笑顔でこちらを見ているながたさん

あれ、なんだかこれまでと違う……?

現在43歳の私が自分自身の体調の変化に気づき始めたのは、30代も半ばをすぎた頃だったと思います。食べたら太りやすく、痩せにくくなった気がするし、睡眠不足の疲れも取れにくい。まぶたはゆるみ、一重だった目がいつの間にかくっきり二重になっていて、久しぶりに会ったいとこに驚かれたこともありました。

そして迎えた40代。白髪が増えて目立つようになったし、自信をもっていた視力にも変化があり、ついに先日、老眼鏡を購入したところです。

いよいよ私も、更年期に入るんだ……

白髪ならカラーを入れてイメージチェンジのきっかけに、老眼は今まで使う機会のなかった素敵なメガネを探すチャンスに、とたいていの変化は前向きに捉えて乗り切れると思っている私も、この「更年期」という言葉を前にすると気持ちが揺らぎ、ひるんでしまいます。

女性の閉経前後に訪れる「更年期」。この時期にはホルモンバランスの乱れから、さまざまな体調不良が現れることがある。この体調不良が重い場合には、生活に支障をきたすほどになることもあり、それは更年期障害と呼ばれる。

私が、更年期について知っていたのは、基本的な知識のみ。そもそも更年期について、ポジティブな情報や体験談を目にしたことはありませんでした。そればかりか、更年期障害がきっかけで会社を辞めるという選択をした知人の話も聞いていたし、メディアで目にする更年期障害に効くという漢方薬のCMなども、前提として「大変」「でも、避けられない」という重いイメージがつきまとうように感じていたのです。

しかし今、「更年期の影響は人それぞれ。正しく更年期を理解し、対処法を知っておけば、前向きに乗り越えることもできる……?」そんな風に、私の更年期への見方、考え方は、大きく変わり始めています。きっかけは、『はじめまして更年期〜40代からの不調が消える心と体のプチ習慣』という一冊の本です。

著者である永田京子さんは、自身の母の更年期障害や、フィットネスインストラクターとして女性の更年期にまつわる悩みを聞いてきた経験をきっかけに、NPO法人「ちぇぶら」を設立。現在、更年期トータルケアインストラクターとして企業や個人に向けた更年期の情報発信を行うとともに、更年期障害の症状をやわらげることをめざしたフィットネスの指導等を続けています。

更年期は、人生の大きな転機の一つ。正しい知識と判断で乗りこなさないともったいない!

そう発信を続ける永田さんに、更年期との向き合い方を教えていただき、不安を少しでも和らげたい。そんな思いで、永田さんにお話を伺いました。

母との衝突、家を飛び出した高校時代。「あれは更年期障害だった」と気づいた、30代とそれから。

女性たちが更年期障害で傷つく前に、更年期の迎え方、向き合い方を伝えてサポートしたい。

永田京子さんがそんな思いのもと活動を開始したのは、2014年のこと。これまで企業や医療機関、官公庁など、国内外で述べ2万人に講演やワークショップを実施してきました。しかし2014年当時、永田さんはまだ30代。にもかかわらず、この問題に強い関心を抱き、活動をはじめた背景には、どんな思いがあったのでしょう。

生き生きとした表情で話をするながたさん

私は高校2年生のとき、母が更年期障害に伴ううつになった、という経験があるんです。もともとは鼻歌を歌っているか踊っているかどちらか、みたいな(笑)、ギャグの絶えない明るい性格の母だったんですが、いつの間にか人が変わったようになってしまって。

心理的にもとても不安定になり、思春期だった私は母とひどくぶつかってしまうようになりました。ついにある日、「あんたなんか産むんじゃなかった、あんたを殺して私も死ぬ!」って、追いかけられたんです。

それから、母から逃げるように友人宅に居候するようになり、生まれ育った兵庫県を離れてそのまま東京で暮らすことになったという永田さん。母と物理的な距離を保ったことで日々のストレスはなくなったものの、この出来事は長く心に影を落としたと言います。

母親という絶対的な存在から「産むんじゃなかった」と言われたことで、全細胞を否定されたような気持ちになってしまったんですよね。私、生まれるべきじゃなかったのかな、存在意義がないのかな、って。今となっては笑って話せることなんですが、まだ若くて自信が持てなかった自分には、結構こたえる体験でした。

