2021年12月22日

                                                                          

はじめに

特定非営利活動法人soar(以下、当団体)は、活動体制等の改善に向けた取り組みのため、一部情報発信等の業務を除き、2021年3月末から対外的な活動を一旦全て停止しており、関係者のみなさまにご心配、ご迷惑をおかけしておりますことをお詫びいたします。

また、理事(当時)の解任に至る事案を端緒とする一連の対応や発信と、組織の活動体制について、これまで関係各所から様々なご意見をいただいておりますことに、改めて御礼申し上げます。

いずれのご意見につきましても真摯に受け止めさせていただき、組織づくりや活動体制、ガバナンスについて抜本的な整備・改善を進めてまいりましたので、本リリースでは、それら各種取り組みの方針や進捗をお知らせいたします。

また、併せて当団体は、2021年12月22日をもって活動を再開してまいります。上記の整備・改善作業を進めていく中で、組織内部のことや活動再開の是非についてはもちろん、広く個人や社会の在り方についても、役員・スタッフ各々が様々な観点から考え、悩み、対話を重ねました。以下ではそれら判断の過程についても一部、記載させていただいております。

1、ビジョンに立ち返って見えてきたもの(組織づくりやガバナンス強化に関する進捗報告)

当団体ではこれまで、「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる」をビジョンに掲げ、メディアや各種事業を通して、人がより善く生きていくための様々な知識や智慧を伝えていくための活動に取り組んでまいりました。

その一方で、法人としての活動の幅が広がり、関わってくださる方々が多種多様になるにつれ、NPO法人を運営していく上で備えるべきガバナンスやコンプライアンスに関する一部機能不全、上記ビジョンに常に誠実であるために必要な具体的な行動の指針が未整備であったことなどに起因して、法人としての存在意義や信頼を揺るがす事態も経験しました。

そこで、法人としてだけでなく、団体運営に関わる役員やスタッフ一人ひとりが、法令遵守はもとより、NPOとしての社会的責任を果たすため、組織全体としての指針(Code of Condact(行動指針)。以下、CoCという)や事業運営上の各種ポリシーを策定の上、併せて相談窓口や組織体制の見直しや整備を行い、それらを行動や発信の基礎とする団体運営を行うこととしました。

(1)CoC、ポリシーについて

・CoC、各種ポリシー策定のプロセス

CoC、各種ポリシーの策定段階では、役員やスタッフと話し合いの場を設け、団体やメディアの存在意義や運営方法、遵守すべき事項などを洗い出しました。また、スタッフおよび関係者に、soarとして大切にしたいことや組織運営に関する課題感などをヒアリングを行って、意見を抽出しました。

その上で、他団体や企業がどのような取り組みを行っているかも参考にさせていただきながら、理事や外部専門家、メンバーや関係者の意見を取り入れ、再考と修正を丁寧に重ねて完成させました。

スタッフが遵守すべき基本事項を記載した、団体の定款と並ぶいわばsoarにとっての「憲法」にあたるものとしてCoC(新設)を位置づけ、これを基盤としながらその他の各種ポリシーを策定しました。

CoCと併せて今回策定したのは、以下の4つのポリシーとなります。

パートナーシップポリシー
CoCを前提に、さらに具体的に、soarの活動に関わる個々人の人権が尊重される関係・環境づくりのために必要な指針を明確にしたもの。

メディアポリシー
CoCを前提に、さらに具体的に、メディアとしての使命やその影響力から導かれるスタッフ及び関係者の責務について定めたもの。

著作権ポリシー
soarから発信された情報が、人々がより善く生きていくための智慧として積極的に利活用されることを目指し、著作権法やsoarとしてのルールをわかりやすく示したもの。

プライバシーポリシー
soarの事業運営における個人情報の適性な取扱いと保護の基本方針を定めたもの。

CoCと各種ポリシーの原文と、目的や関係性、適用範囲、及び、CoCや各種ポリシーに反する行為、またはその発生が予見される事案の報告・相談があった場合の対応については、こちらのページで概要の説明を行っておりますので、ご覧ください。

なお、今回公開に至ったCoCや各種ポリシーは、けっして今の内容が「正解」であったり、これがゴールというわけでもなく、soarの掲げる「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる」というビジョンを実現する第一歩として策定したものであり、同時に、社会通念や時代の変化に応じ、考え続け、行動し続けることで初めて機能するものであると思っています。

だからこそ、団体内でのポリシーの浸透や相談体制の運用の状況については、団体内部に閉じることなく、広くみなさまからのご意見をいただきながら、団体として判断、運営していきたいと考えております。

そこで、意見募集の詳細について、こちらのページの最下部に記載しておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をお聞かせ頂けますと幸いです。

(2)相談窓口について

2021年4月より、当団体関係者による適法性に疑義を生じさせる、または不相当な言動等による被害にあわれた方の相談窓口を、外部弁護士に委託し運営をしておりますが、CoC、各種ポリシーの策定に伴い、soarのスタッフまたは関係者による、CoCや各種ポリシーに反する行為があった場合やその発生が予見された際の相談を受け付ける窓口とさせていただきます。

また、より相談内容の性質や相談者のご要望にあわせた適切な対応をしていくため、相談窓口の運営体制を変更いたしました。

相談をお受けするのは、引き続き、ことのは総合法律事務所の佐藤暁子弁護士(東京弁護士会)にご担当いただき、必要に応じて、精神保健福祉士の和賀未青氏(株式会社ニイラ代表取締役)、社会福祉士の田北雅裕理事による、個別または複数名での相談対応の実施を検討します。

