【写真】登壇者らが並んでいる様子

「家族」のあり方は人それぞれ。人の数だけ「家族とは」に対する答えがあります。soarもこれまで、家族は人が生きていく上で重要なテーマの一つと捉え、特集を組んだりトークイベントを開催したりと、さまざまな家族のあり方を紹介してきました。

家族は、人間にとって最も身近なコミュニティです。それゆえに、家族によって大きな幸福感や自己肯定感がもたらされることもあれば、悩みや葛藤が生まれることもあります。どんなかたちであれ、自分という存在に大きく影響を及ぼす存在です。

また、必ずしも血のつながりがある関係だけが家族ではないはずです。困ったときに助けたいと思うこと、精神的な絆を感じること、「ただいま」と言える場所になっていること。世の中にはいろいろなかたちの「かぞく」があります。

「回復」をテーマに開催された「soar conference2017」において、かぞくという関わり合いの中での回復について、3名のゲストスピーカー、ファミリー心理カウンセラーのよしおかゆうみさん、社会的養護経験者の畑山麗衣さん、NPO法人PIECES代表理事の小澤いぶきさんとともに考えました。

【写真】カンファレンスの看板

「大人にも調律の場が必要」ファミリー心理カウンセラーのよしおかゆうみさん

ゲストの一人目は、ファミリー心理カウンセラーのよしおかゆうみさん。よしおかさんはこれまで、2万組を超える親子に出会ってきました。東京都の幼児教育に20年以上携わり、現在は家族や夫婦のカウンセリングを行う傍ら、行政や企業を対象にした教育領域のワークショップなども開催しています。

【写真】明るい笑顔で話すよしおかさん

よしおかさんは、年々教育を取り巻く環境の変化が早くなっていると話します。

よしおかさん:10年前と比べると、大人も子どもも忙しくなっています。リスクを回避することによって子どもの体験が不足していたり、父親の育児参加が求められるようになったり。今の親が考えなければいけないことって、いっぱいあるんですよね。いろんなご家庭の話を聞いていく中で、一見“普通の家庭”に見える親たちが閉塞感を抱えているように感じていて。大人も自然体でいられるような、調律の場が必要なんです。

【写真】パソコンを膝にのせ、参加者の方に顔を向けて話すよしおかさん

よしおかさんはカウンセリングのほかに、幼いころからゴルフを習っている子どものケアも行っています。ゴルフに限らず、スポーツやお稽古事に幼い頃から取り組んでいると、親との結びつきが強い分、ときに子どもの自主性を閉じ込めてしまうことがあるのだとか。

よしおかさん:小さい頃からゴルフを習わせるくらいだから、裕福で幸せな家庭なんでしょ?と思われがちなこの世界。スポーツを通して親子の絆が深まることはもちろんありますが、親の思いが強すぎるあまり、ときに子どもの人生設計をも担おうとしてしまう人もいるんですね。好きなことができず、本当の気持ちを言えない子どももいます。

よしおかさんが支援活動の中で目指したのは、子ども会のような場所でした。親と子の縦の関係もあれば、親同士・子同士の横の関係もあり、また親・子の友達という斜めの関係もある場所。地域の力も借りながら、家族のサードプレイスのような役割として、教育について気軽に話せるオープンな場をつくろうと取り組んでいます。

「家族にはいろんな形がある」社会的養護経験者の畑山麗衣さん

続いて、現在ファミリーホームと呼ばれる施設の補助員として働く畑山麗衣さん。ファミリーホームは「家庭養護」とも呼ばれ、児童養護施設の役割をより家庭に近いかたちで担う小規模な施設のことです。

また畑山さんは、自身も児童養護施設で育った当事者として、自身の体験を振り返りつつ自己紹介をしました。

畑山さん:私は、父親のDVが理由で両親が一緒に暮らせなくなり、0歳で乳児院に入りました。大学に入る18歳まで、児童養護施設など社会的養護のもとで生活してきました。

【写真】マイクを持ち、語るはたやまさん

畑山さんは大学3年生の頃、「若者サポートステーション」という支援施設で、引きこもりなど社会から離れてしまった人たちが自立するための就労サポートをする仕事を始めます。さまざまな境遇の人たちと関わるうちに、今までは見えなかった社会的養護の実情も見えてきたのだといいます。

畑山さん:児童養護施設にはもしかしたら少しネガティブなイメージがあるかもしれませんが、基本的には子どもたちにとって安心できる場所です。寝るところがあって、食べるものがあって、守られている。でも、そこから出たときの衝撃が大きいんです。

大きな社会の中に急にポンっと放り出されて拠り所が無くなる。奨学金を借りて大学にいくので、若くして借金を抱えていることも多いです。そんな中で、軸となる場所がないまま社会の中で安定を保つことは、そう簡単なことではありません。施設を出た後でも頼れる場所が必要だなと感じています。

