【写真】外で笑顔でほほえむいながきともいさん。いながきさんの腕の中には、笑顔でほほえむ双子の男の子たちがいる。

はじめまして、稲垣智衣です。私は大学卒業後、地方の放送局でアナウンサーになり、その後フリーアナウンサーとして東京の放送局を中心にラジオやテレビの番組を担当してきました。

現在は3歳になった双子の男の子の子育てに奮闘中の母親でもあります。そして、双子サークル「ツインズタイム」の発起人と、妊娠中の多胎家庭を支援する団体「ツインズエイド」の代表を務めています。

どちらも2018年に同時に立ち上げた、多胎児の親によるボランティア団体です。多胎児を育てる家庭が少しでもラクに、楽しく子育てができる社会を目指して活動しています。

今回は私の双子の子育て経験や支援団体の活動をする上で感じた多胎家庭の問題、そして理想の社会についてお話ししたいと思います。

喜びよりも不安の方が大きかった多胎妊娠

赤ちゃんは無事に元気だよ!でもね、ちょっと……待ってね。

少しの沈黙の後、「実は双子なんだよ!」と主治医から告げられて初めて、私は双子を妊娠したのだと知りました。予想していない出来事にとても驚き、「え〜~!!」と発した私の声は部屋中に響き渡り、夫はびっくりしていました。妊娠9週目でのことです。

当時の私にとって「双子」の存在は未知なる世界。雑誌で見た妊娠期間中のお楽しみイベント「マタニティーヨガ」や「マタニティー旅行」に憧れるような今時の妊婦だった私は、嬉しさで胸が高鳴りました。

【写真】インタビューに答えるいながきともいさん

しかし、その後すぐに多胎妊娠のリスクの説明を受け、憧れは打ち消されたのです。

前提として、多胎妊娠は単胎の妊娠に比べてリスクが大きいと言われています。私の場合、妊娠したのは一卵性の双子でした。

そのうちの「MD双胎(1つの胎盤を2人で共有し、それぞれの胎児がそれぞれの羊膜に入った一絨毛膜二羊膜という状態)」だと診断され、しかも高齢出産ということもあって、「ハイリスク妊婦」だと伝えられました。

また、双子であることで命に関わる妊娠合併症が起こりやすいということも。様々なリスクがあるので、妊娠37週に帝王切開で出産することが決まりました。

多胎妊娠は「安定期のない妊娠」だから、いつ何が起こるか分かりません。妊娠中はとにかく安静にして休むようにしてくださいね。

主治医からそう告げられ、私もインターネットや本で多胎妊娠について調べてみましたが、具体的なリスクの内容や予防方法などの情報を見つけることができません。保健所が開催している妊婦向けの講座も単胎児用の内容で、「双子の場合はどうしたらいいの?」と疑問が深まるばかり。

「実際の話が聞きたい!」と足を運んだ保健所の双子会。輪になって順番に悩みを話していたところ、会の常連さんの2歳の双子のお母さんが突然泣き出したのです。悩みは「これまでの双子の育児が正しかったのか、自信がない」というもの。

少し先の先輩ママも不安なままずっと子育てしているんだ……。この先、子育てに明るいイメージを持つことは難しいの?

先輩ママの涙を見て、将来に不安な気持ちを抱きました。

その後、重くなった雰囲気の中で、「育児の大変さは知ることができました。では、双子を産んで良かったことを教えてください」という質問が出て、空気が少し変わりました。その妊婦さんも、私と同じように少しでも具体的な話を聞き、安心して帰りたかったのだと思います。

同じように多胎児を育てるママなど、多胎の親だからこそ出会えた人がいる。子供たちが運んでくれたご縁だと思う。

このように、先輩ママの明るいお話を聞けたことで、当時不安いっぱいだった私も少しだけ希望を持つことができました。

区役所や保健所、子育て施設などに多胎妊娠や育児に関する具体的な情報を求めましたが、私にとって納得できるものは得られませんでした。専門的な知識を相談できる人は主治医しかおらず、診察のときは質問を書いたメモを握りしめ、短い時間でも聞き忘れが無いよう臨んでいました。しかし、診察の時間で全ての不安を拭うことは難しかったと思います。