ご相談内容は、担当弁護士が相談者ご本人のご意向を確認した上で、当団体として対応を検討すべきと判断した場合は、調査チームが事実確認を行い、必要に応じて、各種処分や再発防止策などに取り組む流れとなります。

引き続き、相談者のプライバシーを保護し、ご相談を頂いた方の不利益が生じないよう最大限配慮した窓口運営を目指してまいります。

<相談窓口>

担当弁護士:佐藤暁子(東京弁護士会、ことのは総合法律事務所)
担当精神保健福祉士:和賀未青(株式会社ニイラ代表取締役)
担当理事:田北雅裕(社会福祉士)
相談フォーム:https://forms.gle/HNeyrbuMCUcPZQcK9

(3)組織体制について

理事会の体制については以下のとおり、よりガバナンスを強化するための体制の検討を継続しております。

代表理事  工藤瑞穂(常勤)
副代表理事  モリジュンヤ(非常勤、株式会社インクワイア代表取締役)
理事  碇和生(非常勤、株式会社IDENTITY 代表取締役)
理事  ヒグチケンスケ(非常勤)
理事  ドミニク・チェン(社外役員、情報学研究者)
理事  田北雅裕(社外役員、九州大学専任講師/社会福祉士)
監事  小澤いぶき(児童精神科医)

(記載順は役員就任順)

・理事の辞任について

2021年5月21日付けで、理事の櫻本真理氏が辞任いたしました。こちらは、櫻本氏から、自身のSNSでの発信が、当団体の元理事による性加害事案で被害に遭われた方の声を抑圧する可能性があるものだったとして辞任の申し出があり、当団体としてもこれを受理したことによるものです。

当団体としても、櫻本氏において、団体の役員という立場で情報発信するうえで、被害者の方や様々な立場の方々に対する配慮が欠けており、のみならず、個人の発言とは線引きし難い側面での影響力に無自覚であったことは、上記の経緯の主たる要因であるとともに、その他の役員各々にとっても認識を見直すべき課題であると考えております。

今回作成したCoCや各種ポリシーにおいては、役員を含めた団体に関わる一人ひとりが、自らの言動が周囲にどのような影響を与えるのかを自覚して行動していくよう努めることを明記しており、また、今後はそれを遵守できるようにするための機会を設けていきます。

・理事等の役割の明確化

これまでは事実上常勤の理事が1名で団体を運営しておりましたが、今後は内部理事と外部理事を分けた上で、内部理事も「常勤」と「非常勤」に分類し、理事会における役割と責任の所在を明確化したうえで、ガバナンス機能が強化される体制を整理してまいります。

監事も2名体制への変更を予定しており、会計面のみならず業務面についても、これからの時代のNPOに求められる人権の意識を踏まえた、よりガバナンスの効いた意思決定が可能な体制へと徐々に変更していく準備を進めております。

また、理事(当時)の解任に至る事案に係る一連の調査等を実施いただきました、外部弁護士(当時)の小野田髙砂法律事務所・代表弁護士の小野田峻弁護士(東京弁護士会)には、引き続き、当団体の組織・活動体制等の改善に向けた各種取り組みについてもサポートいただくため、この度の活動再開に併せ、顧問弁護士に就任いただくこととしました。

小野田弁護士にはこれまでも一貫して、当団体に対し、一連の調査等に係る法令遵守や人権保障、適正手続きの観点から厳しいご指摘等を多数いただいてきましたが、CoCや各種ポリシー策定のプロセスにおいても、個人や社会の在り方に関する多角的な考え方をご指導いただき、役員・スタッフ各々との対話を重ねていただきましたので、活動再開後は立場を替え、顧問弁護士として、当団体が社会通念や時代の変化に応じ、考え続け、行動し続けることに伴走いただくこととしました。なお、今後、組織のガバナンスに関する調査が必要になる場合には、関係各法令やガイドライン等を参考にしながら、当団体が適任であると判断した外部弁護士に調査等の依頼を行います。

2、「情報のセーフティネット」として(活動再開後の活動内容)

再開後の活動は、まず当団体の主な活動であるメディアの更新に絞って行ってまいります(とはいえ、ガバナンス強化の取り組みや、各種問い合わせやご意見等に適時適切にお応えしつつ、関係者や取材先のみなさんにCoC、各種ポリシーの関するご説明や活動継続の意思確認を改めて行いながらの活動となるため、当面は、活動休止前と同様の本数の記事を出すことは難しいのではないかと想定しております)。

本日まで、活動を休止している期間であったにも関わらず、本当に多くの方々に当団体のメディアを読んでいただき、記事に関する感想等をお寄せいただいており、改めて、「情報のセーフティネット」としてメディアを運営していくことの必要性と責任を感じました。

今後は、これまで以上にスタッフや関係者の方々が安全に働ける環境づくり、みなさまに信頼していただける団体運営を行い、当団体のビジョンの実現に向かって、記事づくりをはじめとした一つひとつの活動に誠実に取り組んでまいりたいと思っております。

以上のとおり、当団体は、対外的な活動・情報発信を徐々に再開しますが、組織のガバナンスについては今後も様々な方のご意見も伺いながら、NPO法人としての社会的役割や最適なかたちを模索し続けてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。