【写真】グラノーラづくりを行うグラファミのスタッフ

みなさんは、グラノーラは好きですか?フルーツやナッツなどが入っていて栄養価が高く、朝ごはんにもピッタリですよね。私も、牛乳やヨーグルトと合わせて食べるのが気に入っています。

もともとグラノーラは健康にいいイメージがあったのですが、味付けに使用するお塩や、ナッツ、ドライフルーツにまで、オーガニックな素材にこだわった「La Granda Familio (グラファミ)」が心を込めて作ったというグラノーラがあることを知りました。

こだわりのグラノーラづくりを担うのは、実は障害がある人たちです。そして、グラノーラを製造販売するお店もこれからオープンすることが決定しているのだそう!

今回は、障害のある人たち一人ひとりの個性を活かしたグラノーラづくりに取り組むこちらのプロジェクトを紹介します。

「障害者がつくったから買う」ではなく「魅力的な商品だから買う」を目指して

【写真】グラノーラや目玉焼き、サラダにフルーツとある家族の朝食をイメージした風景

La Granda Familio (グラファミ)は、7月に大阪市内でオープンを予定している、こだわりのグラノーラを製造販売するお店です。

特徴的なのは、障害がある方たちの個性を活かしてグラノーラづくりを行うこと。

化学調味料、合成甘味料などを使用せず、オーガニックの素材を使ったこだわりのグラノーラをつくる職人夫妻と、福祉事業所がタッグを組むことで、このプロジェクトが実現しました。

「障害者がつくったから買う」ではなく「魅力的な商品だから買う」と言ってもらえて、障害のある方が長く携われる仕事をつくり出したい。

このプロジェクトにはそんな思いが込められているのです。

きっかけは障害がある方々の不安を知ったことから

プロジェクトを運営しているのは、障害がある方のための就労支援事業を行っている安江伸二郎さんと、こだわりのグラノーラをつくるLa Granda Familio の澤田さん夫妻です。

【写真】グラファミ店舗前でスタッフと共に並ぶやすえしんじろうさん、さわださん夫妻

安江さんは、もともと勤めていた企業が障害者雇用に積極的に取り組んでいたため、障害がある方と一緒に働く機会が多くありました。

そうした経緯から、しだいに障害者福祉の世界に関心を持つようになり、起業を決意。4年前から就労支援事業所を運営しており、これまでに50名の就労支援を行っています。

支援をしていく中で、安江さんは、収入の少なさや働きたくても働けないこと、生活保護費や障害年金の打ち切りに不安を抱えている人に多く出会います。というのも、福祉事業所の仕事は、低単価の単純作業が多いため、収益があまり上がらずに事業の継続が難しいという背景があったのです。

安江さん:将来の不安を口に出す利用者さんやそのご家族を見ていて、持続可能でやりがいのある仕事をつくり出せないだろうかとずっと考えていました。

【写真】障害のあるスタッフと並んで笑顔でインタビューに応えるやすえしんじろうさん

障害のある方が技術を身に付けられ、やりがいを持って長く働ける場所を提供したい。そうした思いから、安江さんは新たな仕事づくりに取り組んでいきます。

しかし、実現するためには高い技術を持った方のバックアップが必要だと感じていました。

グラノーラつくりの鍵は「製造するその瞬間に集中し、楽しむ人」

【写真】お子さんと顔を向き合ってグラノーラを食べるグラファミのさわださん

そんな中、安江さんは通っていた合気道の道場で、La Granda Familioの澤田さんと出会います。

La Granda Familioは、澤田さん夫妻が5年前に大阪・中崎町で始めた自家製オーガニックグラノーラの専門店です。

「La Granda Familio」とは、エスペラント語で「大家族」という意味。澤田さん夫妻は「地域や社会に役に立つ仕組みを、自分たちなりにつくりたい」と考えて、おいしいグラノーラづくりに取り組んできのだといいます。

