【写真】階段に笑顔で座っているまつおかそうしさん

「セクシュアリティはあくまで自分を構成する要素のひとつ。それが何であれ、自分らしく生きることができる。誰もがそう思える道をつくりたいんです。」

松岡宗嗣さんの言葉、その笑顔には人の心を惹きつける不思議な力があります。自然体でいながら、心の深いところにある強い意志。そっとまわりを勇気づけるやさしい空気。

現在、松岡宗嗣さんは明治大学に通う大学生でありながら、ゲイであることを公表し、LGBTにまつわる様々な活動をしています。今回は彼が関わる活動と、そこに至るまでの物語をお届けします。

20歳で選んだ「カミングアウトをして生きる」という道

【写真】笑顔で立っているまつおかそうしさん

松岡さんがゲイであることをカミングアウトしたのは、20歳のとき。

「LGBTであってもそうじゃなくても、自分らしく生きられる社会にしていきたい」

そう考えた松岡さんはNPO法人「ReBit」に参加するようになりました。ReBitは大学生などを中心に約300名が参加する団体。「LGBTを含めた全ての子どもが、ありのままの自分でオトナになれる社会を目指す」というコンセプトを掲げ、さまざまな活動を行っています。

たとえば、「自分らしくはたらく」をテーマに「LGBT就活」といった活動も。10月に開催された「RAINBOW CROSSING TOKYO」では、GoogleやGAPをはじめ大手企業が講演やブースの出展などを行い、多くの方が来場しました。

ReBitが主催した「LGBT就活|RAINBOW CROSSING TOKYO」GoogleやGAPをはじめ大手企業15社が協賛し、講演やブースの出展などを行った。

ReBitが主催した「LGBT就活|RAINBOW CROSSING TOKYO」GoogleやGAPをはじめ大手企業15社が協賛し、講演やブースの出展などを行った。

ReBitの活動を経て、松岡さんは「大学でも何かできないか」と自身でも活動の幅を広げていくことになります。

ReBitでは2011年度から毎年「LGBT成人式」というイベントもやっています。みんなで「成りたい人になる節目」をお祝いするというイベントなのですが、ぼく自身、大学でも何かやりたい。そんな思いがずっとあったんです。

松岡さんは自身のことを「ただの大学生」だと語ります。そこにあるのは謙遜ではなく、「普通の大学生でもやれることがある」「ありのままで生きられるようにしたい」「そのロールモデルになりたい」という気持ち。

なぜこういった思いに至ったのか。いつ自身のセクシュアリティに気づき、なぜカミングアウトして生きるという道を選んだのか。まずは子どものころまで遡って、お話を聞いていきたいと思います。

「イジられキャラ」を受け入れていくことにあった違和感

【写真】窓から外を見ているまつおかそうしさん

ゲイかもしれない、そう気づいたきっかけは小学から中学校にあがるタイミング。思春期の頃に遡るそうです。

はじめは本当に男性が好きなのか、単なる憧れなのか、よくわかりませんでした。だから、中学の時には彼女がいたこともあるんですよ。「女の人のことを好きにならなくちゃ社会的には『普通』じゃない」と思っていたから。でも、やっぱり好きになるのが男性で。

そこからは恋愛対象が男性であることを隠しながら中学・高校生活を送ることになったといいます。

仲のいい友だちであればあるほど、気の知れた友だちに対する遠慮のない言葉で盛り上がったり、仲間同士で通じるネタや空気があったりするもの。

高校のとき、自分のセクシュアリティについては言えていなかったんですけど、「おはよう!」みたいな感じで男友だちにもどんどんハグしていて(笑)まわりから「お前ホモかよ!」みたいにイジられていたんです。友だち同士の冗談で。それに傷つくというより、ぼくはむしろ「笑いがとれればみんなハッピー」とポジティブに捉えていました。ぼく自身の存在を全否定されているわけでもないですし、苦しいとか辛いとかもなくて。

