【画像】 ANNUAL REPORT2024 NPO法人soar 活動報告書 2024年11月1日〜2025年10月31日

いつもNPO法人soarの活動を応援していただき、ありがとうございます。みなさんのご協力のおかげで、soarは活動10年目を迎えました。

このたび、2024年度(2024年11月1日〜2025年10月31日)の活動や決算についてご報告する、アニュアルレポートが完成しましたのでご報告します。

1.NPO法人soarが目指すもの

NPO法人soar(以下、soarという)は、2015年12月22日にウェブメディア「soar」(以下、メディアという)をリリースし、2017年1月23日にNPO法人化をしました。メディアの運営を軸としながら、学びの場づくり、企業や学校とのプロジェクトなどを通し、誰もが自分の可能性を活かして生きる社会づくりを目指して活動しています。

【画像】soarを真ん中に、読者や取材先、関係者などさまざまなステークホルダーがいる

Our vision:誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる

人の“可能性”に光を当てる私たちが目指すのは、障害や病気、性的・民族的少数性、経済的・機会的な格差などによって、人が自分の持っている可能性にふたをされることがない社会。生まれ育った環境や自身にある困難によらず、誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくります。

Our Mission:人の“可能性”に光を当てる

私たちは様々な困難の中にあっても輝きを失わない“希望”に光をあて、人がより善く生きていくための様々な知識や智慧を伝える活動を通じて、人がその人らしく生きていくことを肯定し、また、肯定する力そのものを見出す指針やきっかけなどの“可能性”を示したいと考えています。 そして、これまで分断されてきた人同士をつなぐことで、新しい価値を生み出し、より多様性のある社会を実現します。

代表理事・工藤瑞穂からのメッセージ

【画像】soarのロゴと、背景には青空が描かれている

2015年、「この世界にある可能性に光を当てる」ことを目指して始まったsoarは、ウェブメディア「soar」のオープンから10年、法人としての活動開始から9年目の年を迎えました。

「人の可能性が広がる瞬間を捉える」というコンセプトのもと、soarはこれまで、多様な人々のストーリーや、人がウェルビーイングに生きるためのサポートをする活動、そしてその中に息づく「生きる知恵」を届けてきました。

障害や病気、貧困や格差など、さまざまな困難の中で生きる人々の語りに光を当て、その経験の中にある学びや希望を社会に共有することを目指して活動を続けています。

10年の活動を通して、これまでに公開した記事は約550本となり、約1,380万人の方に読んでいただきました。

記事を通して届けてきたのは、困難とともにあっても自分を大切に生きようとする人たちのストーリーと、そこから生まれた多様な生きる知恵です。そうした語りが誰かの支えとなり、新たな一歩のきっかけとなることを願いながら、記事制作を続けてきました。

また近年は、連続講座「soar campus」をはじめ、共に学び合う場づくりにも力を入れてきました。全国各地、そして海外からも多くの方が参加してくださり、さまざまなテーマについて対話を重ねながら学びを深める時間が生まれています。

メディアを通して知恵を届けることに加え、人と人が出会い、互いの経験から学び合う場を育てていくことも、soarの大切な活動の一つとなっています。

この10年という時間を歩んでこられたのは、記事を読んでくださる方、取材を受けてくださった方、イベント等に登壇してくださった方、共にプロジェクトをつくってくださったパートナーのみなさん、寄付で支えてくださるサポーターのみなさん、そして活動に関わってくださったメンバーや関係者のみなさんのおかげです。

ご協力してくださるすべての方々に、心より感謝申し上げます。

10年という節目を迎えましたが、これからも大切にしてきた価値観を守りながら、新しい挑戦にも取り組んでいきたいと思います。

人の語りや経験の中にある知恵を、より多くの人と分かち合い、未来へと手渡していく。そんな活動を、これからも丁寧に続けていきたいと考えています。

これからのsoarの歩みに、みなさんも参加いただけたら嬉しいです。

NPO法人soar 代表理事・ウェブメディア「soar」編集長
工藤瑞穂

2.メディア事業・ウェブメディア「soar」の運営について

soarでは人がよりよく生きていくための様々な知識や知恵を伝えていくための活動の一つとして、2015年からウェブメディア「soar」を運営してきました。障害や病気、貧困や格差など、様々な困難に出合った人たちをサポートする活動や、困難のなかでも自分らしく生きる人々のストーリーに光を当て、記事を制作しています。