【写真】スタッフ、やすえさんとグラノーラについて話すさわださん

La Granda Familioグラノーラは、素材はもちろん、パッケージの仕方や、製造方法にも独自のこだわりを持っているそう。それゆえに、今では有名ホテルのプレミアム朝食として卸販売もされるほど、人気を集めていました。

一方で、つくり手に求めるレベルも高く、事業を大きくするためにどうやって人を採用するべきか、悩んでいたのです。

澤田さん:グラノーラの製造工程はシンプル。だからこそ、つくり手によって味が大きく変わってしまうのです。もちろん、つくり手のコンディションや少しの変化によっても味にブレが出てしまいます。だからこそ、「製造するその瞬間に集中し、楽しめる特性」を持った人にグラノーラづくりを任せたいと思っていました。

そんなときに、澤田さんは安江さんと出会い、「グラノーラを福祉の仕事にしないか」と提案されます。

これまで福祉と接点が無かったという澤田さんは、まずは障害がある方が絵やダンスなどで自身を表現するシンポジウムに足を運んでみました。そこで、澤田さんは衝撃を受けたといいます。

澤田さん:障害のある人が、ものすごい集中力でアートを生み出す姿に魅了されました。彼らの持つ〝瞬間に集中する特性〟と、私がグラノーラのつくり手に求めてるものがぴったり合うように感じたのです。

【写真】両手にヘラをもち、グラノーラの加工を行うスタッフの手元

こうして澤田さんと安江さんは意気投合し、グラノーラ職人と福祉事業所のコラボレーションによるお店づくりが始まりました。

目標は地元の人たちに愛されるお店づくり

現在は、7月にお店をオープンするため、精神障害の方をはじめとした様々な障害のある方たち5名の研修期間中です。

パッケージにシールを貼ったり、グラノーラをまぜたり…いろいろな作業があるからこそ、一人一ひとりが集中できる役割を担えるようにと、個々のレベルに合わせた研修が行われています。

研修生からは、「グラノーラづくりは思っていたより繊細で難しいけれど、出来上がったときには今まで感じたことのない感動があった!」と声が上がるなど、すでにやりがいを感じながらグラノーラづくりに取り組んでいるようです。

【写真】実際のグラノーラづくりを学ぶ研修生

目指しているのは、美味しさに感動してもらえて、「子どもに食べさせたい!」と地元の人たちに言ってもらえるような、愛されるお店づくりだといいます。

安江さん:お客様に継続して買っていただくことで、地域の繋がりもできる。それに、つくり手は自分が必要とされていると再確認することができます。「もっと美味しいものを作ろう!」というモチベーションを持って、長く誇りをもって働ける環境をつくっていきたいです。

そして、障害がある方が楽しく働いている姿を見ることで、彼らの家族や障害がある仲間の希望にもなるのではないか、と安江さんは考えています。

グラノーラは、お店での販売だけでなく、通販や法人への卸販売もすでに決まっているそう。お客様を増やし、持続的に働ける場をつくるための準備は着々と進んでいます。

一つひとつのプロセスに思いの込もったグラノーラがたくさんの人に届きますように

【写真】お店でお客さんにグラノーラを渡す笑顔のスタッフ

現在、安江さんはクラウドファンディングを通じて、お店のオープンに向けた支援を募っています。

こうしてプロジェクトを発信することで、これまで障害者支援に馴染みが無かった方に活動内容を知ってもらいたいという思いもあるそうです。

支援者の方に届けられるのは、焼き立てグラノーラの詰め合わせ。「素材やつくり手など、すべてにこだわったグラノーラを食べてみたい!」そう思って、私はさっそく支援に参加してみました。

【写真】大小のグラノーラ詰め合わせがお店に並ぶ

一つひとつのプロセスにたくさんの思いを込めたこんな商品が世の中に増えたら、日々の生活の中で感じられる小さな幸せがもっと増えるのではないでしょうか。

おいしさと想いがぎゅっと詰まったグラノーラが、たくさんの方の元に届いてほしいです。

関連情報:
「La Granda Familio (グラファミ)」グラノーラ クラウドファンディングページ
La Granda Familio ホームページ