・解くという作業をしなくても簡単に靴の着脱ができるようになります。使い方はとても簡単です。靴紐をZubitsに装着したら、真ん中でパチンと止めるだけ。Zubitsには強力なマグネットが埋め込まれており、簡単に脱げることはありません。

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ここがポイント!
◆シーンに合わせて付け替えが可能
ZubitsはSサイズからLサイズまで揃っています。サイズによってマグネットの強度も変わるので、足のサイズはもちろん運動強度によってサイズを選ぶこともできます。

◆完全防水で耐久性にも優れている
雨の日でも晴れの日でも。天気に関係なく、どんなシーンでもお気に入りの靴を履いて出かけることができます。また、簡単に取り付けられるので、靴を買い換えても半永久的に使用することが可能です。

いくつになってもオシャレを楽しみたい!デニムの産地岡山が産んだプラスパッドジーンズ

プラスパッドジーンズをつくる「Action for Universal design(以下AUN)」は高齢者や身体に障害がある人でも、おしゃれを楽しむことができるファッションプロジェクトです。介護・福祉用品と聞くと、機能面に特化したものとイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、AUNでは機能面だけでなく、デザイン性にも優れた介護用の服をつくることで、介護を受ける人もサポートする人も、前向きな気持ちになることを目指しています。

ジーンズの側面についている持ち手が、介護する側と受ける側の負担を和らげてくれます。

プラスパットジーンズは、世界初の「骨折を予防するジーンズ」!高齢になると、どうしてもつまずいたり転んだりしやすく、寝たきりになる方も多いそうです。そこで、AUNでは衝撃吸収パッドを大学と共同開発し、ジーンズの腿の部分に装着。転んでも骨折しにくいジーンズを実現しました。

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ここがポイント!
◆おむつや膝サポーターの上から履いても違和感のない設計
脚、腰まわりに適度なゆとりを持たせたデザインなので、おむつや膝サポーターのシルエットが目立ちません。また、ウエストはゴム使用で着脱もスムーズです。

◆岡山という土地を生かしたプロダクト
AUNは岡山にある企業です。そのため、介護用ファッションプロダクトも、岡山の企業とともに製造したいと考えていました。そこで、岡山は日本でも有数のデニムの産地であることに着目し、プラスパッドジーンズをつくることに。地場産業を盛り上げたいとも考えているそうです。

ALS患者である武藤将胤さんが手掛けるボーダレスなファッションブランド01

01」は病気や障害を抱えていても、快適にカッコよく着られるボーダレスウェアのファッションブランドです。

ブランドを立ち上げた武藤将胤さんはALSという難病の当事者。ご自身も病気を発症してから、ボタンを留めることや、ジップをあげることができなくなり、着られなくなった服はたくさんあるそうです。そんな経験をもとにつくられた「01」には全ての人がオシャレを楽しむための、さまざまな工夫がなされています。

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ここがポイント!
◆スウェット素材であってもカッコよく着れる上質なものを
着脱しやすいスウェット素材はカジュアルな雰囲気になりがちです。しかし「01」では、シンプルながらも形や色にこだわることで、大人っぽい着こなしになるようなデザインに仕上げられています。

◆日常生活を送りやすいようにと考えられた機能性
ボタンのかわりにマグネットを使用し簡単に着脱ができたり、右腕にICカードのホルダーをつけることで、改札や自動販売機での支払いをスムーズにするなど、誰もが快適に日常を送ることができる工夫がなされています。

ピープルデザインをかかげるファッションブランドtenbo

「年齢、国籍、性別、障害の有無問わず誰でも着れる服を世界へ」というコンセプトのもと、着るひとを笑顔にする服を生み出すファッションブランド「tenbo(テンボ)」。ブランドを手掛けるのはファッションデザイナーの鶴田能史さんです。

短いサイクルで衣服が大量生産、大量消費されていく現代。しかし、鶴田さんは唯一無二を作り上げたいと考えていました。ある日、車椅子を使うおばあちゃんに服を着てもらおううとしたときにボトムスを履くことが難しいと気づきます。そこで、着せやすくて機能性がある、おしゃれな服を作ろうと決意したのがはじまりだったそう。

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ここがポイント!
◆ファッションで差別偏見をなくしたい
障害の有無に関わらず、みんながオシャレを楽しめるよう、機能性はもちろん、ファッション性も高い服をデザインしています。また「差別や偏見の問題も、ファッションで表現できるはず」という思いから、障害や病気をテーマにした服を製作。たとえば点字を一つの柄として取り入れたネクタイやシャツ、義足をファッションの一部として魅せるような服をつくっています。

◆2015年3月 東京コレクション「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」デビュー
tenboのショーでは、もともとモデルとして活躍している人だけでなく、障害のある人をモデルとして同じ舞台で起用。東京コレクションでもこの試みはtenboが初めてであり、世界中で話題を呼びました。

車椅子でも気軽に着物を楽しめる「羽衣スタイル」

羽衣スタイル」では車椅子の方でも座ったままで簡単に着つけができる着物を制作しています。発起人は、ヘアメイク・着付けなどでこれまで1,000人以上の花嫁を手掛けてきた中島明子さんです。

1,000人以上の結婚式を担当する中で、式を挙げる車椅子の方が一人もいなかったことに疑問を持ち、「私が車椅子の方でも着られる婚礼衣裳を作ろう!」と思い立ったそうです。

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ここがポイント!
◆座ったままでの着脱が可能
上半身と下半身をセパレートすることによって、車椅子に座ったままでも着付けができるように。障害の度合いによっては、お尻を上げることが難しい方もいるため、下部はエプロン式を採用しています。

◆全国の方に着てもらえるように
羽衣スタイルの着物を着てみたいという全国の方へ、配送サービスも行っています。説明を読んだだけでご家族や介護士の方が着付けができるよう、腰ひもをマジックテープで代用するなど、着付けに伴う複雑な工程もシンプルにしているのです。店舗に足を運ばなくても、誰でも、どこでも簡単に着付けができるようにと工夫が凝らされています。

みんなでオシャレを楽しむユニバーサルデザイン

すべての人の使いやすさを考えたユニバーサルデザインのファッション。障害がある人もそうでない人も、ファッションを楽しむことができるようにと考えられたデザインには「カッコよさ」だけではなく、作り手の「やさしさ」が詰まっています。

そんな「やさしさ」があるデザインだからこそ、わたしたちはそのファッションに大きな魅力を感じるのかもしれません。

誰もが自由にオシャレを楽しむことができる、そんなプロダクトが社会へもっと広がるといいなと思います。

ご紹介したファッションアイテムは、オンラインショップで購入することができるものもあります。思わず笑顔になる素敵なアイテムを、ぜひ見てみてくださいね!

関連情報

・Zubits ホームページ
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・Action for Universal design  ホームページ
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・BORDERLESS WEAR 01  ホームページ
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・tenbo  ホームページ
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・羽衣スタイル  ホームページ
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