2024年度(2024年11月1日〜2025年10月31日)は17本の記事を公開し、のべ約80万人の方に記事を読んでいただきました。

個人のライフストーリーに加えて、サポート活動や地域の居場所などさまざまな場で取材を行い、SNSや検索エンジンを通して記事を届けました。

(1)記事のテーマについて

【図】2024年度記事のテーマ 身体障害 7記事 病気・難病 5記事 子ども・若者 5記事 当事者の家族・友人 4記事 精神障害 4記事 社会的養育・家族 3記事 知的障害・ダウン症 3記事 社会的孤立・貧困 3記事 発達障害 2記事 女性 2記事 高齢者 2記事

2024年度は、検索メニューのカテゴリのひとつ「困難のかたち」の中では、「身体障害」に関する記事を最も多く制作。

他には、「病気・難病」「子ども・若者」「当事者の家族・友人」「精神障害」をテーマにした記事なども作成しました。

(2)読者数の推移

2024年度は、約80万人の方に記事を読んでいただきました。アクセスの内訳は、Googleや Yahoo!などの検索エンジンからが約85%、X・Facebook・InstagramといったSNSからが約3%で、多くの方が検索エンジン経由で読んでくださっています。

【グラフ】読者数の推移 2016年度402097人 2017年度2615442人 2018年度2125512人 2019年度1483009人 2020年度1986014人 2021年度1925222人 2022年度1496601人 2023年度904677人 2024年度797,420 (内訳:検索経由683,986、SNS25,776、その他87,658)

(3)読者の年代

【グラフ】読者の年代 35–44歳:28.2% 25–34歳:24.7% 45–54歳:19.4% 18–24歳:17.3% 55–64歳:6.6% 65歳以上:3.8%

soarにアクセスしてくださった読者の方々の年齢層は、35歳から44歳までが最も多く28.2%、続いて25歳から34歳までが24.7%、45歳から54歳までが19.4%、18歳から24歳までが17.3%となっており、2024年度も幅広い年齢層の方に記事を読んでいただきました。

※ユーザーのプライバシー設定により計測ができないデータの分は上記には含まれていません。

(4)読者アンケートの結果

2024年度の期間後に実施した、読者アンケートの回答結果の一部を共有します。

①読者がsoarの記事を読む理由

【グラフ】読者がsoarの記事を読む理由 ・soarで扱うテーマに興味・関心があるのでその情報を探すため:63.6% ・社会課題解決や当事者支援の事業・活動をしているので、そのヒントを探すため:56.3% ・自分自身に何らかの困りごとがあり、その情報を探すため:50% ・家族や友人など、周囲に困りごとがある当事者がいて、サポートのため:50% ・社会課題解決や当事者支援をしている団体、法人を探すため:31.3% ・その他:6.3%

soarの記事を読む理由についての質問に対して、最も多かったのは「soarで扱うテーマに興味・関心があるのでその情報を探すため」という回答で、62.5%を占めました。

次いで「社会課題解決や当事者支援の事業・活動をしているので、そのヒントを探すため」が56.3%、「自分自身に何らかの困りごとがあり、その情報を探すため」と「家族や友人など、周囲に困りごとがある当事者がいて、サポートのため」が50%となっています。

②soarの記事を読んでどんな変化があったか

【グラフ】soarの記事を読んで得られた変化 ・新しい価値観を知ることができた:75% ・ポジティブな気持ちの変化があった:62.5% ・応援したい団体ができた:31.3% ・記事で得た知識を実践した:31.3% ・知人に記事を送った:25% ・知人に記事で知ったサポート先を紹介した:6.3% ・活動や事業などを始めることにつながった:6.3% ・紹介されている取材先に行った:6.3% ・その他:6.3%

読者が記事を読んでどんな変化があったかの質問に対しては、「新しい価値観を知ることができた」が最も多く75%。次いで「ポジティブな気持ちの変化があった」が62.5%でした。

他にも「記事で得た知識を実践した」「応援したい団体ができた」「知人に記事を送った」という回答も約30%ほど集まり、読了後に具体的なアクションを取ってくださっている方もいることが伺えました。