そんな日々のやり取りでも「違和感」は蓄積されていったといいます。

とはいえ…なんかこう心はずっとチクチクしていたんです。結局オチは「ホモきもい」だったし、「ウソをつくのが嫌だ」という感覚はずっとあったのかもしれないですね。

友だちに言えない自分。隠しつづけている自分。自分にもウソをつく自分。もしかしたら気づかないうちに松岡さんの心は軋み、葛藤が生まれていたのかもしれません。

家族や学校の友だちにウソをついて、ネットで知り合ったセクシュアルマイノリティの人に会いにいったこともあったのだとか。

ネットの掲示板でセクシュアルマイノリティの人と出会うことがあり、実際に会いにいっていました。親には「いつも遊んでいる友だちと遊んでくる」とウソをついて、誰にも見つからないよう、遠い街まで出かけて。ウソをつくことにすごくストレスがあったし、どこかで劣等感を抱えていて。隠さなきゃいけないことなんだと思っていました。

ゲイであることに劣等感を抱えていたと語る松岡さん。その根本には「自身で自身を否定してしまう気持ち」があったそうです。

無意識に「自分はおかしい」と思い込んでいたのだと思います。テレビなどの影響もあって、当時から「おねぇタレント」みたいな人はたくさんいて。そういうキャラってみんなに言われる「キモい」を武器にして笑いをとるのが鉄板。ネットでいろいろ調べてもアダルトなサイトばっかりが出てくるし、自分は「おかしくて、キモい存在」なのだと自覚していました。

実はもともとは内気な性格だったそうですが、小学校の高学年になるとどんどん前に出るタイプになっていったのだそう。「劣等感」と「みんなの前に出ていくこと」、一見すると矛盾するようですが、松岡さんにはそれが生きる術だったと振り返ります。

実は子どもの頃から学級委員長になったり、わりと目立つほうでした。いま振り返るとそれは「みんなから必要とされることをしよう」という意識があったから。劣等感であるセクシュアリティはネタやキャラにしてごまかして、みんなの役に立とうと前に出る。このバランスを取りながら生きることで「自分はここにいていいんだ」と存在価値を見出していたのだと思います。

友だちの「別にいいんじゃない?」の一言で訪れた気持ちの変化

高校を卒業した松岡さんは、大学進学のタイミングで中学・高校時代の友だちに恋愛対象が男性であることを告げたといいます。その時の友人たちにかけてもらえた言葉によって、気持ちに大きな変化が訪れます。

初めてカミングアウトをしたのは高校を卒業してからです。上京することが決まった春休み、中学時代からの仲良しグループで「しばらく会えなくなるからご飯いこう」という場で、ふと「で、結局、宗嗣ってどっちなの?」って聞かれて。「これから毎日会うわけじゃないしいいかな」とカミングアウトしました。その時の反応が「あ、そうなんだ。別にいいんじゃない?」というちょっと冷たい反応で(笑)

なぜ、友だちはちょっと冷たい反応だったのか。その後、松岡さんは友だちに質問したそうです。そこに待っていたのは意外な答えでした。

「ゲイであるということは宗嗣を構成する要素の一つなだけで、別に宗嗣は宗嗣で変わらないでしょ」と言われました。だから「別に」というちょっと冷たい反応だったらしいです。それで「なるほど!」と気持ちが変わっていきました。自分の中でのセクシュアリティに対して思った以上に大きなことにしてしまっていたのかもしれないな、と。将来結婚できるのか、子どもができるのか、こういった当時の自分にとっては答えのない問いへの不安ばかりが大きくなってしまい、逆にそこにばかり目がいっていた。こんな風に気持ちが変わるならもっと早く言えばよかったと思いました。「セクシュアリティについて必要以上に考えなくてもいいかもしれない」と気持ちが変化していきました。

【写真】大学の講義室で笑顔で話すまつおかそうしさん

この経験を経て松岡さんは「もう何を聞かれても大丈夫」というマインドになったそう。大学に進学してからも入学すぐの懇親会でカミングアウト。「友だちと素直に話しあうことで理解を得て、居場所がつくれた」と語ってくれました。

そして訪れる大きなターニングポイント。それは家族へのカミングアウトです。

大学2年のゴールデンウィークだったかな、母親と姉と3人でご飯を食べていたんです。そこで「彼女できた?」って聞かれて「うわー出た」と笑ってごまかしながらやり過ごしていたんです。そしたら「じゃあ、彼氏は?」って聞かれて「…えっ」と5秒ぐらい時間が止まったんですよ。笑ってごまかしながらも「(どういうことだー!)」とパニックで。たぶん高校時代の噂が母親に伝わっていたんだと思います。もしかしたら話すのを待っていてくれたのかもしれない。それならここで言おうと「自分は女性のことは好きになれなくて、男性のことが好きなんだ」と伝えました。

