第1 目的 

 特定非営利活動法人soar(以下、「soar」という)のビジョンは、「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる」ことです。このビジョンの実現に向け、「人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていく」をコンセプトにし、ウェブメディア「soar」(以下、「本メディア」という)を運営しています。

 このメディアポリシー(以下、「本ポリシー」という)は、本メディアが、正確性とメディアとしての誠実さにこだわることはもちろん、ビジョンに照らして読者に価値がある情報を届けることへの決意と、メディアに関わる一人ひとりが互いを尊重しあったコミュニケーションのもと、個々の権利と安全が守られる活動環境をつくるため、スタッフ及び関係者の責務を明確にすることを目的として制定しました。

 また、そのような事前調整の方針といわば表裏一体のものとして、本ポリシーの運用を通じ、本ポリシー違反に該当し得る事象が起きた際に、それを見過ごすことなく、人権擁護の観点に基づく適正な手続きのもと解決に取り組み、その後の再発防止に向き合うという、適切な事後調整の実現をも目指すものです。

 私たちは、本メディアが「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」にとって必要であると考えるからこそ、本ポリシーの遵守を自らの重要な役割として日々率先して実践し、本メディアに関わる人たちへの周知徹底と定着に最大限の努力をします。

 

第2 運用方法

1 言葉の定義

(1)スタッフ
 soarの職員、インターン、役員といった、事業の従事者をまとめた総称を指します。それぞれの役割は以下の通りです。

ア 職員
 雇用契約にある正職員及びパートタイム職員を指します。

イ インターン
 一定期間、soarの特定の業務を委託(有償・無償を問わない)した学生及び社会人を指します。

ウ 役員
 特定非営利活動NPO法人の目的達成のため法人の経営・運営・事務の執行を委任した役員を指します。

(2)関係者
 以下のメンバーは「関係者」に該当します。

ア ボランティアスタッフ
 soarのイベント運営などの活動に、自主的に無報酬で関わるメンバーを指します。

イ 業務委託者
 本メディアの取材、撮影、編集、執筆、イラスト・バナー制作、サイト開発など、soarの事業において個別契約を結び業務を遂行する個人または法人を指します。

ウ クライアント・連携機関
 soarと協同事業を遂行する法人・団体を指します。

(3)編集部
 記事制作やサイト管理など、本メディア運営全般を担う部署を指します。

(4)取材対象者
 本メディアの取材対象となる個人、法人、任意団体、コミュニティ等を指します。コラム記事等の寄稿者も含まれます。

2 適用範囲

 本ポリシーは、本メディア運営に関わるスタッフ、関係者及び取材対象者の物理的、時間的、または契約関係的に管理する領域内(以下、「soar管理領域内」といいます。)における行動に適用されます。

3 運用方法

 本ポリシーは、本メディア運営に関わる一員として推奨される行動を規定し、雇用や活動契約の一部を構成するものです(ただし事前に明示された範囲に限ります。)。

 本メディアの運営に関わるスタッフ及び関係者は、本ポリシーを遵守するとともに、実効的な運用が可能な組織体制の構築に努めます。また、法令違反を含めた本ポリシーに反する問題が発生した場合は、ただちに事実関係を把握したうえ適切な対応を行い、再発防止を徹底します。

(1)周知徹底と意識の共有

ア 本メディア運営に関わる一員としての意識を持って行動できるよう、すべてのスタッフ及び関係者に対し、本ポリシーに対する責任と義務を周知徹底し、意識の共有を行います。

イ スタッフ及び関係者は、雇用開始時または活動開始時に、本ポリシーに関する説明または研修を受けるものとします。 以降、必要に応じて定期的に、理解を深める機会を設けることとします。

ウ スタッフ及び関係者は、雇用開始時または活動開始時に、本ポリシーを理解し遵守する旨の署名を行います。また、当該署名を受けた書類等は、事務局において適切に保管します。