(5)メディアの検索メニューについて

soarでは、特定のキーワードを入力しなくても、興味のある記事を見つけられます。サイト上部には「困難のかたち」「サポート種類」「悩みや願い」という3つのメニューがあり、そこから気になるテーマを選んで記事を探すことができます。

2024年度は、「困難のかたち」の中の「知的障害・ダウン症」や「病気・難病」の記事が、多く検索されていました。

【表】 検索メニューのクリック上位ランキング2024年度 困難のかたち 1位知的障害・ダウン症 2位病気・難病 3位発達障害 サポート種類 1位居場所・コミュニティ 2位心のケア 3位デザイン・アート 悩みや願い 1位生きづらさと向き合う 2位見た目との付き合い方 3位心の回復を考える

(6)多くの方に読んでいただいた記事の紹介

2024年度公開の記事に寄せられた、読者からの反響を一部ご紹介します。

【写真】カメラを見つめて微笑むむかいやちいくよしさん

「わからなさ」と向き合うことは、不安ではなく希望。べてるの家・向谷地生良さんに聴く「当事者研究」の可能性

以前もsoarで取材させていただいた「社会福祉法人浦河べてるの家」理事長の向谷地生良さんの記事。

今回は2001年にべてるの家からはじまった、精神疾患を経験した当事者が自らの生きにくさについて研究し、周囲と語り合う「当事者研究」の取り組みについて伺いました。

公開当初は多くの方がSNSを経由して記事を読んでくださり、対話や自分との向き合い方についての学びを向谷地さんの言葉から受け取ったという声が多く寄せられました。その後もGoogleなどの検索エンジンから、べてるの家や向谷地さんの情報を探す方々がアクセスをしてくださっています。

【写真】賞状を持ち笑顔をみせるかねこえみさんとかいとさん

「ダウン症のある息子とは、言葉よりも“心”を見合ったコミュニケーションを」金子エミさんが子育てで大切にしてきたこと

次に紹介するのは、パーツモデルで美容家の金子エミさんに、ダウン症スイマーである息子のカイトさんの子育てについて伺った記事です。

こちらの記事は記事公開から時間が経ってからも、Googleなどの検索エンジンから金子さんの活動や、ダウン症の子どもの子育てについての情報をリサーチする人に読んでいただいています。

【写真】両腕を組みながら微笑むもりかわすいめいさん

他者のことをわかることはない。だからわかろうとし続けたい。対話を続けよう。森川すいめいさんに聞く「オープンダイアローグ」が掲げる“水平な対話”

フィンランドの精神科病院における医療者の実践から始まった「オープンダイアローグ」が掲げる“水平な対話”について、森川すいめいさんにインタビューをした記事は、記事公開時に多くの反響をいただきました。

特に多様な人が集まるコミュニティに関わる方や、他者や社会のためのアクションをしたいと考える方々に読んでいただき、ご自身の活動に生かせそうな実践的な学びを受け取ったという声も挙がっていました。

(7)検索エンジンを通してのアクセスについて

2024年度も引き続き、Googleなどの検索エンジンを通じて、最新記事だけでなく過去の記事も多くの方に読んでいただきました。アクセスが多かった3つの記事と、記事を見つけるまでに検索エンジンに入力されたキーワードをご紹介します。

【画像】左、こちらを見ているなんばさんの写真。 右、検索キーワードと書かれた枠の中に以下が書かれている。 ・「知能指数 低い」 ・「iqが低いとどうなる」 ・「iq 低い」 ・「知能が低い人」 ・「境界知能 仕事」 ・「iq低い人 生き方」 ・「iqが低い人の特徴」 ・「境界知能」

IQが平均より低い「境界知能」。日常生活や仕事に困難を抱えてきた僕が、自分らしい働き方を見つけるまで/なんばさん

昨年度に引き続き、多くの方に読んでいただいたのは「境界知能」の当事者で、発信活動をしているなんばさんの記事。

境界知能とは、知能指数(IQ)が70~84で、知的障害の診断が出ていない人の通称として使われる言葉です。境界知能という言葉の認知がまだ低い現状の中、IQや知能指数が低いことについての情報を探す方が記事にたどり着いてくださっていることが検索エンジンから伺えます。