この時にお母さんからもらえた言葉が、いまの松岡さんにつながっていくことに。

「宗嗣の人生なんだから好きなように生きなさい。宗嗣が病気になったときに、誰か隣にいてくれるということが大事で、親としてはそこが一番心配。貧弱なんだから(笑)それが男でも女でも、何でもいいよ」

松岡さん少しだけ照れくさそうにこう話します。

なんか…嬉しかったし、この人の子どもに生まれてよかったって思いました。これが人生で最大のハードルを越えた瞬間でした。

中学・高校時代の友だち、出会ったばかりの大学の友人、そして家族。松岡さんは、アイデンティティを形成するまわりの人たちに理解を少しずつ得ていきました。そして、現在では「セクシュアリティは誕生日や血液型みたいに、自己紹介のときに伝えても伝えなくてもどっちでもいい」それくらいライトなものになるといいなと思っているそう。

この経験こそが彼の生き方、そして大学での活動につながっていった部分です。

セクシュアルマイノリティを面白おかしくするロールモデルがバラエティ番組などにありますよね。ぼくが中学生、高校生だった当時はそれを踏襲して、ネタにするしかないと思っていたんです。笑いにできないなら、黙っているしか道がない。できればもう一本の道があったらよかったなって思うんです。「セクシュアルマイノリティであることは大した問題じゃない」っていう道があればよかったなって。

松岡さんが語ってくれた「もう一本の道」とは、どんなセクシュアリティでも、ありのままで生きていけるという道。

そして彼が具体的に起こした行動がReBitへの参加であり、自ら主催した「MEIJI ALLY WEEK」というキャンペーンでした。

LGBT支援を表明する人=ALLY(アライ)を楽しく増やす

MEIJI ALLY WEEK」とは、明治大学構内で開催されたLGBT支援者「ALLY(アライ)」を増やしていくためのキャンペーン。松岡さんをはじめ学生たちが主体的に企画し、たくさんの仲間と大学を巻きこんで2015年12月に約一週間かけて開催されました。

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MEIJI ALLY WEEK…「LGBTのことはよくわからないけど、きらいじゃない!」という明治大学の学生に、ファッションを通してLGBT支援者であるAlly(アライ)になってもらおう!という1週間のキャンペーンです。MEIJI ALLY WEEKをきっかけに、誰もが「自分らしく」生きることのできる社会を目指します。

ALLY(アライ)…LGBTを理解し、支援したいと思う人々をAlly(アライ)と呼びます。Allyが増えることで、LGBTは、よりカミングアウトしやすくなります。また、Allyの人たちがLGBTに配慮した言動をすることで、LGBTはカミングアウトしなくても、より安心して、そして、より自分らしく生きることができます。
引用:「MEIJI ALLY WEEK

とてもユニークなのは「たくさんの人たちが一緒になっておしゃれに楽しみながら参加できる」というところ。ファッションショーやドリンクプレゼント、SNSへの写真投稿などを通じて、松岡さんたちは思いを伝えていきました。

【写真】顔の上に飾りがある服などのファションショー

【写真】SNSに投稿するための写真を撮るスポット

LGBTだろうが、LGBTじゃなかろうが、みんな白い服を着て写真を撮ってSNSにアップするという企画がありました。「白」は光の三原色を集めた色。セクシュアリティはグラデーションであり、これから誰もが自分らしい色を描いていける。そういったことを伝えたかったんです。

公式サイトをはじめSNSで発信されるメッセージや写真、どれもがポジティブで明るく、楽しそうなもの。こういった「見せ方」も学生たち自身で考えていったそうです。

たまたまデザインが好きというのもありましたし、大学生たちの若い目線でやりたいと思っていたんです。社会がよりよくなるためにはどうすればいいか。たくさんの人にも受け入れてもらえるよう、楽しくポジティブな見せ方を工夫しました。もちろん、痛みなどを原動力に苦しんでいることを伝える方法も重要だと思います。ただ、ぼく自身、面と向かってゲイであることを強く否定されたことがないので、自分のなかには「楽しく」だったり「かっこよく」だったりがあった。だからこういった形が自然でした。

