皆が笑顔を浮かべて餅つきをしている、楽しそうなこちらの写真。家族写真のようにも見えますが、実は就労支援をしているNPO法人Homedoorのスタッフのみなさんとホームレスの方たちなのです。
ホームレスの方たちに対してなんとなく恐れを持ち、ホームレス問題が報道される度に暗い気持ちになっていた私。でも、いつも明るく前向きな様子が発信されているHomedoorの活動報告を見たことで、そのイメージはがらりと変えられました。
Homedoorは、「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造を作る」をビジョンに掲げて、ホームレスの方への就労・生活支援事業やホームレス問題についての正しい理解を促進するための啓蒙活動を行っています。
これまで行ってきたホームレスのみなさんの仕事づくりに加えて、Homedoorは新たに彼らへ住居を提供するというチャレンジを始めています!
ホームレスの人は〝普通の優しいおっちゃん〟だった
Homedoorが生まれたきっかけは、代表を務める川口加奈さんの中学生時代の体験にあります。ホームレスの方に向けた炊き出しのボランティアに参加した川口さんは、接したホームレスの方がみな優しい普通の〝おっちゃん〟であることを知り、それまで持っていた「なんとなく怖い」というイメージが拭い去られます。また、色んなおっちゃんの経歴や背景を聞く中で「これは決して他人事ではないんだ」とも感じたのだそう。
当時は、「ホームレスになったのは自己責任だ」という心ない言葉が飛び交い、ホームレス襲撃事件なども起きていました。川口さんはそういったニュースに胸を痛め、「失業や倒産など、やむをえない事情でホームレスになってしまった人たちがたくさんいる。何か支援はできないだろうか」と考えました。
そして、川口さんは2010年に19歳で、ホームレスの方の就労支援・生活支援を行うためにHomedoorを設立しました。「Homedoor」という名前には、『人生というホームから転落しない防止策になれるように』『その人にとってただいまと帰れる居場所(=ホーム)の入り口になれるように』という思いが込められています。
「人生というホームから転落しないための防止策」をハード・ソフト両面で提供
どうにかしてホームレスのおっちゃんたちに仕事を作りたいと考えた川口さんは、おっちゃんたちが自転車修理を得意としていることに目を付けます。そうして生まれたのが、HUBchariというシェアサイクル事業です。
運営するのはこの前まで空き缶を集めて少額で毎日をしのいでいたおっちゃんたち。HUBchariを通じてこれまでのべ160名の方が働き、そのうち55%の方が次の仕事を見つけました。また、この事業は雇用創出だけでなく大阪市内で問題となっていた放置自転車問題解消にも貢献しているのです。
おっちゃんのステップアップのため「仕事づくり」に続き「家づくり」も
単なる仕事あっせんではなく1人ひとりの将来を見据えた就労支援をおこなってきたHomedoorは、今年創立6年目を迎えました。設立からこれまでは「仕事づくり」に取り組んできましたが、これからの5年間は「家づくり」を行っていくのだといいます。
その背景には、住居(住所)が無いと生活保護が受けられない、新しい家が借りられないという課題があります。HUBchariで働くおっちゃんたちの中にも8,000円〜10,000円の日当を貰っているにもかかわらず、審査面などの問題で新しい住居に入れず今も野宿を続ける方が多くいるそうです。そこでHomedoorは、現在雇用している方が暮らせる物件を用意して、次の仕事や住居を見つけるステップを作ることにしました。
この取り組みにあたって必要な住居の準備費・維持費を現在クラウドファンディングで募集しています。今回の入居対象はHomedoorで雇用する元ホームレスの方になりますが、今後は緊急相談者のためのシェルターにも着手していくとのことです。
私はHomedoorの取り組みを見ていて、いつも明るくポジティブな空気を感じます。もちろん、おっちゃんたちの中には仕事が務まるかやこの先どうなるのかなどの不安を抱いている方もいらっしゃるでしょう。でも、Homedoorの活動報告で見かけるのはいつもおっちゃんとスタッフのみなさんの笑顔溢れる写真ばかり。
どんな人にも仕事と家を提供したいと活動するHomedoorの事業は、まさに「居場所」づくりのように思います。安心して眠ることができて、自分の得意なことを活かして誰かの役に立つことができる。そういった人生の基盤があることが、人が前向きに生きていくエネルギーになると思います。
一人でも多くの方の生きる基盤づくり実現のために応援いただける方は、ぜひクラウドファンディングに参加してみてください。
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