【画像】左、桜の木の近くで遠くを見ている女性の写真。 右、検索キーワードと書かれた枠の中に以下が書かれている。 ・「養子に出す」 ・「特別養子縁組 障害児だった」 ・「養子に出す理由」 ・「養子に出すとは」 ・「子供 養子に出す」 ・「養子に出したい」 ・「子供を養子に出す」 ・「特別養子縁組 出す側」 ・「特別養子縁組 生みの親」

愛おしい子どもの幸せを願って、笑顔でお別れを。育てられないわが子を特別養子縁組で託した私の思い

特別養子縁組を通じて自身が産んだ子どもを託した当事者で、現在は支援活動にも取り組む方にお話を伺った記事。

特別養子縁組についてや、養子に出す当事者の情報を探す方をはじめ、「養子に出したい」という思いを検索エンジンに入力している方などさまざま立場の方が、この記事を読んでくださっているようです。

【画像】左、笑顔でこちらを見ているこむぎさんの写真。 右、検索キーワードと書かれた枠の中に以下が書かれている。 ・「表皮水疱症 こむぎ」 ・「こむぎのキロク」 ・「表皮 水疱 症 寿命」 ・「表皮水疱症 顔に出ない」 ・「表皮水疱症」 ・「表皮水疱症 爪」

「体に傷が増えていく日々でも、ファッションも人生も楽しみたい」皮膚にただれや水ぶくれができやすい表皮水疱症当事者のこむぎさん

表皮と基底膜、そして真皮を接着させるタンパクが生まれつき少ないか消失している遺伝性の病気、「表皮水疱症」の当事者として発信活動をしているこむぎさんの記事は、公開当初も多くの方に読んでいただきました。

公開から3年以上が経過した今でも、こむぎさんの活動に関心がある方、表皮水疱症の症状について情報を探す方などが記事を読んでくださっています。

(8)読者のみなさんからの声を紹介

記事の最後に設けている感想フォームを通じて、読者の方から次のような声が寄せられています。

2024年度は、取材対象者の方と同じ症状や特性をもつ当事者の方から、特に多くの感想をいただきました。

【図】 読者からの感想 ・自分の欲しかった情報が、とても分かりやすく載っていて救われた。 ・同じような人がいると知り、本当にホッとした。記事に載っていた対処法を、試してみたいと思った。 ・障害のある人と共に生きるとはどういうことか知り、あたたかく優しい気持ちになった。 ・自分も長年同じ症状に悩まされ、なかなか前向きでいられないが、表に出て活動するのは勇気があることだと思った。

(9)読者とのつながり

soarでは、SNSやニュースレターを通じて必要な情報を必要なタイミングで受け取ってもらえるよう、発信を続けています。2024年度は新たにThreadsの運用を開始し、1,265人の方にフォローしていただきました。

【図】 2024年度SNSフォロワー数 X 18,414人 facebook 10,444人 Instagram 6,492人 Threads 1,265人 note 1,734人 ニュースレター 1,412人

3.キャンパス事業・「soar campus」の運営について

soarでは、メディア運営を通して蓄積された、自分や他者の可能性を活かしながらよりよく生きるための「知恵」を多くの人と共有し、学び合うことを目的に、キャンパス事業を展開しています。

キャンパス事業では、オンラインの連続講座「soar campus」を実施。学びや語りを共有し考えを深めていく、継続的な学びの場づくりに取り組んでいます。

(1)今年度の開催内容

2024年度は、「ウェルビーイング」「対話」「社会課題とシステム」など様々なテーマを設け、ゲストからのレクチャーやワークショップ、参加者同士の対話を通した学びの場として連続講座を開催。オンラインでの連続講座を6回実施し、のべ180名の方にご参加いただきました。

①ウェルビーイングをつくりあう対話の実践を考える〜オープンダイアローグ、トラウマインフォームドケア、当事者研究、ワールドワーク、ジャーナリング

「ウェルビーイングをつくりあう対話の実践を考える」をテーマに、様々な領域で活動する実践者から、オープンダイアローグ、トラウマインフォームドケア、当事者研究、ワールドワーク、ジャーナリングといった対話の技法を学び、人がウェルビーイングをつくりあうことできる対話のあり方について考えました。