MEIJI ALLY WEEK公式twitterより

MEIJI ALLY WEEK公式twitterより

ALLYは本来、LGBT支援を表明し、公の場にて権利を主張するストレートの人を指します。ただ、松岡さんたちが掲げたALLYはもっと広いもの。

伝えたかったのは「誰もが誰かのALLYになれる」ということ。LGBTの当事者であってもALLYになれると思うんです。ぼくはゲイですが、レズビアンやトランスジェンダー、他のセクシュアリティの人の気持ちを全て理解できるかというと、当然そうではありません。でも、もし困っている人がいたら味方でいたい。さらに、LGBTだけじゃなく、生まれた土地や肌の色、いろんな違いに対して味方でありたいと思った時、「誰もが誰かのALLYになれる」のではないかと考えています。そう表明する人を増やしていきたいです。

【写真】メイジアライウィークの運営者のみなさん。白色の服装で統一している。

ふと思ったのは「あなたの味方です」という言葉を私自身が誰かにかけてあげたことがあったか、いつそう言えたか、ということ。たった一言「あなたの味方です」をちゃんと言葉にする。その温かさと大切さに触れた瞬間でした。

誰もが誰かの味方になれます。誰もがALLYになれるんです

こう話す松岡さんの表情がとても印象的でした。

【写真】大学の講義室で笑顔にで話すまつおかそうしさん

ラベルはいらない? アイデンティティと社会的な必要性の間のジレンマ

こうしてNPOや大学での活動、個人での講演、ハフィントンポストでの執筆など、活躍の幅を広げてきた松岡さん。活動によって得られたことをこう語ります。

「セクシュアルマイノリティであることを苦しんでいるのは自分だけじゃない」そう思えたことは嬉しかったですね。あとは「同じセクシュアリティでも、みんなそれぞれ違う」と知ることができました。活動をはじめて最初の頃って会う人会う人に「あなたのセクシュアリティは何ですか?」と理解したくて質問していたんです。でも、3ヶ月くらいして本当にいろいろな人がいると知って、もう自分の理解を超えるというか。そこから「この人がどんなセクシュアリティなんだろう」っていうことがそれほど重要では無いのだと気づくことができました。

松岡さんは「セクシュアリティにとらわれない人たちが増えると幸せに近づけるのかも」と語ってくれました。実際、ここ数年、若者たちの捉え方にも変化があるそうです。

ReBitの活動で、子どもたちにLGBTについて語る松岡さん

ReBitの活動で、子どもたちにLGBTについて語る松岡さん

大学3年のときに、はじめてLGBTのことを大学のジェンダー論の授業で話をしました。その際「LGBTの人が周囲にいるかどうか」を質問すると、手をあげてくれた人はほんの数名でした。でも、驚くことに今年は3分の1くらいになっていたんです。

個人で講演する機会も多い松岡さんは、ある大学生から講演のあとにぶつけられたストレートな質問が忘れられないといいます。

とても面白かったのが、明治大学のTEDxMeijiUniversityで話した時のこと。LGBTの説明、セクシュアリティはグラデーションであるということ、誰もが誰かのALLYになれるという話をしました。その時、話にきてくれた大学生かいて「なぜ、LGBTという言葉で括るんですか?そんな言葉さえ意識したことがなかった」と質問してくれたんです。友だちにセクシュアルマイノリティの子がいて、それが当たり前で個性の一つと捉えているのに「なぜ、あえて分けるのか」と。それくらい当たり前に思ってくれている人がいることに驚きとうれしさがありました。

自分らしいスタイルで働き、生きていけるロールモデルに。

【写真】街頭のベンチに座り微笑んでいるまつおかそうしさん

自分の問題から、これからはより多く人たちのために問題を解決するためにアクションを起こし、考えつづけていきたい。こんな松岡さんの意志に触れることができた今回のインタビュー。

終盤には、松岡さんがこれから目指していきたいことについて伺うことができました。

僕が目指しているのは、LGBTでもあっても、そうじゃなくても、誰でも自分らしく生きられる社会です。その上で自分がロールモデルになりたい。せっかくオープンにしているんだから「LGBTって思ったより”普通”なんだ」って思ってもらいたいなと。ぼくと同じように悩んでいる人に「話してみたらただの大学生じゃん」と思ってほしいし、僕みたいな人がいてもいいと知ってほしいんですよね。

