こんにちは。NPO法人soar編集部です。

NPO法人soarでは、「人の可能性に光を当てる」ことをミッションに、ウェブメディア「soar」を通してさまざまな困難のある人たちの回復の物語を発信してきました。

本日、soarの新たな取り組みとして、医師をはじめとする専門家監修のもと、あらゆる困難や生きづらさの当事者や周囲の人たちが、医療や福祉、当事者団体等の社会資源につながりやすくするための解説記事シリーズ「soar dictionary」をスタートします。

第1弾は「アルビノ」について。

これまでsoarでご紹介してきたアルビノ当事者の方々のストーリーをご紹介するとともに、アルビノの定義や、症状・困りごと、医療や当事者団体による支援についてまとめました。

監修は、社会医療法人蛍水会名戸ヶ谷病院小児科の石井拓磨先生です。この記事では、soarがこうした新たな形式の記事をつくり、届けていこうと考えた背景をお伝えします。

検索エンジンの向こう側に、たくさんの「困っている」人たちがいる

「soar」は、人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていくウェブメディアとして2015年にスタートしました。障害や病気、セクシュアルマイノリティ、貧困や社会的養育など、さまざまな困難や生きづらさの当事者やそのご家族・支援者の方々のストーリーや、そうした人たちの可能性を広げる活動を紹介してきました。

さまざまなテーマに横断的に光を当てること、一人ひとりのストーリーをじっくり、丁寧に紡いでいくことを大切にしてきたこともあり、立ち上げ当初は主に検索エンジンよりソーシャルメディア経由で記事を読んでいただくことが多かったです。

ところが取材や発信を進めるうちに、soarが扱うテーマの中には、これまでなかなか知られてこず、そもそもインターネット上に同テーマのコンテンツがほとんどないという事例も多くあることがわかってきました。結果、今ではソーシャルメディアだけでなく、検索エンジン経由からも非常に多くの方にsoarの記事を訪ねていただくようになりました。

ソーシャルメディア等で、知り合い等から受動的に情報を受け取ることが増えてきたとはいえ、何かを自発的に調べようとする際には、「インターネットの検索サイト (Google やYahoo!等)で検索する」人が、約7〜8割とまだまだ圧倒的多数です。

検索エンジンによる情報収集が行わるのは、旅行や買い物、飲食店といった消費行動のときだけではありません。医療や福祉等の領域においても、自らの特徴や症状について疑問や困りごとを持ったとき、検索エンジンを使って情報収集をしようとする人がたくさんいます。

基礎情報、支援や医療情報を、一人ひとりのストーリーと”一緒に”届ける

医療の領域に限らず、特定のキーワード単独で検索した際にまず上位表示されやすいのは、その検索キーワードが示す概念全体について、わかりやすく正しい情報を、構造的にまとめたコンテンツです。

それは、「発達障害」「うつ病」「アルビノ」といった検索キーワードを打ち込む人の大半は、まずそのキーワードの定義や、症状、治療・支援方法について大まかに知りたいというニーズを持っているからです。

ですが、キーワードの定義や病気の症状などの基礎知識を得るだけでは、「同じ当事者の人はどうやって暮らしているのか?」「自分の人生はこれからどうなっていくのか?」と不安になってしまう当事者の方々も多くいらっしゃいます。

ただ、当事者の働き方や暮らし方、生き方について知ることができるコンテンツはインターネット上にとても少なく、課題や困難だけが強調されていたりするものも多いのが現状です。

実際に、Twitterではこのような声も見られます。

こうした当事者の方の声を受けて、検索エンジンで自分の抱えている困難や生きづらさについて調べたときに、見つかりやすく、なおかつ希望を持てるような情報発信が必要ではないかと考えるに至りました。

正しくわかりやすい基礎情報や医療情報に加え、自分自身の生活や人生に引きつけて考えるための具体的なエピソードも知りたい、というニーズにも同時に応えられるコンテンツを検索エンジン経由で届けていきたい。

そこでsoar dictionaryでは以下のような構成で記事をつくることにしました

・定義
そのテーマ・キーワードの定義や概要を、なるべく平易にわかりやすく説明します。

・具体的な症状
代表的な症状や困りごとについて、程度の個人差にも配慮しながら簡単に紹介します。

・治療法や症状との付き合い方
現在治療法はあるのか、どの症状には対応ができるのか、治療ができなくても症状と付き合いながらうまく生きていくための対策や工夫はあるのか、といった対処法について紹介します。

・当事者の声
これまでsoarのインタビュー・コラム記事に登場いただいた当事者の方々のエピソードを抜粋して、写真と共に紹介します。より詳しく知りたい方には、それぞれをリンクで辿れるようにしています。

・当事者が得られるサポートについて
当事者会や家族会といった、サポートを受けられる・サポートし合える支援団体について紹介します。

・読んでくださった方へのメッセージ
この記事にたどり着いた方々への編集部からのメッセージです。ここで知識を得た上で、次の一歩につながってほしいとの願いを込めて文章を綴っています。

当事者・専門家・メディアが協働し、インターネットに安心と希望を増やしたい

【写真】机を囲み話し合うsoarメンバー

さまざまな情報が溢れているインターネット。どんなコンテンツにも、それぞれに作り手がいて、それを受け取るニーズを持った方々がいると思います。

全ての人のあらゆるニーズに応えるのはとても難しいことですが、soarでは困難のある方々が少しでも安心と希望を持ってもらえるような情報発信をしていきたいと思っています。そのためには、同じ困難のある当事者の経験と、それを支援する専門家の客観的・正確な情報を掛け合わせ、メディアによる「編集」の力を通して届けていくことが大切だと考えています。

これからも、少しずつですが、さまざまなテーマでのsoar dictionaryを展開していきます。

soarの新たな取り組み、ぜひご覧いただければ嬉しいです。

関連情報
生まれつき肌や髪の色素が少ない「アルビノ」とは?

(編集/工藤瑞穂、バナーデザイン/Mai Ichita)