②「当事者研究ワークショップ」〜べてるの家・向谷地生良さんをゲストに迎えて

当事者研究とは、一人ひとりが自分自身の困りごとや生きづらさについて研究者となり、周囲の仲間たちと語り合うなかで困りごとへの理解を深めたり、よりよい付き合い方を探していく営みです。そんな当事者研究について知り、参加者同士で実践を重ねていく講座を実施しました。

③“セルフファシリテーション”の講座〜当事者研究、NVC、トラウマケア、プロセスワーク、BASIC Ph、マインドフル・ジャーナリング、beの肩書きを学ぶ

自分の中にあるいろいろな意思や感情を見つめ、自分、他者とつながりながら、向かいたい未来へ向かうために自分自身をファシリテートする「セルフファシリテーション」を学ぶ講座を開催。当事者研究、NVC、トラウマケア、プロセスワーク、BASIC Ph、マインドフル・ジャーナリング、beの肩書きの7つの技法を学びました。

④soarのインタビューの講座 〜ライフストーリーを聴く

他者の人生の歩みや経験、そこから生まれた感情などの“ライフストーリー”を聴くインタビュー。soarでのインタビューのやり方を学び、参加者同士で実践してみる全5回のオンライン講座を開催しました。

⑤社会課題を“システム”と“ナラティブ”から学び、考える―構造と物語から、よりよい社会を育む関わりをつくる

貧困、孤立、格差、気候変動、教育、労働などといった社会課題。そうした課題の背景にある「構造」に目を向けながら、実際に取り組んでいる実践者の声、そしてその中で生きる当事者のナラティブ(語り)に耳を傾ける講座を開催しました。多様な人の立場や視点を知り、その全体性を捉えながら解決策を模索していく対話の場となりました。

⑥“対話によるセルフリフレクション”のワークショップ/当事者研究、beの肩書き、セルフビジョン・ダイアログ、インタビュー全5回講座

様々な手法による他者との対話をしながら、自分の考え方や感じ方をふり返り、自分自身を再構築していく「セルフリフレクション」について学ぶ講座を開催。ライフストーリーのインタビュー、当事者研究、beの肩書き、セルフビジョン・ダイアログといった手法を学びました。

【図】講座の告知バナーの一覧 ・ウェルビーイングをつくりあう対話の実践を考える〜オープンダイアログ、トラウマインフォームドケア、当事者研究、ワールドワーク、ジャーナリング ・「当事者研究ワークショップ」〜べてるの家・向谷地生良さんをゲストに迎えて ・“セルフファシリテーション”の講座〜当事者研究、NVC、トラウマケア、プロセスワーク、BASIC Ph、マインドフル・ジャーナリング、beの肩書きを学ぶ ・soarのインタビューの講座 〜ライフストーリーを聴く ・社会課題を“システム”と“ナラティブ”から学び、考える―構造と物語から、よりよい社会を育む関わりをつくる ・“対話によるセルフリフレクション”のワークショップ/当事者研究、beの肩書き、セルフビジョン・ダイアログ、インタビュー全5回講座

ゲストの活動や事業についてお話を聞いたり、様々な手法について教えていただくのはもちろん、講座の中では、参加者同士でワークショップを実施し、講座の中で実践を行うことを重視してきました。また、参加者同士が経験や考えを交換し、同じ思いや関心を持つ仲間との出会いが生まれることも大切にしています。

参加者のみなさんからは、以下のような感想を頂いています。

【図】講座参加者の感想 ・soarだからこそのテーマやゲストで、これからますます必要になる講座だと思った ・様々な考え方やアプローチから自分や他者に対する気づきを得られる手法を体験できてありがたかった ・参加者のフィールドが様々で、関心の重なりを見つけるのが楽しい ・運営の場づくりが本当に丁寧で素晴らしく、それも学びとなっている ・とても価格が安く、参加しやすい

soar campusでは、これからも、一人ひとりがありたい姿に向かって行動したり、他者と対話しながら協働したりしていくための学びの場をつくっていきたいと考えています。

また、今後の活動にも後述しますが、市民一人ひとりが自身の暮らしや経験、そこで生まれた感情や出来事を記録し、未来へつないでいく「コミュニティアーカイブ」にも挑戦していきたいと考えています。