しかしそこから13年後の30歳になったタイミングで、永田さんに大きな転機が訪れます。それは産後ケアのインストラクターとして体操などを教える活動をしていたとき。たまたま依頼を受け、ミドル世代女性のための連続講座の講師を務めると、参加した40代、50代の女性たちから、こんな会話が聞こえてきたのです。

「更年期でイライラして、つい家族に当たっちゃうのよね」

「そうそう、とくに娘にきつく当たっちゃって。ダメだってわかっているから、あとで落ち込んじゃうのよね」

その話を聞いた瞬間、バチっと記憶がつながりました。「そうか、あの時の母は私が嫌いだったわけじゃなく、更年期障害だったんだ。誰にもサポートしてもらえず、苦しんでいたんだ!」って。

そこから更年期の人たちに対する日本の社会的サポートの現状を調べ、満足な支援体制がないと知った永田さんは、「ならば自分でつくろう!」と舵を大きく切っていきます。自身も学べば学ぶほどに、「私たちはもっと、更年期について理解するべき」との思いを深めていきました。

とりわけ伝えたいと考えたのは、日本では不安材料としてばかり考えられている更年期も、英語では「change of life」(人生の転機)と呼ばれ、前向きに捉えられている、という事実。活動拠点となる団体名も、この言葉の音から発想し、「ちぇぶら」と名付けました。

更年期についてスライドを使用して説明をするながたさん

英語で閉経や更年期をメノポーズ(menopause)というのですが、欧米諸国では「ハッピーメノポーズ!」とまるで誕生日を祝うようにおめでたいものと捉える風潮があるんです。たしかに、閉経になればこれまでPMS(月経前症候群)に苦しんでいた人もこの悩みから解放されますし、女性ホルモンが分泌されなくなることで子宮筋腫が小さくなったり、乳がん・子宮がんの発症頻度が減っていくなど、女性特有の病気のリスクが下がるというメリットもあります。

日本でも、更年期を「避けられない困難」ではなく、「心や身体と向き合うチャンス」と考えられる社会にしたい。そのためにはまず、更年期とはどういうものかを社会全体で理解したうえで、傷つきを抱える前に更年期に向き合える方法を伝えていきたいと思ったんです。

誰にでも訪れる更年期。「ホットフラッシュ」だけじゃない、多様な症状が我慢や見過ごしの一因に

では更年期はどのような時期を指し、どんな体の変化が現れるのか。そしてよく耳にする「更年期障害」とはいったい何なのか。永田さんに詳しくご説明してもらいました。

まず、女性の更年期とは閉経前後5年ほどの時期を指し、日本人なら平均45歳以降55歳ごろまでに迎えるものと言われています。

この時期、女性ホルモンの急激な減少によって女性の約90%が心身にさまざまな不調を感じるとされ、他の病気を伴わない更年期を原因とした不調を「更年期症状」、その不調が日常生活に支障をきたすほどのものである場合を「更年期障害」と表現します。

では、更年期に感じる不調である更年期症状には、どのようなものがあるのでしょう。

更年期症状についてひとことでいうのは、とても難しいですね。一般的に語られることの多い「ホットフラッシュ(運動をしていないのに急にカーッと熱くなり、汗をかく症状)」をはじめ、不眠、倦怠感、肩こりや頭痛など、バリエーションは実に200〜300種類にものぼると言われているんです。

この「更年期症状の多様さ」が、更年期症状・更年期障害と気づかずに我慢したり、不調が解決しないままさまざまな病院を渡り歩いてしまう「ドクターショッピング」の一因になってしまうこともある、と永田さん。

私の母も当時を思い返すと、まさにドクターショッピングをしてしまっていたんです。目の乾きがひどいから眼科に行き、薬を処方されたけれどうまく飲み込めないほど喉の粘膜が乾燥していたことに気づいて次は耳鼻咽喉科を受診。けれど、症状は良くなりません。実は、これらの粘膜の乾燥は更年期症状だったんです。このとき、母が行くべき診療科は婦人科でした。

一方で、更年期障害だと思っていたら、別の病気が隠れている可能性もあります。「最近疲れやすいのは更年期だからかしら」と思っていたら、甲状腺の病気が隠れていたり、喉の渇きの裏には糖尿病が隠れていたなんていうこともあります。なので、患者になりうる私たちが更年期について事前に正しく知っておくことは人生を守るためにもとても大切なんです。