エ スタッフ及び関係者は、本メディア運営において本ポリシーを遵守し、自らの言動に関するフィードバックや学習と真摯に向き合います。

オ 取材対象者には、取材前に本ポリシーを確認し、soarが目指す本メディア運営について、不明点や疑問点がないか確認を行います。そのうえで本ポリシーの内容をご理解いただき、誓約書にサインが完了した時点で取材を開始します。

(2)定期的な見直し

 本ポリシーは、活動においてスタッフ、関係者及び取材対象者から共有を受けた意見を取り入れるほか、法令や社会情勢の変化に応じ、その内容を定期的に見直していきます。また、常時、関係者や本メディアの読者、寄付者等からの要望や意見等を参考に、都度改訂していきます。

(3)本ポリシーに違反する行為の相談について

ア スタッフ及び関係者は、本ポリシーに反する行為の発見やその発生が予見された場合には、速やかに上司または後述の相談窓口へ相談します。soarは、相談者から提供された情報の取り扱い方法や共有範囲を含め、プライバシーの保護を徹底します。また、相談者に対するいかなる報復行為も絶対的に禁止し、相談を行ったことを理由とする不利益な取扱いは一切認めません。

 当該相談が上司に行われた場合には編集長またはメディアポリシー担当者、相談窓口に行われた場合には以下の相談窓口担当弁護士がその対応を行います。

相談窓口
担当:ことのは総合法律事務所 佐藤暁子 弁護士(東京弁護士会)

 また、上記相談窓口は、スタッフ及び関係者以外からの申告、相談も受け付けます。

イ 本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」に該当する行為の発見、またはその発生が予見されたことを理由に、記事の修正や非公開を希望する場合は、記事修正・非公開申請フォームにて受け付けます。

記事修正・非公開申請フォーム

 

第3 メディア運営を通じて目指す未来

 人は誰しも、人生のなかで困難に出会い、自身の生き方に迷う瞬間があります。

 こうした困難や生きづらさは、すでに可視化あるいは分類化されている様々な要因(人種・民族・国籍・年齢・外見・性別・性的指向・ 障害・健康状態・経済状況・家庭環境など)によって生じる場合だけではありません。まだ名前がついていない、類型化のできない要因によって生じることもあり、さらに、同じ要因による困難や生きづらさであってもその感じ方は一人ひとり違います。

 そして、これらの困難や生きづらさに対応して、人々がその可能性を活かして生きていくために携えるべき情報や経験もまた、時代や社会背景によって変化していきます。

 だからこそ私たちは、様々な環境のなかで自分らしく生きる人々の歩んできた道のりや、困難に出会った人たちをサポートする活動や関わる人々の想い、生きるうえで必要となる様々な知識や智慧などに光を当て、情報として届けることを通じて人々をエンパワーします。

 本メディアの運営を通じてsoarが目指すのは、一人ひとりの異なる事情や状況に応じて、その人がそのタイミングで必要な情報に出会える「情報のセーフティネット」になること。その人がより善く生きていく支えになる情報に出会えるメディア運営を行い、「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」を目指します。

 

第4 メディアとしての行動指針

1 活動のすべてのプロセスにおける人権の尊重

(1)常に、互いの人権を尊重しあったコミュニケーションを行うよう努めます。

(2)差別行為(本人の努力によって変えがたい事実等による不合理な区別等)を一切行いません。また、記事制作においても、使用自体が差別行為に当たる、またはそれを助長する恐れのある言葉を一切使用しないほか、表現や文脈も含めて差別行為を助長する内容になっていないかを常に留意します。

(3)「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」を持っていることを自覚し、常に自身の思考や言動を客観的に省みる姿勢を持ちます。