【写真】真剣な表情で身振り手振りを交えてインタビューに答えるいながきともいさん

妊娠6か月を過ぎると急にお腹が大きくなり、腹痛、息切れ、足のむくみ、足がつるなどの症状が出始めました。特に辛かったのが貧血で、薬の副作用で便秘にもなりました。

「双子を授かったことでこれからもっと大変な思いをするかもしれないけど、苦労も喜びも含めて、神様からあなたに与えられたプレゼントなのよ」
「どんな子どもが生まれても、一緒に親になろう」

「とにかく目標の37週まで持ち堪えたい」という思いだけを胸にベッドの上で過ごすしかなかった私は、母や夫からの強く優しい言葉に心から励まされました。

正しい情報を知っていれば、もっと素直に出産を喜べたのかもしれない

妊娠 8ヶ月が経った頃の真夜中、急に破水が起きました。主治医からは順調と言われていただけに、最初は何が起きたのか分からず、夫が自宅にいたことが唯一の救いでした。不安な気持ちのまま救急外来へ行き、数時間後には手術台の上に。

そして、前期破水により緊急帝王切開で双子を出産。我が子は1600gと1900gと、ふたりとも2500g未満の低出生体重児として誕生しました。

全身麻酔で産声を聞けず、慌てふためいた夫は子どもを携帯電話で録画するもなぜか消去してしまい、私は心から待ち望んだ誕生の瞬間を知りません。双子はそのままNICU(新生児集中治療室)に入り、初対面は出産の翌日となりました。

急にぺちゃんこになった自分のお腹を見て、「子ども達をもう少しお腹の中で守ってあげたかったのに、普通の出産をすることが出来なかった」と、ひどく落ち込みました。

主治医や助産師からはお祝いの言葉をいただきましたが、「もっと自分にできることはあったのではないか?」と悲しんでいた私の耳には届いていませんでした。

今では無事に生まれた双子と、手を尽くして最後まで励ましてくださった主治医、助産師さん、看護師さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

【写真】笑顔でインタビューに答えるいながきともいさん。横にはいながきさんをみつめるお子さんがいる。

ただ、多胎妊娠はハイリスクな上に情報を得づらいため、妊婦が社会から孤立していくという課題もあります。「多胎児の半数が早産(37週未満)、7割が低出生体重児で生まれる」という実情も、多胎支援に取り組む中で知りました。

妊娠した段階から医学的な情報や知識を得ることができていれば、自分のことを責めずに素直に出産の喜びを感じることができたのではないか?

同じような思いをする妊婦さんを増やしたくない。この経験が、現在の私を支えています。

新しい多胎家庭をサポートするには、同じ目線で話せて共感したり、事情を話し合える仲間ができることが大切。悩みや不安を少しでも解消して、具体的に子育てのイメージが湧くような安心できる場を作りたい。

そう心の中で思っていました。

必要な労力も時間も2倍以上!とにかく忙しい双子の子育て

私の育児は、双子がいる病院のNICUに母乳を届けるところから始まりました。妊娠期は大きなお腹でベッドに横たわっていたので筋肉が弱まり、産後回復もままならず、思うように体が動きません。駅の階段を歩くだけでもすぐ息切れし、途中で立ち眩みが起きてしゃがみこんでしまうことも。

それでも、双子に会える時間はとても愛しいもの。看護師さんから授乳や入浴のアドバイスをいただいたり、私自身の回復の時間を与えてもらったことで、焦らずゆっくりママになることができたと思います。

【写真】街頭で、笑顔でどこかをみつめるいながきともいさん

いよいよ退院後、3時間ごとの双子の授乳が始まります。少しでも側を離れると、双子の両方もしくはどちらかが泣くので、常に抱っこして授乳している状況。1人の世話をしている間にもう一方が泣き出しても、仕方ないと割り切るしかありません。

吐き戻しや排泄することに加えて、生後2週間〜2ヶ月頃の乳児に見られる「乳児湿疹」もあったので、汗を拭いたり入浴後はこまめに薬を塗ったり、着替えやおむつ替えも頻繁に必要でした。その度に増える洋服、タオル、シーツなどの大量の洗濯、2人分の哺乳瓶の消毒など……。

