夏休みに何をするか、どこへ行くか、どんな思い出を作るかは人によって様々です。
家族みんなで旅行に出かける家庭もあれば、事情があって、夏休みにあまり出かけられない子どもたちや、保護者が忙しく一緒にいられない子どもたちもいます。
「そんな子どもたちにも、夏休みらしい思い出を作ってあげたい」
今回は、子どもたち自らが計画をし、自然溢れる田舎で思いっきり夏休みを満喫するプロジェクト「サマーキャンプ」を紹介します。
すべての若者が「働く」と「働き続ける」を実現できる社会をめざして

認定NPO法人育て上げネット ホームページより
サマーキャンプを企画する認定NPO法人育て上げネットは、若者と社会をつなぐサポートなどを行なう団体です。すべての若者が「働く」と「働き続ける」を実現できる社会をめざして、就労支援などを行っています。
育て上げネットでは、若者が社会との繋がりを失ってしまう原因として、働くことへの不安や自己肯定感の低さなどが関係しているのではないかと考えました。それには育った環境や幼少期の経験が影響している可能性があるため、予防事業として、不安を抱えやすいとする生活困窮状態の家庭への支援にも力を入れています。
具体的には、子どもが放課後に立ち寄ることができる学習スペースの運営をしています。宿題をみたり、勉強を一緒に行うだけではなく、時には彼らの話を聞いたりと、”居場所”としても機能させているのです。
「夏休みが待ち遠しくない」子どもたちの存在
育て上げネットの学習スペースには、シングルマザーや外国にルーツを持つ家庭、生活保護受給家庭など、様々な環境の子どもが通っています。
その中には「夏休みが待ち遠しくない」と感じている子どももいるのだそうです。
ある子どもにとって、夏休みは学校に行かない分家事を1日中やらなければならない時間でした。朝・昼・晩のご飯を用意し、洗濯、掃除と1日かけてこなす日々。保護者もそうさせたいわけではないけれど、仕事が忙しくてどうしようもない状況なのです。

学習スペースの子供たちの様子
学習スペースにいる間の子どもたちは、友達同士でふざけ合ったり勉強をしたりと、他の子どもと同じように過ごしています。でも家に帰る時間になり、今晩しなくてはならない家事のことを考えている子どもの姿から、その子が背負っているものが見えてくるのだといいます。
このような家庭では、保護者自身も毎日ひとりで仕事と子育てと向き合い、「どんなに大変でも、一人で全てを頑張らなくてはならない」というプレッシャーを抱えているということが多々あります。
育て上げネットではサマーキャンプの実施により、子どもに楽しい時間を提供することはもちろん、保護者にも、子どもと少し離れることで時間を与えることができるのではないかと考えています。
理事長の工藤啓さんは、こう語ります。
工藤さん:常にお子さんのために一生懸命な保護者の方に、子どもが元気に遊びに出かけて帰ってこない、帰って来たときにはたくさんの経験とたくましくなった姿、そして、自由な時間と空間を提供したいです。
サマーキャンプでの田舎体験が、子ども達に思い出と成長を提供する
昨年8月、育て上げネットは活動の一つとして、子どもたち向けに2泊3日のサマーキャンプを開催しました。
場所は関東で最も人口の少ない村といわれる、山梨県丹波山村。東京から2時間ほどの場所に位置する丹波山村は、山々に囲まれ自然が溢れる、まさに「田舎」と呼ぶのにふさわしい場所です。
キャンプは計画の段階から子どもたちが関わり、皆で悩み、話し合い、時には衝突しながら答えをだしていきます。それぞれが自分のやりたいことを伝え、意見を擦り合わせていく行程で、子どもたち同士が次第に仲良くなっていくこともありました。
また、最初は意見を言えなかった子どもがだんだんと意見を口にするようになったり、人の意見を受け入れられなかった子どもが、最後には他の子どもの意見でも尊重できるようになったりと、計画段階でも成長が垣間見えるのだそう。
サマーキャンプ当日、子どもたちはキャンプ設営から村散策、川遊び、火起こし、食事の準備など、田舎で過ごす3日間という非日常を、思いきり体験しました。
キャンプに行った子どもたちからは、「これまで関わりがなかった人でも、キャンプを通して魔法にかかったように仲良くなることができた」「また次のキャンプも参加したい」などの、大きな反響が寄せられたといいます。
様々な環境で過ごす子どもに、サマーキャンプで楽しい田舎体験を届けたい
現在育て上げネットでは、サマーキャンプを開催するための費用を募る、クラウドファンディングに挑戦中です。集まった資金は、育て上げネットの活動拠点である東京都立川市の子ども最大20名と、スタッフ5名が、サマーキャンプを実施するための宿泊費・食費・交通費などに使われます。
工藤さん:楽しい体験、初めての経験、みんなで協力をしてご飯を作り、「寝ろ!!」と言われても寝ないで語りつくす夜。志と理解のある村人とのコミュニケーション。子どもたちにとってすべてが新鮮なようです。
夏を楽しめない環境にある子どもたち、田舎を持たない、または、田舎があっても行くことのない子どもたちにとびきりの「田舎体験」を届けたいのです。
今回ご紹介したように、事情があって夏休みあまり出かけられず、思い出が作れないという子どももいます。それに対して助けを出せる社会であってほしいのです。
大人になった今、「夏休み」という言葉を聞いて、私は懐かしさとともに恋しさを抱きます。それぞれの子どもの夏休みに、少しでも楽しい思い出を添えたい。夏休みという言葉にポジティブな印象を持つ子どもが、1人でも増えてほしいと、強く思います。
様々な環境にいる子どもたちに「楽しい夏休みの思い出を届ける」このプロジェクトを、一緒に応援しませんか?
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