(4)暴力やハラスメント、威迫による業務の強制やいじめなどにより、身体的・心理的に相手の権利を侵害する行為を一切行いません。

2 個人の意志を尊重し対話できる環境づくり

(1)本メディア運営に関わる一人ひとりの意志や希望を尊重し、可能な限りそれぞれが持つ資質や能力、創造性が活かされるような環境づくりに努めます。

(2)一人ひとりの置かれた状況への配慮、個人の意志や希望を尊重し、可能な限りその人の望むその人らしい関わり方ができるよう、本メディアの運営体制をつくります。

(3)一人ひとりが持つ考えや視点を尊重し、立場を問わず、対等に対話ができる関係性づくりに努めます。

3 メディアの一員としての自覚と責任

(1)スタッフ及び関係者は、本メディアを作る一員であることを自覚し、インターネットを通して情報を発信することの責任とメディアとしての影響力について、常に意識しながら記事制作を行います。

(2)スタッフ及び関係者は、 取材時には、時と場所の目的にあった服装や言葉遣い、態度を心がけます。また、取材によって取材対象者の活動等を妨げないよう十分に配慮を行います。

4 取材対象者との安全で対等なパートナーシップの構築

(1)取材に関わるスタッフ及び関係者は、可能な限り取材対象者の意志や希望を尊重し、安全で対等なパートナーシップを築くよう務めます。

(2)スタッフ及び関係者は、取材の目的や内容、記事を公開することによって起こりうるリスク等について事前に十分に説明を行い、同意を得たうえで、取材や記事公開を行います。また、取材対象者の意思に沿わない記事制作を行いません。

(3)スタッフ及び関係者は、取材対象者の心情に可能な限り配慮し、強引な取材や威圧感を与えるような行為をしません。取材を行うスタッフ及び関係者は、インタビューにおける質問や写真撮影において、取材側からの要望に応じるか否かを決める権利が取材対象者にあることを前提に、全てのプロセスで取材対象者の意志や希望を確認したうえで取材を行います。

(4)スタッフ及び関係者は、取材の方法や時間・場所、その他記事制作における全てのコミュニケーションにおいて、取材対象者の希望を伺い、可能な限り状況に応じた配慮をします。

5 情報保障と意思決定の機会の保障

(1)スタッフ及び関係者は、記事制作のプロセスにおいて、取材対象者の立場や特性を配慮し、下記のように情報保障と意思決定の機会の保障を実施します。

ア 情報保障:点字や読み上げ、手話通訳の手配、筆記での伝達、資料の文字サイズの拡大、漢字からひらがな表記への変更など、可能な限り取材対象者の希望する合理的配慮を行います。

イ 意思決定の機会の保障:取材対象者には必ず取材の可否と、原稿の内容に問題がないかの確認を行います。また、取材対象者の希望を伺い、可能な限り意思決定を行いやすい場や手段を設定します。特に、18歳未満の方や、障害や症状、特性等により一人で意思決定をすることに困難がある方の場合、可能な限り取材対象者の理解しやすい説明や伝達を心がけ、意思の確認に努めます。また、いずれの場合も、取材対象者の意思に変更が生じた場合にはそれに応じた修正・対応の変更を実施します。

6 個人情報とプライバシーへの配慮

(1)スタッフ及び関係者は、本メディアの記事によって取材対象者や周囲の方の個人情報が特定されたり、プライバシーの侵害や不利益が起こらないよう、十分に配慮します。

(2)スタッフ及び関係者は、取材対象者のプライバシーに配慮し、記事での実名の公開、顔写真の掲載の有無については、記事を公開することによって起こりうるリスク等について十分な説明を行ったうえで、取材対象者の意思に沿って決定します。また、必要に応じて取材対象者の意思とともに、保護者等の代理人や監護者(施設入居者の場合は施設職員などを含む)の意見も伺い検討します。