睡眠時間は1時間ほどで当時の記憶はほぼありません。母も2か月ほど助けに来てくれたのですが、過労で倒れてしまいました。

双子の場合、1人を育てることに比べて時間も労力も2倍以上。「自分が3人いたら良いのに!!」と何度思ったことか!本当に複数の大人の手が必要なのです。

先輩ママのつながりと家族の協力、決して1人ではできないことばかり

双子のお世話をするとあっという間に1日が終わる生活でも、ずっと家にいるのは退屈です。生後3か月から1日1回、近所の公園や児童館に出かけるところから始めました。外出の準備にかかる時間は4時間ほど。いざ出かけると、2人が泣きだしたときに1人で対応するのも、慣れない双子ベビーカーで段差や狭い道を通るのも一苦労でした。

それでも頑張って出てみると、通りすがりの方々から「可愛いわね!」「大変だけど、すぐ大きくなるから大丈夫よ。」などの優しい言葉をたくさんかけてもらい、元気付けられました。

坂道で一緒にベビーカーを押してくださったり、電車の階段でベビーカーや荷物を運んでくださったり、多くの方に優しくしてもらいました。

【写真】公園で、双子用のベビーカーに子供をのせ、笑顔で歩いているいながきさん。

あるとき通っていた児童館で、双子を育てた親でもある先生に出会いました。その方は、先輩ママだからこそ苦労や事情を理解してくださって、明るく笑い話をしてくれて嬉しかったです。

次第に地域で双子を抱える私に寄り添ってくれるようなママ友が増えていき、同時期に出産したママ友と生後6ヶ月を祝うハーフバースデー、ハロウィン、クリスマス会、新年会などを開催し、子どもたちの成長を喜び合う思い出もできました。

自分からさまざまな人とネットワークを築いて喜びや悩みを共有することで、私自身の毎日も充実します。一歩外に出ることは本当に大変ですが、双子を育てているからこその出会いもあるのです。

当時、双子の育児の参考となる本はあまりありませんでした。

例えば、単胎児では肌着やカバーオールは1人あたり2、3枚ほど必要と書かれていますが、実際の双子育児では洗濯時間が無いことを考慮すると、私の場合は2人で30枚以上必要でした。準備をしているとき、双子の先輩ママが「あるだけあったほうが良いよ!全部使うから!」とアドバイスしてくれて、たくさん譲ってくれたので助かりました。

また、譲ってもらったおすすめの便利グッズ「電動のハイローチェア」はフル稼働。こんな風に、育児については先輩ママの実体験に基づいた情報が一番役に立ちました。

【写真】双子用ベビーカーにのって、お菓子をたべているいながきさんの二人の子供たち

他に工夫していたことは、「1日のリズムを作ること」。午前中に外出し、双子の入浴を済ませることを日課にしていました。その後にミルクを飲ませて寝かしつけると双子は揃ってぐっすり寝てくれて、午後に備えて私の体を休める時間にできました。

また、家族内で1日の子育てのタイムスケジュールを共有することで、「1人で頑張りすぎていないか?」と役割を見直したりできるのです。当時夫は出張が多く、1人で面倒をみるときが多くありましたが、長期出張の際は母が助けに来てくれることもありました。

今でも細かいことを報告したり、労いの言葉を声に出して伝え合っています。家族全体で双子を育てる理解と努力によって、ママ達は救われるのです。

孤独な子育てをしている人へ、あなたは1人じゃないと伝えたい

双子が0歳の頃から、子育てママと社会をつなぐイベントやサロンを運営している「子育てママ応援塾 ほっこり〜の」代表の内海千津子さんから「北区で双子会を開催してみませんか?」とお話を頂いていました。

私は頼れる人が少ない中で育児をしていたため、行動できたのは双子が2歳になってから。子育てイベントが開催されるときに、多胎支援の団体を通して双子子育てブースの出展メンバーを募りました。すると数名のメンバーが集まり、そのうちの2人と一緒に双子サークル「ツインズタイム」を立ち上げ、運営を行うことに。一緒に活動してくださった2人には大変感謝しております。

活動では、お話し会、講座やイベントを開催したりしています。開催するにあたり、先進的な多胎支援活動に取り組んでいる団体や医療関係者などのところへ、ときには自ら双子を連れて指導を受けに行ったりもしています。

