こんにちは!soarライターの原田恵です。普段はライターや編集者として活動していますが、こだわりを持ってくつられた雑貨やプロダクトを見るのが息抜きの一つ。よくインターネットを見たり、お店を回って探しています。
そんな中で最近、障害者福祉施設で作られているプロダクトに目を引かれることが多くなりました。華やかなスイーツに、ちょっと着こなしをおしゃれにしてくれる靴下など、「いいな」と思って調べてみると障害者福祉施設で作られている製品だった、ということが度々あったのです!
就労支援所や福祉施設は、あくまでも障害者の就労や生活を支援するための場所。これまで、障害者が作る製品の魅力や、価値を高めるための取り組みをしているところは限られていました。しかし今、品質やデザインにこだわりを持って作られた製品が増えてきています。こうした障害者福祉施設発の素敵なプロダクトの数々を、これからsoar読者の皆さんにご紹介していきたいと思います!
今回まずご紹介するのは、「食」にまつわるプロダクト。どの製品も、障害者の人たちと一緒につくる過程を大切にしながら、素材や作り方にこだわりながら作られているものばかりです。
障害者の日常を“食”を通じて紹介する「日々のてまひま」
「日々のてまひま」は、複数の障害者福祉施設が作るプロダクトのデザインや、販売を支援するプロジェクトです。プロダクトと共に、それぞれの施設での仕事風景や日常の物語を発信。九州・福岡のクリエイターやデザイナーなど、福祉とは異なる専門分野を持つ人々が集まって、レシピやパッケージデザインなどを手掛けています。
ここがポイント!
◆カラフルなパスタや、はちみつにつけて食べるパイなど、他では見られないおしゃれで個性的な食品!
「日々のてまひま」のプロダクトの特徴は、ここでしか買えないユニークな食品の数々。例えば、「糸島パスタセット」は、紫いもやホウレンソウを使った、色鮮やかなパスタが6色セットになった商品です。ギフト用として大人気で、あっという間に売り切れてしまったのだそう!◆パスタマシンを愛する青年や、果物の実を毎日丁寧に撫でる人など、作り手のストーリーが満載
「糸島パスタセット」の製造を行う福祉施設には、パスタマシンをとても大切にしているスタッフの方がいるのだそう。その様子はまるで“付き合っている彼氏彼女”さながらなんだとか!「日々のてまひま」では、福祉作業所で展開される様々なストーリーを丁寧に紹介することによって、消費者に障害者や施設を身近に感じてもらうことを目指しています。
“恋するように育てられた”豚肉は、老若男女をひきつける「恋する豚研究所」
「恋する豚研究所」は、精肉やベーコン、ハムなどを製造・販売するブランド。「恋をすれば健やかで美味しい豚が育つのではないか?」という思いから、”豚に恋する”のではなく”豚が恋する”ことをイメージして命名されました。千葉県香取市には「恋する豚研究所」が運営するレストランもあり、「恋する豚研究所」の評判を聞きつけた人だけでなく、おいしい食事が楽しめる場所として地元の人にも親しまれています。
soarでの取材記事はこちら!
ここがポイント!
◆「恋をする」ように、施設近くの養豚場で丁寧に育てられた豚肉のおいしさ
使われる豚の品質に徹底的にこだわっている「恋する豚研究所」の豚肉。信頼する1つの養豚場の豚肉のみを使用し、障害者福祉雇用施設で働く人々の手によって、丁寧にハムやソーセージに加工されています。◆グラフィックや建築など、細部にほどこされたデザイン
「恋する豚研究所」は、細部にまで洗練されたデザインによって、設立時から多くの人々の話題となりました。レストランの建築を手がけたのは、ユニークなデザインで知られるアトリエ・ワンさん。数々の建築賞を取る等、福祉業界以外からも高い注目を集めています。
沖縄産にこだわった、爽やかな食品の数々!「琉Q」
沖縄県産の素材を用いた食品を手掛けるブランド、「琉Q」。一般財団法人 沖縄セルプセンターが中心となり、沖縄県内の複数の福祉施設の障害者が製造を行っています。「琉Q」では、食材だけでなく、パッケージに用いるガラス瓶や食器なども沖縄産のものを使用。また、ホームページでは沖縄の人々が、ユーザーからの質問に応えるコーナーも展開するなど、ブランド全体が、“沖縄”という地域そのものを知ってもらいたいという思いに溢れています。
ここがポイント!
