機械はどんどん小型化と高性能化が進み、スマートフォンをはじめ、身につけるモノにも技術が使われるようになってきました。 腕や首に身につけながら、インターネットに接続できたり、色々なことができるモノは「ウェアラブルデバイス」と呼ばれます。 「ウェアラブルデバイス」はうまく活用すると、様々なことが可能になると言われています。
今回は、ウェアラブルデバイスの可能性を感じさせてくれるニュースをご紹介します!
子ども向けウェアラブルデバイス「Moff Band」
Moffが開発する子どもが手首に付けて遊ぶウェアラブルデバイス「Moff Band」が、知的障害特別支援学校での活用において効果が得られる可能性がある、との研究成果が発表されました。 「Moff Band」を付けて子どもが身体を動かすと、スマートフォンのアプリを通じて動きが音に変換されます。
Moffはこれまでに子供向け教育メディアブランドPBS KIDSとコラボしてMoff Band対応の知育アプリをリリースしたり、大人気のゲーム「パックマン」を身体を動かすことで操作できる体感型アプリゲームをリリースするなどしています。
2016年8月には学研グループ 学研教育みらいとの提携を行い、Moff BandやMoffが持つ技術を教育現場で活用することに積極的に取り組んできました。
知的障害特別支援学校におけるMoff Bandの活用についての研究
2016年9月に「日本特殊教育学会第54回大会」が開催され、この大会の開催に合わせて「大阪教育大学紀要第Ⅳ部門教育科学第65巻第1号」が発刊されました。 同冊子内では、大阪教育大学教職教育研究センター特任准教授 池谷航介先生、奈良県立西和養護学校教諭 吉川悠貴先生による「知的障害特別支援学校におけるウェアラブルデバイス(Moff Band)の活用についての研究」成果が発表されています。 Moff代表の高萩昭範さんは「Moff Band」の提供開始直後から反響があった、と語ります。
高萩さん:Kickstarter時からの反応に始まり、海外での展示会での知的障害のお子様を持つ親御様の反応を始め、以前から知的障害者に対して遊び・教育の面から画期的なソリューションになるかもしれないということは色々な方からお声がけいただいていました。
「何かお役に立てることがないか?」と考えていたところに、大阪教育大学の池谷先生との接点が生まれたそうです。
高萩さん:私たちだけの力ではまだまだ足りないという中で、共通のお知り合いの方を通じて大阪教育大学の池谷先生と接点を持つことができました。今回のような研究にご協力ができるようになったことは、アカデミックな観点からのひとつのエビデンスとなり、さらに活用に広がることに繋がることに大きな意義を感じています。
子どもたちの興味関心の引き出しや参加意欲の向上に影響
こうしてスタートした「知的障害特別支援学校におけるウェアラブルデバイスの活用についての研究」では、知的障害特別支援学校おいて「Moff Band」を活用して、遊びの指導と、教科学習(国語・算数科、図画工作科)に関する検証が行われたそうです。 まとめられた成果では、ウェアラブルデバイスの活用によって児童の興味・関心を引き出し、活動への参加意欲を向上させる効果が得られる可能性があることが示唆されています。 加えて、ウェアラブルデバイスを媒介に児童たちが興味関心を共有できたことにより、コミュニケーションや関わりの拡大、学習効果の向上、理解促進が図られる可能性も合わせて示唆されました。
今後は高齢者向けにもアプローチ
Moffが提供する「Moff Band」がソリューションとなり得るのは、何も子どもたちだけではありません。「今後について計画しているのは高齢者向けです」と、高萩さんは語ります。
高萩さん:現在、高齢化社会という流れを受けてMoffというソリューションがお役に立てることについて、大学の先生と連携しながら現在取り組みを進めています。
過去にsoarでもインタビューさせていただいた山根さんの事例のように、シニアの方々もデバイスとの距離を縮めようとされています。 知的障害のある子どもたち、シニアの方々など、幅広い方々にとってソリューションとなる「Moff Band」のこれからに注目したいですね!