 何らかの事情により取材対象者から承諾が取れない場合は、実名の公開、顔写真の掲載は行いません。

 また、記事公開後に取材対象者が実名や顔写真、その他の個人情報の掲載に関して変更もしくは削除を希望する場合は、その意思を尊重し対応します。

(3)取材対象者が18歳未満の場合は、「「児童の権利に関する条約」全文(注1)」第3条、第16条、第18条等に基づき、プライバシーを保護します。記事での実名の公開、顔写真の掲載の有無については、(1)と同様に、記事を公開することによって起こりうるリスク等について十分に説明を行ったうえで、取材対象者の意思に沿って決定します。また、必要に応じて保護者の意見も伺ったうえで検討します。

(注1)参照:外務省ホームページ「「児童の権利に関する条約」全文

7 守秘義務の遵守と情報管理

(1)スタッフ及び関係者は、守秘義務があることを自覚のうえ活動します。業務上知り得た情報は取り扱いに十分に注意し、無断で第三者(ソーシャルメディアを含む)に公開しません。

(2)スタッフ及び関係者は、インタビュー音源や書き起こし、取材時のメモなど、取材で得た情報は厳重に管理し、記事制作と記事の広報の目的以外で使用しません。また、取材対象者の承諾なく第三者(ソーシャルメディアを含む)に公開しません。

8 メディアの権力性への自覚と配慮

 私たちは、団体として様々な方々に取材を行い、情報を取捨選択のうえ、記事を制作し、これらを自身のウェブサイトで発信するという一連の活動が、一個人が情報を発信することとは異なる、いわばメディアとしての「権力性」を帯びることに自覚的である必要があると考えています。私たちが不特定多数の人に情報を発信するということは、時に個人やコミュニティ、社会の一部分に様々な影響を与え得ることであり、また、取材対象者の特定の思想や活動を権威づけてしまう可能性があるからです。

 だからこそ私たちは、常に、メディアが帯びる「権力性」が、特定の個人やコミュニティへの不当な利益や特権に繋がったり、差別偏見や権利侵害の助長をもたらしたりすることのないよう配慮します。

9 公平性の担保 

(1)以下に該当する記事のような、特定の個人の主義主張の流布や喧伝を目的とした記事制作は行いません。読者が必要とする情報であるかどうか、編集部の企画基準に沿っているかなどを吟味したうえ、記事制作を行います。

ア 宗教活動(宗教を広める、儀式行事を行う、信者の育成をする)を主たる目的としている

イ 政治上の主義主張の推進や支持、または反対を主たる目的としている

ウ 公職(衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の職)の候補者や公職にあたる者、政党につき、その推進や支持、または反対を目的としている

エ 特定の個人や団体の利益のみを目的とし、特定非営利活動法第3条に抵触するおそれがある

(2)金品の授受や、友人・知人であることを理由に、取材対象者を選定しません。また、本メディアから取材対象者に対し、取材に関する対価や便宜としては金品の寄贈を行いません(ただし、取材のための来訪時等における手土産、配付されるサンプルやノベルティを除きます)。

10 正確な情報の発信と読者への配慮の両立

(1)スタッフ及び関係者は、取材対象者から得た情報を正確に記事にすることを心がけます。そのうえで、本メディアにおいては様々な立場の読者がいることから、記事の記述によっては、不快な思いをする、ご自身の経験がフラッシュバックし精神的苦痛が生じる等、精神的に負担を感じる可能性があることへの配慮を忘れず、必要に応じて文章や写真、イラスト等の表現を調整します。また、事実でないことを事実のように誇張して表現しません。

(2)症状や特性の説明、治療方法などの記載にあたっては、厚生労働省発表の文献や、医療従事者が監修した文献を元に行い、学術的に見て誤った情報や不明確な情報を記載しません。また、必要に応じて専門家に監修を依頼します。

(3)記事公開後に記事の内容に誤りが発覚した場合や、読者の誤解を招くような表現があった場合には、すみやかに訂正や削除を検討し、記事文末に修正履歴を記載するなどの対応を行います。