また、「更年期は女性だけでなく男性にも訪れる」という事実も見過ごされがちです。

男性も40〜60代を中心に男性ホルモンの減少という更年期が訪れ、更年期症状が現れます。女性に比べて症状が出る時期や期間がはっきり決まっておらず、長期間続く場合もあり、注意が必要です。そして男性の更年期障害の担当科は泌尿器科、病院によっては男性更年期外来やメンズヘルス外来があるということも、あまり知られていないかもしれません。

「これくらいで病院に行くのは大げさでは?」とためらう方のためには、受診の必要性を判断する目安としては、日本人医師が考案した「簡略更年期指数(SMI)」というチェックシートがあるのだそう。

まずどれだけ指数の数値が出るか、試してみるのもおすすめです。

簡略更年期指数のシートの画像。顔がほてる、汗をかきやすいといった10つの更年期症状に対して、それぞれ自身の程度を強、中、弱、無から選んでチェックをし、合計点数を算出する。点数に応じて更年期症状に評価がされ、異常なしなのか、受診すべきか、治療が必要なのかなどの記載を参考にできる。

NPO法人ちぇぶらのウェブサイトからもダウンロード可能な「簡略更年期指数」
出典:小山嵩夫更年期・閉経外来-更年期から老年期の婦人の健康管理について-,日本医師会

更年期障害を引き起こす3つの要因と、我慢せず付き合うための予防・対処法

更年期は、男女さえ問わず誰にでも訪れること。45歳を過ぎて体調不良が続くようであれば、「更年期障害」または、それと間違いやすい病気が隠れている可能性を考え、女性は婦人科、男性は泌尿器科への受診を──。これが永田さんが伝える、「更年期障害を見過ごさないために気をつけたいポイント」でした。

こうした心構えに加えて、永田さんがこれまで活動のなかで力を入れて伝えてきたのが、更年期障害になる前からの「予防」につながる体調管理や、更年期障害が重くなる「要因」にアプローチする対処方法です。

私が出会った方のなかには、更年期障害が重かったために仕事を辞めたとか、もう薬を10種類以上飲んでいる、という方もいました。もちろん、必要な治療は受けるべきだけれど、そうなる前に対処ができ、前向きに乗り越えることができたら、それに越したことはないですよね。

永田さんがそう思い至ったのは、更年期の心境や行動を知るべく実施したアンケート※の結果をまとめたことから。

一般的に、90%の人が更年期に不調を感じ、4人に1人の女性が更年期障害を抱えると言われているにも関わらず、55歳以上の女性1014名からの回答を見ると、「(更年期症状や更年期障害を)我慢してやり過ごした」という答えが大半だったんです。

ある女性にアンケートをお願いしたところ、「更年期は暇な人がなるものだ」という回答をいただいたこともありました。女性たちのなかでもまだまだ、「気合いで乗り切らなければいけないもの」「自分でなんとかすべきもの」というイメージが根強いんだな、と感じた体験でしたね。

※NPO法人ちぇぶら「更年期経験者1014名アンケート」

では、誰にでも訪れる更年期症状が、重い「更年期障害」となってしまう要因は、どこにあるのでしょう。永田さんは主に「身体的要因」「心理的要因」「環境要因」の3つに分けて説明してくれました。

・身体的要因……女性ホルモンの急低下と、自律神経の乱れで起こってくるさまざまな症状によるもの。

・環境要因……介護、子どもの巣立ち、仕事で責任ある立場になるなど、身の回りの環境変化がきっかけとなるもの。

・心理的要因……繊細さや真面目さなど、本人の気質が更年期障害にも関係する、とする考え。

そして、これらの要因に一つずつアプローチすることで更年期の苦しさをやわらげよう、というのが、ちぇぶらの取り組む「更年期サポートプログラム」です。

正しい知識を身につけたうえで、身体的要因には毎日続けられて体力づくりにもなる「運動」を、環境要因には人生の転機を俯瞰して見つめ直す「ライフキャリアデザインワーク」を、心理的要因には語り合い支え合える「コミュニティ」をと、一つひとつのマイナスの可能性をプラスに転じていけるようなプログラムの研究・開発・普及を、医師の協力をあおぎながら行なっています。