そして、松岡さんはLGBTの「生きづらさ」の根本を変えていきたいといいます。

LGBTが生きづらい原因の1つに「男らしさ、女らしさ」の部分があると思うんです。ただ、男らしさ、女らしさを否定するのではなくて「自分らしさ」で語れる人が増えたらいいなって。「自分のスタイルはこうで他人のスタイルは違っていい」と。

その上で広めたいと考えていることが2つあるそうで、1つはいろんな違いに対して味方でありたいと思う「ALLY」の存在。そしてもう一つは「ジェンダーニュートラルペアレンティング」という子育ての概念だといいます。

北欧には「ジェンダーニュートラルペアレンティング」という言葉があります。ジェンダーニュートラルな子育てをしていこうという考え方です。これは男らしさや女らしさにこだわらず、子ども自身が好きなものを選択できるようにしていくもの。たとえば、洋服にしても子どもが自分で選べる年齢まで「スーパーマン」と「お姫様ドレス」両方の服を与えたり、読み聞かせる絵本も偏らないようにしたり。その子が「自分は男の子でピンクが好き」と言ったら「いいんじゃない。それがあなたのスタイルなんだから」とそのままにして否定はしない。

この子育てにはLGBTの当事者、そうではない人、双方にメリットがあるのだとか。

ジェンダーニュートラルペアレンティングが広まるメリットとしては、もしその子がLGBTだったら悩まなくて済むし、LGBTじゃない人も、LGBTの人と出会った時、性別を理由に人を判断しないということ。その子が育ったとき、男の子がケーキ屋さんになるのもいいし、女の子でパイロットになるのもいい。将来の選択肢が広がったらいいですよね。じゃあこの概念を広めるために何をしよう…というところは、自分自身子どもを育てた経験があるわけではないので、まだ決まっておらず、これからみなさんと考えていきたいです(笑)

まずは「誰もが誰かのALLYになれる」というコンセプトのもと、ALLYの存在を全国に広げつつ、後々はジェンダーニュートラルな子育ても広げていきたいなと思っています。

こう笑顔で締めくくってくれた松岡さん。今回のインタビューで私が感じたのは、「けっして無理をする必要はなく、ありのままでいい」ということでした。

松岡さんは自身の活動にしても決して特別なものにするのではなくて、肩の力を入れずにやれることをやろうといったスタイルがあります。

ぼくは物事も断言できないし、強くも言えなくて。調和が好きなんですよね。イベントなども準備をやるほうが合っているというか。あとはみんなが楽しんでいるのを、ちょっと輪の外から見ているほうが好きなんです(笑)

【写真】笑顔で話すまつおかそうしさんとライターのしらいしかつやさん

なにも大それたことではなくても、自分の性格であったり、生活の範囲から可能性は広げていける。人生の選択肢をつくっていくことができる。こんな勇気とメッセージをもらうことができました。

ありのままの自分を受け入れあうこと。それはALLYであることを表明することであったり、まずは身近なひとに「私はあなたの味方だよ」を伝えることだったりするのかもしれません。

松岡さんはこれからどう活動を広げていくのか。ますます楽しみとなるインタビューでした。引きつづき、松岡さんの活動を応援していきたいと思います。

関連情報:
MEIJI ALLY WEEK
明治大学からスタートし、早稲田大学や愛知教育大学でも開催されたという「ALLY WEEK」。松岡さんはこの運動を全国の大学に広めていきたいと考えているそうです。思いに共感された方、運営について質問などある方はお問い合わせください。

NPO法人ReBit
ReBitはLGBTを含めた全ての子どもが、ありのままの自分でオトナになれる社会を目指すNPO法人です。

社会の子ども」SmartNews ATLAS Program
松岡さんがインターン生としてスマートニュース社で運営に携わっている映画の鑑賞会やトークショー。同社では「子どもが平等に夢見れる社会を残そう」といったコンセプトを掲げて「SmartNews ATLAS Program 2」という社会貢献プログラムを運営。松岡さんが携わっています。

(執筆/白石勝也、写真/馬場加奈子、協力/鈴木里緒)