11 読者とのコミュニケーションを生かした運営

 本メディアでは、記事に関するソーシャルメディアの投稿やメールでの問い合わせ、直接伺った意見など、メディアに寄せられる読者の声を、可能な限り把握し、運営に生かします。また、いただいた意見をスタッフ、関係者及び取材対象者に共有する際の情報の取り扱いは、プライバシーポリシーを遵守して行います。

 

第5 取材テーマについて

1 記事において扱う取材テーマ

 本メディアが「情報のセーフティネット」となり、「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」をつくることに貢献するために、以下の3つの視点を持って、取材テーマに向き合います。

(1)人をエンパワーし、生き方の選択肢や可能性を広げる情報であること

 本メディアは、個人の歩んできた人生やその考え方やあり方、困難のある人をサポートする活動の理念や関わる人の思い、それらの物語が、人をエンパワーし、生き方の選択肢や可能性を広げるものであると考えます。

(2)人の困難、生きづらさの解消や社会課題の解決に関する取り組みから生まれた情報であること

 本メディアは、個人や団体が人の困難や生きづらさの解消、もしくは社会課題の解決のために取り組み、その活動が「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」につながっているか否かを重視します。

(3)読者に新しい知識や智慧などを提供する情報であること

 本メディアは、当事者の体験談や専門家による知識の提供など、読者に新しい発見があり、生きていくうえで力となる情報であるかどうか、必要としている人が多くいるにもかかわらず、まだ広く伝えられていない、もしくは今後必要とされる可能性が高いかどうか、という観点から取材する情報を選定します。

2 記事を掲載するにあたっての基準

 メディアの権力性(本ポリシー第4の8参照)を念頭に、本メディアでは、本ポリシー「第5の1 記事において扱う取材テーマ」だけでなく、記事掲載及びその継続にあたっての基準を以下に設けます。この基準に沿って記事掲載後も継続の相当性を、可能な限り確認します(なお、記事制作前には、スタッフ、関係者及び取材対象者において、事前に書面にて各種項目に関する表明保証していただくことを原則とします)。

 また、記事公開後に以下の基準に抵触する懸念が生じた場合は、本ポリシー「第6の1の(4)取材対象者の言動に本ポリシー「第5の2 記事を掲載するにあたっての基準」に抵触する懸念が生じた場合」、もしくは「第6の1の(5)記事制作に携わったスタッフまたは関係者の言動にがCoC、パートナーシップポリシーに抵触する懸念が生じた場合」に沿って対応をしますが、これは本メディアが一方的に、スタッフ、関係者及び取材対象者の人格や個別の表現活動の内容等について善悪の判断をしたり、差別や排除の評価を下す趣旨のものではありません。あくまでこれは、メディアの権力性への自覚と配慮に基づく調整のプロセスです。

 なお、本メディアとしては、もし記事への何らかの対応が生じた場合でも、取材対象者との関係性がそれで終わるものではなく、その後も関係性を紡ぎ続け、私たちのできることで変化のプロセスをともに歩みたいと考えており、状況に応じて再度の取材や記事制作も視野に入れ、長期的な視点で関わりを続けたいと考えています。

(1)過去に法令(罰則を規定したものに限る)に抵触した方については、罰条の軽重や事件類型、執行が終わった日などの事情を考慮のうえ、取材の可否や取材方針等を慎重に検討します。暴力団またはその構成員、またはその個人の統制の下にある団体に対しても同様です。

(2)取材対象者の法令違反(私法・公法を問わない)が明らかになった場合は、当該事案の事実関係の調査、原因究明、再発予防などが行われていること、被害者がいるケースでは謝罪や和解がなされていることなど様々な事情を可能な限り総合的に確認のうえで、取材対象者の候補として検討します。また、組織がこうした事案を起こした場合は、加えてこれらの事実を公表していることも確認します。なお、以下ア〜カの事象も、事実関係次第では法令違反に該当します。

