【写真】笑顔で並ぶてんぼのメンバー

ファッションショーと聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

世界の大都市で開かれるファッションショー、有名なブランドが作り上げる新コレクション、華やかな世界やモデルたちに憧れる方も多いかもしれません。

この秋、大注目のファションショーが東京表参道で開催されます!

なんとテーマは、ハンセン病。このファッションショーは、「年齢、国籍、性別、障害の有無問わず誰でも着れる服を世界へ!」がコンセプトのブランドtenbo(テンボ)が手掛けます。

 

(クラウドファンディングページより)

着ているだけで楽しくなるような”優しい服”を発信したい

昨年、tenboは、様々なバックグランドを持つモデルを起用してファッションショーを開催し、車椅子の方や、歩行に杖が必要な方、視覚障害のある方・・・その中には、soarにも登場してくれた、トランスジェンダーの浜松幸さんも参加しました。

【写真】堂々とファッションを披露する出演者

SMAの難病のALEXさん 筋ジストロフィーの小澤綾子さん 俳優のルー大柴さん

【写真】ファッションだけでなく楽器を演奏する出演者

全盲のアコーディオン奏者SOTAさん セクシャルマイノリティー幸さん ミュージシャン吉田山田の山田義孝さん 小さい体のアーティスト後藤仁美さん

tenboを主宰するファッションデザイナーの鶴田能史さんは、「着ているだけで楽しくなるような”優しい服”を発信したい」という思いの下、tenboを立ち上げました。

tenboの服は、着る人・見る人がうきうきするようなとてもカラフルで、また、脱ぎ着がしやすいようにシャツのボタンは磁石になっていたり、ボトムのウェスト部分はゴムになっていたり使う人を考えたデザインがされています。

昨年は「1945」終戦の年をテーマにしたファッションショーを開催し、今年は「ハンセン病」をテーマに準備を進めています。

ハンセン病とは?

ハンセン病とは、細菌のらい菌による感染症で、皮膚や神経に症状が出ます。

らい菌の感染力はとても弱いのですが、症状が進むと身体に変形や障害を生じるため、治療薬が生まれる前の古代から、患者や家族が偏見や差別の対象となりました。

医療の発展に伴い、1873年に、原因となるらい菌は、ノルウェーの医師ハンセン氏によって発見され、1943年には、アメリカで有効な治療薬が認められ、戦後には完治する感染症となりました。

しかし、日本では、明治政府により隔離政策が始まり、「らい予防法」が廃止される1996年まで、多くのハンセン病患者の方が地域や家族から離れ、療養所で隔離されて生活を送りました。長く続いた隔離政策によって理解が進まず、今でも偏見や差別が残っています。

現在、元患者の方々には、後遺症に加え、高齢による介護が必要としている方が多く、また、長年の入所や、入所中に子どもを持つことが認められなかったため、社会復帰が難しい状況にいる方もいます。

ファッションを通してハンセン病を世の中に伝えたい!

【写真】笑顔で肩を寄せ合うハンセン病回復者のまきさんとデザイナーのつるたさん

ハンセン病回復者のマキさんと、ファッションデザイナーの鶴田さん

ハンセン病をテーマにしたファッションショーが開催されるのは10月19日。

その日、ハンセン病回復者のマキさんもモデルとしてランウェイに立ちます。

「ファッションを通してハンセン病を世の中に知ってもらい、差別偏見をなくしたい。」と語るファッションデザイナーの鶴田さん。

鶴田さんは、東京都東村山市にあるハンセン病療養所を訪れ、マキさんと出会いました。

私は「ここの皆さんが他の人と何一つ変わらないということを世界に発信していきたいです。モデルとして世界デビューして頂けませんか?」とお誘いし、「私で良ければいいですよ。」と快諾してくださいました。

そして最後に「今まで生きててよかった。こんなに嬉しいことがあるなんて」と言ってくれて、改めて自分の使命感を強く認識しました。

(クラウドファンディングページより)

人権問題と向き合うファッションショー

ハンセン病患者の方々を強制隔離する根拠となった「らい予防法」が廃止されてから今年で20年が経ちました。熊本地裁で2001年に隔離政策が違憲だと認められ、元患者の方は国から補償が受けられるようになりました。

一方で、家族の一員が強制隔離され、残された家族たちの存在も忘れられてはいけません。家族の一員がハンセン病患者ということを隠さなくてはならない状況に置かれ、もし、知られた場合、不当な差別を受けたため、家族の方々も、国に損害賠償と謝罪を求め今年提訴しました。

医療は発展し、日本ではハンセン病は「過去の病」と言えるようになったかもしれません。しかし、隔離政策によって患者の方々が自由に生きる権利が奪われてきた歴史を、当事者や国だけの問題、「過去のこと」にはできません。法律によって差別が強化された一面はありますが、差別や偏見が広まる社会を形作ってきたのは、私たち一人一人。

誤った認識に基づいて、個人の権利が大きく制限されてしまう危険性が常にあることを意識し続けなければいけません。

回復者の方々、その家族の方々にとって、そして、彼らだけでなく、私たち一人一人にとってこのファッションショーはとっても意義があるものだと私は思います。

ハンセン病という難しいテーマが、tenboによって、多様性溢れるファッションでどう表現されるのかとっても楽しみです!

様々なモデル達が人権問題と向き合うファッションショー。
知る事が大切。その先に興味持たない、無関心があっても良い。
知る機会をファッションショーで共有できたらと、強く願います ー 鶴田能史さん 

 

現在、tenboはクラウドファンディングで運営費用を募っています!気になる方はぜひ詳細をチェックしてください!

クラウドファンディングページ「ハンセン病」をテーマにしたファッションショーで差別・偏見をなくしたい!

◆日程

2016年10月19日(水)

17時開演

18時終演

◆開場予定場所

会場 表参道ヒルズ スペースオー

 

関連情報

「ハンセン病」をテーマにしたファッションショーで差別・偏見をなくしたい!
クラウドファンディングページ

tenbo  ウェブサイト

国立ハンセン病資料館 ウェブサイト
〒189-0002 東京都東村山市青葉町4-1-13

映画「あん」 ウェブサイト / facebook 
ドリアン助川原作、河瀬直美監督作品

(写真協力:tenbo)