(2)学びの場の運営や仕組みづくり

連続講座やイベント開催では、次のような取り組みを行ってきました。

①学びの機会を広げる工夫

講座開催にあたっては、様々な方に学びの機会をお届けできるよう、なるべく参加費の価格を抑え、講座のテーマによっては奨学枠を設けてきました。

また、講座のアーカイブ動画も翌日には配信し、講座最終日より1ヶ月間視聴できるように設定。参加者の復習や欠席回のキャッチアップ等にご利用頂いています。

参加者からは、「個人の事情に配慮して参加形態を選べたのが助かった」という声をいただきました。

②グランドルールの策定と運用

講座では、ワークショップなどで参加者自身の体験を共有する機会も大切にしているため、安心して聴く・話す場となるよう、「学びの場のグランドルール」を策定しています。連続講座の開催時には、毎回必ず冒頭で参加者のみなさんやゲストに共有してきました。

グランドルールの運用を続けていく中で、講座参加者やゲストのみなさんからは「個人の尊厳を大切にしていると感じた」「心地よい対話の場だと感じた」といった声をいただきました。

これからも、多様な背景のある参加者が、安心して学びに集中できる環境づくりに尽力していきます。

【図】 講座で大切にしたいこと (1)他者の尊重 一人ひとりの意見を、経験や立場、肩書きなどに関わらず、「それぞれの場に一所懸命に向き合ってきた」人として、学び合う姿勢を大事にしたいです。 お互いの考えや意見を否定するのではなく、尊重して聴き、話せる場にしたいと考えています。 (2)差別の禁止 対話の時間やチャットへの書き込みで、差別的な発言や他者を傷つけたり攻撃する言動(※)がないようお願いします。 具体的には次の項目が該当します。 人種、国籍、民族/ジェンダーアイデンティティー/年齢/病気及びその症状/障害/外見/宗教/妊娠の有無/政治的見解/配偶者の有無/経済状況/その他保護が必要だと判断された対象について (3)個人情報の保護 個人情報を保護するため、ZOOMでの参加者の様子を撮影することや、それをSNSで投稿することはご遠慮ください。 また、参加者のみなさんやスタッフのプライベートに関わる体験、状況等も共有されることもあるため、それはこの場だけにとどめていただき、個人の特定につながるような個人情報を含めた発信などもお控えください。

③合理的配慮やアクセシビリティの実践

視覚障害や聴覚障害、コミュニケーション上のサポートが必要な方への配慮として、ゲスト講師にもご協力いただきながら、スライド資料の読み上げ、事前共有、チャットの活用など、状況に応じてできる限りの柔軟な支援を行っています。

オンライン開催においては、参加者の多様なライフスタイルや特性を尊重し、視聴のみ・音声のみの参加や、テキストのみでのワークショップ参加も可能です。今後も「合理的配慮」の視点を大切に、皆さまのご要望を伺いながら、誰もが気兼ねなく学べる環境づくりに努めていきたいと考えています。

4.2024年度もサポーターのみなさまにご支援いただきました

soarのウェブメディアや講座は、活動を支えてくださる「soarサポーター」の皆さんのご寄付によって運営されています。2025年10月末日時点では、410名の方にサポートいただきました。

皆さんの応援のおかげで、情報を必要としている方々へ無料で記事を届けたり、講座の参加費を抑え、より多くの方が学べる機会を作ったりすることができています。

私たちの活動を支え、共に歩んでくださるサポーターの皆さん、いつも本当にありがとうございます。

【図】 soarサポーター募集中! 月1000円からのご寄付で、非営利メディアの運営を支えてくださるサポーターになりませんか?

これからも「全てのひとが自分の可能性を活かして生きる未来」をつくるため、soarサポーターを募集しています。ぜひ、月1,000円からのご寄付でsoarを応援いただけたら嬉しいです。

そして、法人サポーターについても募集しています。ご興味をお持ちの法人様は、こちらよりぜひお問い合わせください。

5.会計についてご報告

(1)2024年度・収益の内訳について

【グラフ】収益の内訳 寄付 53% イベント事業 47%

(2)2024年度・費用の内訳について

【グラフ】費用の内訳 人件費 64% 事業費 17% その他経費 19% ※事業費には、ライター、フォトグラファー等の業務委託費、取材交通費等が含まれます。 ※人件費には、理事役員報酬、スタッフ給与、法定福利費、業務委託費等が含まれます。 ※その他経費・・・有給スタッフ・インターンスタッフの旅費交通費、事務消耗品、支払い手数料等