ア 個人情報の漏洩

イ 名誉毀損

ウ 著作権侵害

エ パワーハラスメント、セクシャルハラスメント

オ 誹謗中傷

カ プライバシー侵害

(3)前項の対応は、取材対象者において、本人の努力によって変えがたい事実等による不合理な差別や侮辱、人格否定など、道徳に反した言葉や態度によって精神的な苦痛を与えるような言動(ソーシャルメディアやインターネット上での個人の発信も含む)を行っている場合も同様とします。

 

第6 公開後の記事の修正・取り下げ等の対応について

1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準

 記事公開後は、原則、修正や取り下げを行わず、長期間に渡って掲載・普及に努め、情報を必要とする読者に届けることを目指します。ただし、(1)〜(5)の場合、またはその他対応が必要な場合に限り記事の修正、取り下げを行う場合があります。

(1)公開後の記事内容に誤りや誤解を生じさせる表現を発見した場合

 公開後の記事の内容に誤りがある場合や、スタッフ、関係者及び取材対象者の意図と異なる解釈を促すものである場合、あるいは誤解を生じさせる可能性がある場合は、記事の修正を検討します。

(2)状況の変化等により、公開後記事に修正または追記の必要性が生じた場合

 記事公開後、時間の経過とともに社会状況や取材対象者の状況が変化し、掲載している事実と異なる状況となった場合は、記事の修正または追記を検討します。

(3)取材対象者からの記事の修正や取り下げの希望があった場合

 何らかの理由により取材対象者が記事の修正や取り下げを希望する場合、関係者と相談を行ったうえで対応を検討します。

(4)取材対象者の言動に本ポリシー「第5の2 記事を掲載するにあたっての基準」に抵触する懸念が生じた場合

 記事掲載後、取材対象者の言動に本ポリシー「第5の2 記事を掲載するにあたっての基準」に抵触する懸念が生じた場合、公開している記事の取り下げを検討します。また、懸念が生じてから事実確認が完了するまでの間、一時的に記事の公開を中止する場合もあります。

(5)記事制作に携わったスタッフまたは関係者の言動にCoC、パートナーシップポリシーに抵触する懸念が生じた場合

 記事掲載後、記事制作に携わったスタッフまたは関係者の言動に、コード・オブ・コンダクト(以下、「CoC」という)、パートナーシップポリシーに抵触する懸念が生じた場合、公開している記事の取り下げを検討します。また、懸念が生じてから事実確認が完了するまでの間、一時的に記事の公開を中止する場合もあります。

2 記事の修正、取り下げのフロー

 記事の修正や取り下げは、原則、取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者への通知後に行います。

 ただし、取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者自身が犯罪行為や法令違反を行った場合や、記事内容に誤りがあり、看過し難い損害が生じるおそれがある場合など、緊急の対応が必要だと編集部が判断した際は、取材対象者と記事制作に関わったスタッフ及び関係者への通知を行う前に、記事の公開を一時的に中止する可能性があります。この場合、記事の公開中止作業後に、取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者へその旨を通知し、意見を伺ったうえで事実確認を行い、公開再開の有無を検討します。

 また修正や追記を行った場合、本文中に修正履歴を残します。

 なお、編集部から取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者へ記事の修正や取り下げの承諾可否を問う連絡を行った後、1週間が経過しても返信がない場合は、編集部が適切と判断した対応を優先的に実施することがあります。

