【写真】明るい日差しがさす中笑顔で語り合う学生。

障害のある学生たちが、進学や就労といったそれぞれのやりたいことに、チャレンジしたい場合、どんな準備が必要でしょうか。

障害や病気の多様さから、学習や進学、就労のモデルケースとなりうるような先行事例は少なく、自分たちがどんな準備をしなければいけないのか考えたり、社会で活躍する先輩たちを知ったりする機会も、限られています。

彼らの生きる鍵は、自らの未来を切り開く有効な判断材料を集めていくこと。

そんな若い世代に対して、日本の最先端の学問機関と企業が協力し合い、学びの機会を提供する取り組みが行われています。

未来の社会のリーダーとなる人材の育成を!「DO-IT Japan」

【写真】ゲストを囲んで話を真剣に聞く参加者

DO-IT Japan」は、障害や病気による困難を抱える学生の進学や就職といった本人の希望の実現をサポートすることで、未来の社会のリーダーとなる人材の育成を目指すスカラープログラムです。

対象となるのは、多様な障害や病気があり、進学への意思を持つ中学生、高校生、高卒生、大学生たち。

4月中旬から参加者の募集が行われる当プログラムは、一次の書類選考、二次の面接を経て、学びへの強い希望やリーダーシップ、社会に向けた発信力を評価する参加者の選抜が行われます。

7月には、オンラインによる事前プログラム、8月上旬に夏季プログラムが開催され、その後もインターネットを活用したオンラインメンタリング、ギャザリングなどの年間を通じたプログラムが継続して開催されます。

最先端の学問機関と企業で行われる「夏季プログラム」

【写真】パソコンに向き合い参加者たち。とても真剣な表情をしている。

夏季プログラムは、東京大学先端科学技術研究センターを主な会場として行われます。

セミナーやワークショップへの参加を通してテクノロジーの活用方法を学び、自分自身や障害についての理解を深めることで、周囲に自らのニーズを適切に説明する力や配慮を得ていく方法を身につけることが出来るんだそう。

その他にも、大学講義体験や企業訪問が用意され、多くの先輩や仲間たちの考え方、生き方から、ロールモデルを得たり、自己や他者、社会に対する視点を拡げたりする機会を提供しています。

どういった配慮や支援が必要なのか他者に対して伝え、理解を得るプロセスや、進学・就労後に発生が予期される困難な場面への対処法を、実際の現場から考えることが出来ますね。

【写真】パソコンの画面を互いに眺めながら笑顔で話す参加者。

大学生スカラーへは、就労を見据えた制度の利用や既に社会で活躍する障害のある先輩たちとの交流など、自立生活や社会参加、自己決定、リーダーシップが学べる機会が設けられています。

保護者や日頃の支援者と離れて暮らし、場面に応じたテクノロジーの活用方法、自己決定や責任を持つ機会を得ることで、挑戦や失敗の経験を積み重ね、身を持って出来る部分と出来ない部分の基準を理解することが出来そうです。

夏季プログラム終了以降も、年間を通じて、様々な障害や病気のある仲間や先輩、専門家とのオンライン・オフラインによる交流が行われ、持続してモチベーションを維持するバックアップ体制が構築されています。

テクノロジーを通して学びの機会を届ける「PALプログラム」

【写真】あいぱっどを机の横に置いて勉強をする子ども。とても真剣な表情をしている。

「DO-IT Japan」のプログラムには、スカラープログラムの他に、「PALプログラム」というテクノロジーを活用し、学びの保障について学ぶ機会を届けることを目的としたアウトリーチ・プログラムも用意されています。

このプログラムは、多様な障害を原因として、学びの困難を抱える小・中学生と、その保護者、高校生・高卒者、大学生、大学院生(本人)であれば、誰でも登録可能。

学習を支援するテクノロジーの利用方法や配慮事例、イベント参加に関するメールマガジンを定期的に受け取ったり、一部のセミナーに参加したりすることが出来ます。

「参加者の声」から見る能動的に社会へ関わろうとする姿勢

【写真】車椅子に乗りながらパソコンを操作する子ども。真剣な表情で画面を見つめている。

去年「DO-IT Japan」に参加した人たちは、プログラムに参加してみて、将来に対してどんなビジョンを描いたのでしょうか。

「もちろん配慮を得る分、僕も出来る限りのことをして、周りの方には少し手間かけてしまうかもしれませんが、その分を返せるくらいしっかり勉強して社会に出て恩返しをしていきたいと思います。」

「僕はかつて健常者であったからこそ、障害についてあまりに知らない人が多いことが分かります。まずは現在通っている高校の先生方や生徒、そして大学、社会に向けて障害について理解を得ていくために話す。知ってもらう。これが社会を変えていく第一歩だと思います。」

参加者たちの声を見ると、能動的に夢に向かってチャレンジしていこうとする力強い言葉が綴られていました。

「DO-IT Japan」参加者募集締め切りは5月6日まで!

【写真】参加者の集合写真。笑顔で晴れやかな表情。

2016年度に行われる「DO-IT Japan」の参加者募集締め切りは、5月6日までとなっています。

多様な障害や病気による困難を抱える若い世代が、出会い、学び合い、共に切磋琢磨し合いながら、自らの力で生きる道を切り開く武器を身につける貴重な機会。

当事者の若い世代はもちろん、障害や病気を持つ子どもをお持ちの保護者の方、またはそんな家族や友達が近くにいる人は、「こんな機会があるみたいだよ!」とおススメしてみても良いかもしれませんね。

募集情報:

募集プログラム
スカラープログラム(中学生、高校生・高卒者、大学生・大学院生対象)
※参加者の障害種別は問いません。

応募期間
2016年4月18日 月曜日 〜 5月6日 金曜日(消印有効)

夏季プログラム日程
2016年8月7日 日曜日 〜 8月11日 木曜日(予定)

会場
東京大学先端科学技術研究センター
(東京都目黒区駒場4-6-1)

主催
DO-IT Japan,東京大学先端科学技術研究センター

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