(C) Good Job! Award

私たちの人生の重要なテーマのひとつに「働くこと」があります。 実際、「大人になって、働く時間が自分の人生の大部分をしめるようになった」という人や、「仕事は自分の生きがいのひとつだ」という人もいると思います。だからこそ「自分はどんな仕事を、どんな働き方でしたいのか」を考えて悩む人は、多いのではないでしょうか。 社会の風潮としても、働き方が見直され、どこで、どんな仕事を、どんな人たちと一緒にするのか、自由に選択しやすくなってきたように感じます。私自身、正社員としてひとつの企業に勤めるという働き方ではなく、「一緒に働きたい」と思える人との仕事をいくつか並行するという、新しい働き方にチャレンジしています。 「私らしく働き、私らしく生きる。」 そんな働きかたの変革は、実は、障害のある人々の働く環境でも、少しずつ起こっています。そして、そんな先進的な働くカタチを作り出している人や団体、企業を表彰し、一人ひとりの可能性を生かせる仕事を社会に向けて発信する「Good Job! Award」 という取り組みが、この冬開催されます。

「協働」に着目し、「働く」を変える

【写真】店頭でプロダクトを説明するスタッフに、耳を傾けるお客さん。穏やかな空気が流れている。

(C) Good Job! Award

Good Job! Awardは、一般財団法人たんぽぽの家の「Good Job!プロジェクト」のひとつです。このプロジェクトの大きな特徴は、福祉の領域を超えて、障害のある人々の働くカタチをデザインすることにあります。 今回ご紹介するGood Job! Awardも、「新しい仕事や働きかたは、異分野との“協働”から生まれる」という考えを基に、障害のある人の「創造性」や「表現」と、企業や行政、伝統産業、デザイナーなどとの掛け合わせから、既存の価値観を変えるアイデアや感性を生むことを目指して始まりました。

(C) Good Job! Award

障害のある人との「協働」によって生まれたものであれば、有形無形問わず、製品、活動、仕組み、空間などどんなものでも、全国からエントリーが可能なGood Job! Award。応募作品の審査基準になる6つの視点にも、「既存の価値観を変え、新しい仕事を生む」という想いが表れています。

(C) Good Job! Award

2015年からスタートし、過去2回開催したGood Job! Awardには、計173もの企業、団体、個人からの応募が集まりました。その活動を表彰することで、新しい働きかたを社会に向けて発信し続けているのです。

一人ひとりの可能性を生かせる社会を

(C) Good Job! Award

主催団体である「たんぽぽの家」は、自分らしく生きたいという個人の願いを大切に、多様な価値観を認め合えるような文化づくり・社会づくりを目指しているといいます。 私がとても素敵だなあと思ったのが、「たんぽぽ憲法」という独自の思想を持っていること。どの章も「その人」という言葉から始まるこの考えかたからは、一人ひとり“個”を大切にしているんだということが、ひしひしと伝わってきませんか。

【写真】たんぽぽ憲法が1から8まで載っている。

(C) Good Job! Award

実際、過去のGood Job! Award受賞作品も、一人ひとりの個人に目が向けられ、かつ障害のある人との協働から生まれた魅力的なものばかりが揃っています。 その中には、soarが以前紹介した、文字を読むことが困難な人に向けた「読む行為」をサポートするスマートグラス「OTON GLASS」も!

【写真】スマートグラスを実際につけてみる女の子。どこか驚いたような表情を見せている。

(C) Good Job! Award

昨年度大賞をとったNPO法人ひょうたんカフェの「はじまりは一本の糸から〜」は、障害のある人の創作活動を所得に繋げ、まさに新しい仕事を生み出す取り組みでした。

(C) Good Job! Award

その所得に繋げる仕組みも素晴らしいのですが、模様や色の組み合わせで障害のある人の個性を表現したり、るりさんが織れば「るり織り」と商品名を付けるなどの工夫もされています。織った人の個性を大切にしたことで、いきがいも生みだした点が高く評価されました。

Good Job! Exhibition 2016-2017 from GoodJob on Vimeo.

誰もが働く喜びを実感でき、主体性をもって暮らせる社会へ

(C) Good Job! Award

障害のある人を取り巻く働く環境には、まだまだ解決しなければいけない課題もたくさんあります。 約788万人の障害のある人のうち、約4割が在宅者で仕事もないという現状。また、働いていても多くの人が、単純労働しかできない環境や所得の低さに悩み、“はたらきがい”や“いきがい”といったものを感じられていないそうです。

(C) Good Job! Award

しかし、だからこそその中に、私たちが「働く」を考えなおすきっかけがあると、主催団体であるたんぽぽの家さんはいいます。

はたらくことが問いなおされている今の時代に、どのような「しごと」が必要とされているのでしょうか。暮らしと調和がとれていたり、地域とつながりがあったり、所得をしっかりと得られたり。価値観が多様になる中で、はたらき方の選択肢を増やすようなしごとのあり方が求められています。 私たちはそのヒントが、障害のある人のしごとや生活のなかにあると考えています。障害のある人と協働をしている現場から取り組みをひろく募集し、展覧会・メディアを通して社会に発信します。

(C) Good Job! Award

人が労働に合わせるような既成の労働観にとらわれるのではなく、仕事自体を人の可能性が最大限活かされるカタチに変えていくこと。それが、たんぽぽの家の目指す、「誰もが働く喜びを実感でき、主体性をもって暮らせる社会」です。

あなたの周りに新しい仕事のカタチはありませんか?出展作品を募集中

【写真】出展の様子。小さなブースにそれぞれの展示が飾られている。

(C) Good Job! Award

現在、Good Job! Award 2017は、出展作品を募集しています。 2018年2月18日(日曜日)には、東京・渋谷ヒカリエにて最終審査会にて大賞を決定。また、入選作品は同じく渋谷ヒカリエで2017年2月17日〜20日に開催される「Good Job!展」に展示されます。 どんな仕事に就くのがよくて、どんな生き方をすると人生が豊かになるのか。きっとそこには正解なんてなくて、人によって「これがいい」というカタチは違います。何を選ぶのか、最終的に決めるのはいつだって自分しかいません。 だからこそ、自分の目で、新しい働き方や生き方をしている人や取り組みに出会えるといい。その時、私たちは選択肢を広げ、自分自身の可能性を信じられるようになるのだと思います。 Good Job! Awardは、障害のあるなしに関係なく、一人ひとりが自分らしく働き生きるためのヒントを私たちに示してくれるでしょう。

(C) Good Job! Award

応募情報: 募集締め切り:2017年10月18日必着 大賞特典:賞金100,000円 入賞特典:東京・渋谷ヒカリエで開催するGood Job! 展に出展 Good Job!基金による応援 など 詳細はこちらから:http://award.goodjobproject.com

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