 対応フローは以下の通りです。

(1)本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(1)〜(3)に該当する場合

ア 申告受付、発見

 修正または取り下げの必要がある事項について申告・相談があった場合、以下のとおり、その端緒や経路ごとに、対応を検討します。

(ア)スタッフまたは関係者が、修正または取り下げの必要がある事項を発見した場合

 3営業日以内に上司を通じて、もしくは直接編集部へ申告・相談します。

(イ)スタッフまたは関係者が、修正または取り下げの必要がある事項について、スタッフ、関係者または第三者から申告・相談を受けた場合

 申告・相談を受けた人は、3営業日以内に内容を、上司を通じて、もしくは直接編集部へ申告します。

(ウ)取材対象者が、修正または取り下げの希望についてスタッフまたは関係者に申告・相談を行った場合

 申告・相談を受けた人は、3営業日以内に内容を、上司を通じて、もしくは直接編集部へ申告します。

(エ)第三者が、修正または取り下げの必要がある事項を、お問い合わせフォームまたは記事修正・非公開申請フォームにて申告・相談を行った場合

 編集部で申告・相談内容を受理します。

イ 協議

 編集部で受理した事項が、本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(1)〜(3)に該当するかどうかの判断を行います。申告者や相談者には、編集部より今後の対応のフローについて伝えるものとします。

(ア)本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(1)〜(3)に該当する場合

 必要に応じて、調査・検討作業においてスタッフや外部関係者の参画を手配します。

(イ)本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(1)〜(3)に該当しない場合

 編集部から、申告者や相談者へ協議内容についてフィードバックを行い、記録を作成します。

ウ 調査

 本ポリシー「第6の2の(1)のイの(ア)本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(1)〜(3)に該当する場合」と判断した事項は、編集部で必要な調査、事実確認を実施し、対応方針を協議します。必要に応じて、関係者(個人、団体)や弁護士、その他機関など、外部機関と連携して調査を行います。

 また、調査においては以下を厳守します。

(ア)個人情報の保護

 申告者や相談者の機密性は保護され、個人を特定できる情報は、調査等で知る必要がある関係者の間でのみ共有します。

(イ)記録の保存

 調査の過程はすべて記録を残し、今後の基準とします。また、すべての調査履歴は、機密文書として厳重に保管します。

エ 対応の判定

 編集部は調査報告を元に、記事の修正や取り下げ等の対応を判定します。

オ 対応

 決定した対応内容を関係者、申告者や相談者へ連絡し、記事への対応を実施します。修正を検討する場合、必要に応じて取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者へ相談を行い、修正案を作成します。修正を反映する際は記事内に修正履歴を記載します。

 対応後、編集部から申告者や相談者へ協議内容についてフィードバックを行い、記録を作成します。

カ 対応フロー図

(2)本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(4)(5)に該当する場合

ア 申告受付、発見

 以下の経路により、本ポリシー「第6の1 公開後の記事の修正、取り下げ等の検討基準」(4)(5)に該当する案件について申告・相談があった場合、全て編集長、メディアポリシー担当者が情報を受理し、対応を検討します。

(ア)スタッフまたは関係者が、本ポリシーに反する行為を発見した場合

 3営業日以内に編集長、メディアポリシー担当者のどちらかへ申告します。

(イ)スタッフまたは関係者が、本ポリシーに反する行為について、スタッフ、関係者または第三者から申告・相談を受けた場合

 申告・相談を受けた人は、3営業日以内に内容を、編集長、メディアポリシー担当者のどちらかへ申告します。

(ウ)取材対象者が、本ポリシーに反する行為について、スタッフまたは関係者に申告・相談を行った場合

 申告・相談を受けた人は、3営業日以内に内容を、編集長、メディアポリシー担当者のどちらかへ申告します。

(エ)第三者が、本ポリシーに反する行為についてお問い合わせフォームまたは記事修正・非公開申請フォームにて申告・相談を行った場合

 お問い合わせフォームの場合は事務局スタッフが申告・相談内容を受理し、内容に応じて編集長、メディアポリシー担当者のどちらか​​へ共有します。記事修正・非公開申請フォームの場合は編集長、メディアポリシー担当者が申告・相談内容を受理します。

(オ)スタッフ、関係者または第三者が、本ポリシーに反する行為について相談窓口へ申告・相談を行った場合

 相談窓口チームで協議のうえ、内容に応じて編集長、メディアポリシー担当者のどちらか​​へ共有します。

イ 協議

 編集長とメディアポリシー担当者は案件を協議し、案件を受理するかどうか判断を行います。申告者や相談者には、編集長またはメディアポリシー担当者より今後の対応のフローについて伝えるものとします。