活動で意識したのは「参加したママとパパ(家族)を少しでも明るい気持ちにする」こと。

どこかで孤独な気持ちを抱えながら多胎育児に励んでいるママやご家族の声を聴き、「あなたは1人じゃない。仲間がいるよ!」と伝えたい。

次第に活動は大きくなり、月に1回の相談会やピクニック、季節ごとのイベントを開催し、2019年3月までの1年間で、のべ26家族(大人約150人、子ども約190人)が参加する会へと発展しました。

【写真】笑顔でインタビューに答えるいながきともいさん

アナウンサーになるときに抱いていた「人と人をつなぐ架け橋になりたい」という使命感を思い出し、常に学ぶ姿勢を忘れずに「双子家庭の命を守る大切さ」を感じました。

多胎家庭の問題を広く認知してもらうことで、子育てしやすい社会に繋がる

現在力を入れているのは「ツインズエイド(旧「多胎ファミリー教室プロジェクト」)」代表としての活動です。

地域サークルのみでは多胎家庭への支援は不十分。妊娠した早い段階から情報を提供したり、仲間づくりを促したりするような支援が必要に違いない。

そして、多胎家庭が抱える問題を社会でも広く知ってもらうことで、より多胎家庭の子育てがしやすい社会になるのではないか?

そう思い、多胎支援の活動をする中で出会った多胎児ママさん有志7人で始めました。その中には助産師、臨床心理士、企業保健師などの専門家もいます。

2019年度の主な活動は、大きく3つあります。

1つ目の「多胎ファミリー教室」では、多胎の妊娠・出産に関する知識や情報を提供し、仲間作りをお手伝いします。2019年7月に開催した「ふたごちゃん&みつごちゃんのためのプレファミリー教室」では、妊娠中の多胎家庭6家族12名が参加し、教室は満席でした。

講義では、助産師による「妊娠出産の基礎知識」、企業保健師による「子育てサービスの紹介」や、「出産に向け具体的にどんな準備をしたり、出産後はどんな生活をしたのか」などをお伝えしました。人気の双子用ベビーカーや多胎家庭向けのグッズ展示も人気でした。

「先輩ファミリーとの交流会」では、終了の合図をかけるのが心苦しくなるほどの大盛況で、参加者同士の繋がりも出来ていました。

教室に参加して得た情報で具体的なイメージが湧き、将来への安心感を抱くことができました!

このような感想を頂き、嬉しかったのを覚えています。関東地方で多胎の親によって多胎妊娠中のご家族向けにこのような教室を開催するのは初めてとのことで、2018年の初開催のときから多くのメディアに取り上げていただきました。

2つ目の「多胎家庭向けウェブアンケート」は、2019年6月に全国で実施。多胎家庭が求めるサポートや課題をより明らかにできたらと考えています。また、このような調査をする中で、将来的には大学などの研究者とも連携できたらという希望もあります。

3つ目は「多胎家庭向け冊子の作成」です。まだ手がかかる幼い双子を育てる親でもあるメンバーですが、「子育ての記憶が鮮明なうちに取り組み、新しい多胎家庭の方々と同じ目線で情報を届けたい」と思って取り組むことにしました。教室や子育て関連施設で販売して多くの方に参考にしていただくため、2020年2月の完成を目指しています。

【写真】笑顔のいながきともいさん

支援者同士のつながりを増やし、どこへいっても安心して子育てできる仕組みを

2019年3月、愛知県で三つ子の1人を虐待死させた母親が実刑判決を受けたニュースが注目を集めました。母親は1人で3人の子どもの面倒を見ており、心身の疲労が蓄積していった実情や、様々な困難のある多胎育児に対する社会支援の普及の必要性が伝えられました。

この事件は決して人ごとではありません。多胎に関する問題を社会全体の問題であると提起し続けることは、当事者である私達の重要な活動だと考えています。

多胎家庭には妊娠期から行政機関の保健師や医療機関、子育て関係の団体などといった地域ネットワークとつながり、サポートや支援の輪を築いていくことが必要なのです。

【写真】公園で二人の子供たちと遊ぶいながきともいさん

「支援者同士で支え合う場」も大切です。多胎サークルのリーダーは子育て真っ最中のママであることが多く、リーダー1人でモチベーションを維持しながら情報収集を行い、活動を継続させていることがあります。これでは1人の負担が大きく、行き詰まるかもしれません。