なかでも、誰もがすぐにでも取り組めるものとして、永田さんがすすめるのが「運動」なのだとか。

女性ホルモンの急激な減少がきっかけで発生する「自律神経の乱れ」は、運動することによって大いに改善することが報告されているんです。運動と鎮静の時間を日常的に取り入れ、「正しい自律神経の働き」の状態をつくっておけば、更年期の自律神経の乱れによる不調が改善され、諸症状が緩和される、というわけです。これなら、いきなり薬を飲む必要もないし、より多くの人が実感とともに取り入れられる習慣だと考えました。

どんな運動をするかはそれぞれお好みのものでOK。ただ、「何をしたらいいかわからない」「運動する時間が取れない」という人が多いのがこの世代の女性たちの実情です。そこで、私が十数年続けてきたフィットネスインストラクターのキャリアを生かして、オリジナルの「ちぇぶら体操」を開発しました。

この体操は、毎日やらなくてもいい、1日0〜3分でもいいですよ、と伝えているんです。3日坊主でやめてしまっても、またやりなおせばいい。そうして40代のうちからゆるやかにでも運動習慣をつけておくことは、更年期の先の老年期に向けた体力づくりとしても役立ちますから。

YouTubeチャンネル「ちぇぶらチャンネル」内でも紹介している「ちぇぶら体操」

朝、目覚めてすぐにできる10秒ストレッチや、台所で料理をしながらできるスクワットなど、短時間のシンプルなメニューに仕上げた「ちぇぶら体操」。セミナー参加者67名にこのエクササイズを行ってもらった前と後で「簡略更年期指数」を調べたところ、運動後にはこの指数が平均して下がり、継続している受講者のなかからは「気持ちが安定している」「睡眠薬の服用が減った」という声が届いたのだとか。

この体操と、もたらされた結果について2017年、カナダのバンクーバーで開催された国際閉経学会で発表したところ、予想以上の反響があったと永田さんは話します。

欧米は日本と比べて、更年期の症状に対して薬を服用する方が多いと言われています。症状に悩む方が治療を受ける体制が整っているのは良いことである一方、治療が行き届いているがゆえに予防に目が向いてこなかった、という側面があるようで、体操という考え方に注目していただきました。私たちにももっとできることがあるのかもしれない、と、海外展開という次なる目標を見つけられた機会でしたね。

講座にてたくさんの参加者に体操を教えている様子。参加者は手を上に上げている

講座にて体操を教えている様子(提供写真)

更年期は必ず終わるもの。先を見通すことで、「不安から解消された」との声も

こうして、2014年からのべ2万人以上に更年期との上手な向き合い方についての情報や、予防のための実践メニューを届け続けてきた永田さん。「ちぇぶら」の名前の由来通り、講座を通してこれまで多くの受講生たちの「change of life(更年期・人生の転換点)」な瞬間を目にしてきたと話します。

たとえば、私たちが開発した「ライフデザインワークシート」を使って今後の人生プランを考えるワークを行なったところ、「私の人生、まだ50年あると実感できました」と話していた受講生がいらしたんです。その方はその後、50歳を前に事業を立ち上げ、ウェブの制作事業を始められています。

新しい趣味を始められた方もいますね。更年期は自分にストレスをかけないほうがいい、ならば今まで我慢してきた自分の好きなことをやり始めよう、とマラソンを始めたり、登山に挑戦したり。結果、そこで友達もできて世界が広がって、「今、すごく楽しい!」っておっしゃっていました。

もちろん、そこまで華々しい変化じゃなくても、更年期について知ることで、「周りに迷惑をかけているのでは」と思い込んでしまう自分の不安から解放されたという感想はとても多くいただきます。

そしてもう一つ強調したいメッセージは、「更年期障害で追い詰められた方も、時期を過ぎれば必ずトンネルは抜ける」「終わりは来る」ということ。

私の知人で、更年期による不調がある中で「周りに迷惑をかけちゃいけない」と、続けてきたお仕事を更年期にやめてしまった方がいました。心身が弱っていると、自分に自信が持てなくなったり、この苦しみが永遠に続くような気持ちになったりしますよね。責任感の強い人ほど、つらい状況になることもあるかもしれません。しかし、更年期による不調には必ず終わりがあるんです。明けない夜がないように、終わりのない更年期はありません。