(ア)案件を受理する場合

 必要に応じてスタッフや外部関係者の参加を依頼します。

(イ)案件を不受理する場合

 編集長とメディアポリシー担当者は、申告者や相談者へ協議内容についてフィードバックを行い、記録を作成します。

ウ 調査

 編集長とメディアポリシー担当者は調査チームを決定します。また、案件を受理した時点で編集長またはメディアポリシー担当者により記事の一時非公開を行うとともに、記事制作に関わった関係者へ連絡をします。

 並行して、調査チームによる必要な調査、事実確認を実施します。必要に応じて、関係者、顧問弁護士、その他機関など外部機関と連携して調査を行います。ただし、同時にCoCまたはパートナーシップポリシーに反する行為が懸念される場合は、CoCまたはパートナーシップポリシーの調査チームなど内部機関と連携し調査するとともに、処遇の対応決定はCoCまたはパートナーシップポリシーに記載のある通りに行います。

 事案が刑事上の問題である場合は、調査チームは内部調査を開始する前に速やかに関係当局に通報し、法律で定められた調査を損ねることのないよう、関係当局と協議を行うこととします。

 また、調査においては以下を厳守します。

(ア)個人情報の保護

 調査対象者、申告者及び相談者の機密性は保護され、個人を特定できる情報は、調査等で知る必要がある関係者の間でのみ共有します。

(イ)記録の保存

 調査の過程はすべて記録を残し、今後の判例基準とします。また、すべての調査履歴は、機密文書として厳重に保管します。

(ウ)安全な活動環境と調査の正当性の担保

 調査対象がスタッフまたは役員の場合、調査中は役職や業務の一時停止を行い、調査や判定の一切の決定に関わらないこととします。組織として調査事案がある場合は、外部専門家や関係団体と協議のうえ、外部調査を依頼する等、事案の内容によって担当者の検討を都度行います。

エ 対応の判定

 調査チームは、調査報告を元に、記事への対応を判定します。

オ 事後対応

 決定した対応内容を関係者、申告者や相談者へ連絡し、必要に応じて一時非公開となっている記事に対し、取り下げ、再掲載、修正などの対応を実施します。修正を検討する場合、必要に応じて取材対象者、記事制作に関わったスタッフ及び関係者へ相談を行い、修正案を作成します。修正を反映する際は、記事内に修正履歴を記載します。

 対応後、編集長またはメディアポリシー担当者から申告者や相談者へ協議内容についてフィードバックを行い、記録を作成します。

カ 対応フロー図

 

第7 本ポリシーに反する行為への対応

 スタッフ及び関係者に対し、本ポリシーに反する行為やその発生が予見される申告、相談があった場合は、パートナーシップポリシー「5 本ポリシー違反やその発生が予見された際の対応」に記載のある通り、相談内容の性質や相談者の要望にあわせて、パートナーシップポリシー担当理事、監事において協議を行い、事実関係を調査し可能な限りの各種措置を実施対応します。

 また、相談窓口への申告の場合は、相談内容の性質や相談者の要望にあわせて、外部弁護士と精神保健福祉士や社会福祉士等の専門職が連携し、相談対応を行います。その後、関係各法令及び本ポリシーに従って事実関係を調査し、可能な限りの各種措置を実施対応します。

 記事修正・非公開申請フォームへの申告の場合は、相談内容の性質や相談者の要望にあわせて、編集部で協議し、可能な限りの各種措置を実施対応します。

 上記の対応に加えて、違反者に対しては、本ポリシーの周知徹底を図り、内省と行動変容を促します。また、違反を違反者個人の問題とせず、メディアに関わるスタッフ及び関係者で対話する場をもち、本ポリシーへの理解を深め、再発防止に向けて行動します。

 

 

2021年12月22日 策定