多胎家庭を支援する側の人達にも、全国に多くの仲間がいる。情報交換しながら、視野が広がり新鮮な気持ちになるような出会いが広まってほしい。

私たちの多胎支援の活動は、メンバーも「楽しい!」と感じる出会いがあってこそ継続に繋がると思うのです。

双子で生まれてきてくれてありがとう。多胎だから感じる喜びや感動

現在3歳8か月を迎える我が家の双子。

生まれたときからいつも一緒で、はじめは言葉を交わすことなくお互いを感じるだけだった2人。次第にやりとりが生まれ、喧嘩をしたり励ましあったり関係が発展していく姿を見ると「2人で生まれてくれて良かった」と思います。

今ではそんな「いっしょそだち」の面白さを家族で感じるようになりました。

【写真】楽しそうに二人で話す子供たち

双子育児では成長スピードや個性の違いなどもあります。「2人同時に上手く成長を促せているのか?それぞれにもっとできることはないか?」と不安になるときもあります。

そんなときは、NICUで眠る双子に「命だけは助かってほしい」と願っていた頃を思い出し、「NICUにいた小さな双子が今、健康に成長しているではないか!」と思い直すのです。我が子なりの今の成長を感じながら、焦らずに毎日を送りたいと思います。

多胎支援活動の中では、このように多胎育児だからこそ得られる喜びも共有していきたいです。

大切なのは「受援力」。みんなで助けあいながら子どもを育てていく

子育てをして気づいたのは、「受援力」の大切さです。

子育ては様々な場面で多くの人の力を借りて、社会のみんなで一緒にしていくものなのよ。そしてそこには、楽しさや充実感もあるの。

これは先輩ママに言われた言葉です。私は誰かに頼ることが苦手でしたが、いつどこでどんな助けが必要になるか分かりません。そしていざ助けを求めてみると、考えていた以上に気持ちよく手を差し伸べてくれる人が多くいるのです。

これからも双子はたくさんの人にお世話になり、愛されて育つのでしょう。

【写真】いながきさんにハグされて嬉しそうにピースサインをみせるいながきさんの子供たち

「孤育て」をしている人たちには勇気を出して助けを求めて、何が必要なのかを具体的に言葉で伝えてほしいです。そして、助けを求められた方々には、どうか寄り添ってほしい。そうして「みんなで子育てをすることは楽しい」と思える社会であってほしいと願っています。

また、妊娠中から受けられる公的なサポートもあります。行政や民間にある家事や育児の支援制度、移動支援、相談機関など、利用できるものを積極的に利用してほしいです。

私は妊娠期から地域の保健師さんに相談していました。産後も様子を見に来てくださり「すごく頑張っている自分を褒めてくださいね。1人で溜め込まないで。」と話してくださいました。自分の状況を身近で知っていてくれる存在はとても心強いです。妊娠中から家族で準備していただけたらと思います。

現在の行政による多胎家庭向けの取り組みの多くは自治体独自のものですが、全国どこでも同じような支援を受けられるようになってほしいです。また私たちのような多胎の親、当事者によるボランティア団体とも連携した地域の支援体制がもっと広がってほしいと願っています。

事件や事故が起きてからの支援では、守れる命も守れません。今すぐにでも多胎家庭の命を社会で守ってほしいのです。

「情報提供」と「仲間づくり」で、子どもも大人も笑えるように

育児では、なによりも「ママやパパなど、ご家族の笑顔が大事」だと思っています。笑顔で見守る大人の笑顔は、子どもにとっても最高のエネルギーとなり成長していきます。

ツインズエイドでは、今後もプレファミリー教室や講演会など、多胎に関する様々な支援を通して、新しい多胎家庭に手を差しのべていくと同時に、多胎支援の大切さを広く社会に伝えていきたいと思っています。

そうして多胎家庭が「子育てしやすい!」と実感できるような社会を目指します。私自身も、多胎のママとして鍛えられた明るさとパワーで成長し、支援のバトンを後世に繋いでいきたいです。

多胎家庭のママやパパ、ご家族が毎日笑顔でいられますように。

【写真】街頭でほほえむいながきともいさん

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(編集/糸賀貴優、撮影/工藤瑞穂)