(3)2024年度の活動計算書について

2024年度の活動計算書の詳細はこちらのPDFに記載しております。

【画像】2024年度の活動計算書

2023年度は3期ぶりの黒字となっていましたが、2024年度は受託した調査・メディア運営事業がなかったことが影響し、641,695円の赤字という結果となりました。

ただ、オンラインの連続講座や単発イベントを継続して実施したことにより、イベント事業収益は前年度比319,312円の増収となりました。

2025年度は、連続講座の拡充や新規事業の立ち上げを行っている他、個人寄付だけでなく法人寄付の呼びかけなどを通じて、持続可能な活動に向けた事業計画と実践に注力してまいります。

6.組織のコンプライアンスについて

(1)組織運営における行動指針、各種ポリシーの策定

soarでは2021年度にCode of Conduct(行動指針。以下、CoCという)および各種ポリシーを策定し、これらを日々の運営や発信の基盤としています。また、スタッフや関係者による指針への抵触、あるいはその懸念が生じた際に迅速に対応できるよう、専用の窓口を設置・運用しています。

CoCや各種ポリシーについては、スタッフだけでなく、取材対象者やイベント登壇者など、soarの活動に関わる方々にも必要に応じて説明の機会を設け、内容に同意いただき、安心して参加していただけるよう努めています。

コンプライアンスに関する取り組みの詳細は、こちらのページをご参照ください。

(2)CoCやポリシー運用の振り返り

2024年度は年に2回、スタッフ間でCoCやポリシー運用の振り返りを実施しました。振り返りでは、改めてポリシーを読み直し、チームや個人で気をつけていたことや昨年からの行動の変化、気付きなどを共有しました。

また、ライターやフォトグラファー、ボランティアメンバーといった関係者に対して、ポリシー運用へのフィードバックや改善の提案についてアンケート調査を行いました。

【図】振り返りによる感想 ・ポリシーを策定してから一定期間がたち、ポリシーの内容を意識することが習慣になっている ・講座ゲストや取材相手など関わる方に、「安心感がある」と言っていただけることが増えた ・取材や講座における自身の発言を 振り返るきっかけになっている ・新しい活動や事業を考える際に、ポリシーに照らして考えていきたい

これからも、様々な関わりや立場を問わず、互いを尊重し対等に対話ができる関係性づくりに努めてまいります。また、自分と他者の人権を大切にしながら、自分たちの行動が環境や社会へどのような影響を与えるかを意識していきたいと思います。

そして、関わる人たちから寄せられる意見を運営に生かし、よりよい組織づくりに努めてまいります。引き続き各種ポリシー浸透の効果的な運用方法について、ご意見を募集しております。ぜひ忌憚のないご意見、ご感想をお寄せいただけますと幸いです。

7.今後の活動について

NPO法人soarは来年度もメディア運営に加え、連続講座「soar campus」やカンファレンスなど、共に学びあう場づくりを続けていきます。

そして新たな挑戦として、人のライフストーリーを「語る・聴く・記録する」というプロセスを、私たちだけでなく、関心を寄せてくださる方々とともに “みんなで記録する”取り組みへと開いていきたいと考えています。

具体的には、“語りをともにつくり、ともに残す” プロジェクトとして、soarらしく一人ひとりの生き方に光を当てるコミュニティアーカイブプロジェクトをスタートします。

また、文章や写真に加え、音声などの表現にも挑戦し、その第一歩としてポッドキャストを始める予定です。語りを未来へ手渡す営みを、みなさんとともに紡いでいけたら嬉しいです。

2025年度には、soarは10周年の節目を迎えます。

これからも様々な事業を通して、自身や他者、そして世界の可能性を信じる人々が集い、互いの知恵を分かち合える場を作り、「誰もが自分らしく、可能性を活かして生きられる未来」を目指し続けます。

今後のsoarの歩みも、どうぞ温かく見守っていただければ幸いです。

制作メンバー:小野寺涼子、工藤瑞穂、宇都星奈、松本綾香