◆「沖縄」の豊かな自然や環境を丸ごと伝えたいという思い
食材はもちろんのこと、パッケージまで沖縄産の製品を使用するなど、沖縄のものを使う姿勢が徹底している「琉Q」。その背景には、ただ福祉施設がつくる商品を紹介するのではなく、その背景にある沖縄の豊かな自然や環境、暮らしを伝えたいという思いがあります。◆有名なデザイナー・KIGIによる、これまでの沖縄のイメージを変えるデザイン
「琉Q」のデザインはデザインユニット「KIGI」によるもの。パルコや資生堂など、様々なプロダクトを手掛ける有名なデザイナーです。「KIGI」は、パッケージデザインだけでなく、「沖縄について、現地の人たちが発信する」というブランドの方向性もデザイン。ポップだったり、カラフルなだけではない、“等身大”の沖縄のイメージを生み出そうとしています。
障害者が一流ショコラティエ!百貨店からもひっぱりだこの「久遠チョコレート」
障害者が一流ショコラティエとして働く、「久遠チョコレート」。見た目のおしゃれさもさることながら、チョコレートのクオリティも非常に高く、大手百貨店や物産展でも大人気の商品です。また、「久遠チョコレート」では直営店での製造販売だけでなく、全国各地の福祉施設にチョコレートの作り方を指導したり、販売してもらうOEM事業も実施。より多くの障害者の雇用を生み出しています。
ここがポイント!
◆誕生してから2年半余りで、大手百貨店でも取り上げられるほどのおいしさ
「久遠チョコレート」が誕生したのは、わずか2年半前のこと。短い期間で大手百貨店のバイヤーの目に留まるようなチョコレートブランドとして成長しました。星付きのレストランやホテルで経験を積んだ一流ショコラティエが監修を手掛けており、本当においしいと感じられるチョコレート作りを目指しています。◆「ショコラティエ」という、日本ではまだ珍しい職業に障害のあるひとが就任!
実は、日本にはパティシエはたくさんいるものの、チョコレート製造を専門とするショコラティエはまだ珍しい存在なのだそう。バレンタインやギフトとしての人気の高さなど、その需要は高まる中、本当においしいチョコレートをつくることができる障害があるショコラティエの存在は、スイーツ業界からみても快挙なのです。
熊本の素材を生かしたおしゃれなジェラート「SLOW GELATO」
知的障害者施設「野々島学園」で作られているジェラートブランドが「SLOW GELATO」です。ジェラートには、「晩柑&白岳(焼酎)」、「ご汁&大豆プラリネ」など、素材に熊本県産の伝統的な食材や季節の野菜や果物を使用。カラフルな色彩が、食べる前からワクワクさせてくれます。「野々島学園」の敷地内には、学園の利用者がDIYで改装したジェラートショップが。地元のおしゃれスポットとして定着しているそうです。
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ここがポイント!
◆東京で活躍するフードデザイナーによるユニークなレシピ
「SLOW GELATO」のレシピを監修するのは、フードデザイナー「モコメシ」の小沢朋子さん。東京を中心に人気を博している彼女が手掛けたレシピは、どれも熊本の素材を用いていながらも、洗練された雰囲気を感じさせます。◆クリエイターと福祉をつなげる「スローレーベル」によるプロデュース
「スローレーベル」は、国内外のアーティストやデザイナーと福祉施設や企業を繋げたモノやコトづくりを行うNPO法人。彼らを中心に、ジェラートだけでなく、カフェの空間や、ショップで使用する器などに一流のクリエイターやデザイナーが起用されています。
障害者と食べる人をつなぐ食品たち
今回ご紹介した食品のベースにあるのは、商品作りに関わる障害者や当事者の人たちについて知ってほしいということだけでなく、本当に良い商品をもっと世の中に発信したい、広げたいという思い。その思いが、今社会に障害者がつくる魅力的なプロダクトが広がっていく源となっているのです。
ご紹介した商品の多くは、オンラインショップなどで購入することができます。障害者と食べる人をつないでくれる素敵な商品の数々を、ぜひ味わってみてくださいね。
関連情報
「日々のてまひま」ホームページ http://hibitema.com/「恋する豚研究所」ホームページ https://www.koisurubuta.com/index.html
soarでの記事はこちら!https://soar-world.com/2016/02/01/koisurubuta/「琉Q」ホームページhttp://ruq.jp/
「久遠チョコレート」ホームページ http://quon-choco.com/
「SLOW GELATO」ホームページ http://kumamoto.slowlabel.info/
soarでの記事はこちら! https://soar-world.com/2016/08/04/slowgelato/