女性は更年期が終わるころには、女性ホルモンがほぼなくなります。すると、女性ホルモンの波から解放されると同時に、男性ホルモンの代表と言われるテストステロンがちょっと増えるそうなんです。テストステロンは別名「社会性ホルモン」と言われていて、活力が増して活動的にさせてくれたり、筋力や骨を作るといった役割がある。実際にアンケートのなかでも、「更年期過ぎたら人生パラダイスでした!」という声が、たくさん寄せられていたんです。

今つらい症状がある方には、「更年期はいつもと違う」ということを思い出して、あせらず、「いつもよりスローペース」または「立ち止まってもOK」という大きな気持ちで過ごしてみてほしいですね。

M-1グランプリ2019と書かれた看板の前で笑顔を見せるながたさん

更年期について広く伝えるため、M-1グランプリに出場し、更年期に関する漫才にも挑戦したという永田さん(提供写真)

全ての人に、更年期について知るチャンスを

「ところで……お母様とはその後、当時の出来事について話をされたんですか?」

ここで、同席していたスタッフから、こんな質問が投げかけられました。彼女には、永田さんと同じように更年期の母との衝突の経験があり、「母を助けてあげられなかった」と、もどかしい思いを抱えていた時期があるのだとか。永田さんは笑顔で、こう答えます。

はい、最初のアンケートのときにね、1回だけ当時のことを聞いてみました。でも、「自分が自分じゃないみたいな感覚だったから、あんまり覚えていないわよ」って言うんです。ひどいですよねえ(笑)。

でも、それでも仕方ないかな、って。そう思えたのはこの活動のおかげかもしれません。講師として関わった方のなかに私たちと同じような関係性だった母娘がいらして、お母さんからごめん、って伝えているのを目にしたこともありました。そういう体験を通じて、私自身が癒されてきたんだと思います。

「私がいまこうした活動に真剣に取り組めているのも、あのとき、更年期障害の母と衝突したおかげだよな」、なんて思えたりね。私はこの道でよかったと思えるようになったことで、あの経験も受け止められるようになりました。

ちなみに母もすっかり元気になって、もとの明るい性格の母に戻っています。明けない更年期はない、と母を見て思いました。更年期障害は本人だけでなく周囲にもさまざまな影響をもたらすもの。だからこそ、全ての人に知るチャンスが増えていくといいですよね。

じっくりと自身のこれまでを振り返るように話す永田さん。そんな姿から、実は永田さんご自身もまた、お母様の更年期障害を転換点に大きく人生を動かされていったのだと気づかされました。

私はまだおそらく、更年期の手前。これからどのような更年期症状が現れるかわからない以上、完全に不安が払拭されたわけではありません。けれど永田さんのお話のおかげで、多くの女性たちが更年期を迎え、終えて生きてきたという事実をはじめて実感できた気がします。

そして、「更年期をポジティブな転換点に変えてきた女性たちもたくさんいる」ということや、「もしも更年期障害が重い場合は、我慢せず婦人科を受診するべき」という情報を受け取ったことは確実に、私の近い将来を支える「お守り」になりました。

渦中に入ってしまえば気づく余裕もなくなりがちだからこそ、前もって知識を得ておき、予防策を実践していきたい──。ぼんやりと更年期の「輪郭」が見えたことで、やみくもにおびえていた状態からは少し脱し、今の私にもできることがあると気づきました。

近頃めっきり運動不足なので、まずは体力づくりの体操から始めてみようかな。陽気もよくなってきたし、パンクしたっきり修理できていなかった自転車を直してでかけるのがいいかもしれない。いやいや、それよりもまず、目覚めのストレッチから?きたるべき「change of life」に向けて、私も少しずつ助走を始めてみたいと思います。

関連情報:
ちぇぶら ホームページ YouTubeチャンネル
永田さん著書『はじめまして更年期♡
女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操

※男性ホルモンの作用についての記載を、男性ホルモンの一つであるテストステロンによる働きであることが明確になるよう、以下のように訂正いたしました。(2021年3月1日 soar編集部)

<訂正前>
男性ホルモンは別名「社会性ホルモン」と言われていて、活力が増して活動的にさせてくれたり、筋力や骨を作るといった役割がある。

<訂正後>
テストステロンは別名「社会性ホルモン」と言われていて、活力が増して活動的にさせてくれたり、筋力や骨を作るといった役割がある。

(写真/提供写真、編集/徳瑠里香、企画・進行/松本綾香、協力/小野寺涼子)