【写真】むくのネクタイを身につけお洒落にスーツを着こなす人たち

「カラフルで、カッコよくて、すっごいオシャレ!」

私がMUKUのネクタイを見たときに、最初に抱いた感情です。クラウドファンディングページ内のオリジナルのMVも、すごくセンスがいい!これまで、私は様々な障害者のアート作品やプロジェクトに触れたことがありますが、このプロダクトとMVのクオリティの高さには素直に驚きました。そして同時に、「このかっこよさの裏には、何か意思のあるメッセージがあるに違いない」と感じたのです。

このネクタイは、“知的障がい者と社会の橋渡し”をテーマとしたブランド「MUKU PROJECT」のプロデュースによってつくられたプロダクト。「MUKU PROJECT」は、 知的障害がある人々のアート作品を再編集し、プロダクトとして広めていくことによって、社会に対して新しい価値を提案しようとしているブランドです。

障害者アートの圧倒的なパワーに魅せられた

このブランドを立ち上げたのは、松田崇弥さん。その背景には、先天性の障害である自閉症を抱えている松田さんのお兄さんに対する思いがありました。 お兄さんは、障害が理由で幼い頃から周囲の人にからかわれたりすることが多かったといいます。それを見て、いつも悔しく思っていた松田さんは「いつか知的障害の人に関わる仕事をしたい」と志すように。大学では美術を学び、その卒業制作として、お兄さんの視点を通じて、社会の常識に対して疑問を投げかけたいと考えました。

そのためのリサーチを進めていた際、お兄さんが描いていた落書きを見つけます。 一つのモチーフを繰り返し描く。その精緻な絵に興味を持った松田さんは、時を同じくして岩手県にある「るんびにい美術館」に出会います。知的障害者の描く作品を多く扱うこの美術館で、松田さんは圧倒的なパワーを持つアートに触れました。

そして「自分のやるべきことは、障害者の生みだしたアートのブランディングを通じて、知的障害者の持つ魅力や可能性を世に広めていくことだ」と感じ、このブランドをスタートさせようと決意したのです。

プロジェクトメンバーの熱い思いが、スタイリッシュで最高のプロダクトを実現!

【写真】様々な個性豊かなデザインのむくのネクタイ

松田さんの思いに共感する人々が集まって始まったのが、「MUKU PROJECT」です。 芸術大学出身という強みを生かして、知的障害者のアート作品をベースとしたかっこいいプロダクトを創り、それを広告や映像、写真などのクリエイティブの力を使って発信していくことを目指しています。 プロダクト開発にあたり、様々な商品を検討した結果、個性的なアートを無理なく取り入れやすい「ネクタイ」を第一弾プロダクトとしてリリースすることが決定しました!

しかし、ここで問題が起きました。せっかく作るのだから、最高のプロダクトを作りたいと様々な企業を当たったものの、「こんな精緻な柄は、織りでは再現できない」と製造を断られてしまったのです。10 社以上に断られ続けましたが、MUKUのプロジェクトメンバーはあきらめませんでした。そして最終的に、老舗紳士服ブランド「銀座田屋」さんから「私共の技術であれば、アート作品の細緻な紋様も表現が可能」 との回答をもらうことができたのです!

「銀座田屋」さんは、高島屋やホテルニューオータニに店舗を構える、創業 100 年以上の歴史ある紳士服メーカー。MADE IN JAPANならではの仕上がりの繊細さや丁寧さを持つネクタイブランドとの提携が実現したことにより、最高品質のネクタイを製造することが実現しました。

【写真】紳士服が並ぶ店内。スーツやネクタイがたくさん並んでいる。

メイドインジャパンの老舗紳士服ブランド、「銀座田屋」さん。

るんびにい美術館」のアーティストの作品を用いたネクタイの柄は、現在4種類。どれも個性的で、色彩にあふれたパワーのあるものばかりです。

自閉症と共に生きるアーティストによる、心に問いかけるミュージックビデオ

今回、このネクタイのプロモーション MV として、自閉症のラッパー「GOMESS」さんとコラボレーションしたオリジナルの楽曲が制作されました。この MV をご覧いただけるとわかるのですが、プロダクトの美しさはもちろんのこと、音楽、そして「GOMESS」さんの歌詞が心に響きます。

「ぼくはぼく、あいつはあいつ。ぼくはぼくしかいないから。」

これは、知的障害者の人々の魅力や可能性を表現した言葉とも言うことができるのではないでしょうか。そして、それは何も知的障害者の人々には限りません。私たち生きている誰もが、魅力や可能性を持っているというメッセージ。障害者にも健常者にも分け隔てなく存在する事実だからこそ、この MV や「MUKU PROJECT」が、誰にとっても心に響くのではないかと思います。

知的障害者が心のなかに持つ世界をプロダクトを通して伝えたい

【写真】自身の書いた絵をもち、誇らしげにカメラを見つめるやえがしさん

アーティストの 1 人、八重樫季良さん。彼の絵は、幾何学なパターンを描いたように見えますが、実は独自のアレンジのもと描かれた建築物。それぞれの絵柄 に、1人1人の個性が溢れています。

「MUKU PROJECT」は、「福祉」「チャリティー」のカテゴリーから飛び出したプロダクトをプレゼンテーションし続けることで、知的障害者の創作活動の魅力、パワーが広く認知され、アーティスト自身にも還元されていくことを目的にしている、素敵なプロジェクトだと思います。

現在、「MUKU PROJECT」では、ネクタイ製作の費用を募るクラウドファンディングに挑戦中です!まずは、ぜひクラウドファンディングページ内のプロダクトと、MV を見てみてください。かっこよさ、その裏に託されたメッセージには、きっと心にも響くものがあると思います。

関連情報:
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(2019年12月、「MUKU」をリブランディングし新ブランド「HERALBONY」が誕生。ホームページはこちら