【写真】参加者に向かって語りかけるはたやまさん

畑山さんは今、二児の母でもあります。畑山さんにとっての家族について、このように話します。

畑山さん:家族と聞いて一番に思い浮かぶのは、ファミリーホームで一緒に生活してきたお父さん、お母さん。疲れたときや悩んだときに話を聞いてほしいと思うのは、彼らです。血縁関係ではないですが、ファミリーホームのお父さんとお母さんは家族で、一緒に生活してきた子どもたちは、兄弟だと思っています。ここが私の帰る場所なんだろうなと今でも思うんです。

ただ、私にとっては実の両親も家族なんです。父とは、小学校2年生から6年生まで月に1回会うくらいの関係で、母は18歳になるまで一度も会ったことがありませんでした。それでも、家族と聞いたときに必ず心に浮かぶ存在で、もう一つの自分の軸でもあります。そして、結婚して子どもができた今の関係ももちろん家族。なので、私にとって家族は3つ存在してるんです。

「孤立する子どもの声なき声に耳を傾けて」NPO法人PIECES代表の小澤いぶきさん

3人目は、精神科医を経て、現在はNPO法人PIECES代表理事の小澤いぶきさんです。PIECESは「子どもの孤立」という課題に向き合い、信頼できる大人や地域とのつながりを創出することで、孤立の解消と予防を目指しています。

【写真】微笑みながら語るおざわさん

かつてトラウマ臨床に携わっていたとき、小澤さんは一人の女の子に出会います。彼女は、義理のお父さんからの暴力を受けていました。支配的な状況下にあることを誰にも話せず、長い間一人でずっと耐えてきた彼女を見て、小澤さんにある思いが生まれます。

小澤さん:家族以外にも、家庭や自分の話ができる場所が必要です。医療の世界にいると、数ヶ月後、数年後、しんどい状況の中でずっと生き抜いてきた子どもたちと出会うことがあります。同じことが繰り返されていることがあるんです。だからこそ、この子たちが生まれてくるのが100年後だったとしたら、彼女たちが自分自身で希望を見つけていくために、私は100年後の未来に何を残せるだろう。そう考えるようになりました。

私たちは「声」が聞こえれば救えるかもしれません。でも、「声」をあげることができない子どもたちもたくさんいるはず。私たちは、そんな「声なき声」から学べることがたくさんあると思うんです。子どもたちの小さな物語が集まってできる結晶のような未来にしたい。そういう思いで、PIECESの活動をしています。

【写真】手振りを加えながら語るおざわさん

私たちは自分が生きてきた中で出会う人や経験から、自分自身の視点が育っていきます。「他の人から見たとしたら?」または「他の生物から見たとしたら?」、そのような想像力を活かすことで、世の中の分断は減らせるのではないか。小澤さんはそのように話します。

PIECESの活動では、孤立した子どもたちとの信頼関係を築く「コミュニティユースワーカー」を育成するプログラムや、市民のネットワークを強固にする取り組みを行っています。複数の頼り先をつなぎ、家族と社会、子どもたちが生きる「学び」や「育ち」の境界をなめらかにしていくことが、小澤さんの目標です。

家族は、私たちのアイデンティティにどれくらい影響を与えるのだろう?

3名のゲストスピーカーの紹介が終わったところで、会場はさっそくトークセッションに移ります。モデレーターは、soar代表の工藤瑞穂と、soar副代表のモリジュンヤです。

【写真】モデレーターのくどうが笑顔で話している。横には同じくモデレーターのもりが座っている

――家族は私たちのアイデンティティに大きく影響を与える存在だと思います。一方で、大切な存在ではあるものの、そのつながりにとらわれすぎてしまうのも良くない気がするのです。家庭環境は、どれくらい人に影響を与えるものだと思いますか?

よしおかさん:今は、家族の問題を、親のしつけや家庭環境に押し付けるという風潮が強いように感じています。だから大人も頑張ってしまうのですが、親ももっと自然体でいいと思うんです。環境以上に、その子が持って生まれてきたパワーって絶大なんです。その大人のもとで「どれくらい安心できるか」は、大人がどれだけその子を信頼しているかが影響してくると思います。

そして、子どもに対しての過干渉も良くないと思います。親のもとで安心できる関係を築けた子は、親のいない場所でもしっかりと歩いていけます。心配しすぎる親には、子どもが本来もっているパワーを信じてほしいと呼びかけています。

【写真】真剣な表情で語るよしおかさん

小澤さん:私は、子どもが、家族以外にも様々なネットワークを持てることが大切だと思います。地域や学校、好きなこと、学校以外の学び場といったように、複数のネットワークがある環境で育つほど、一つの場所でダメになってもつまづきにくいのではないかと思います。人は「レジリエンス」という回復する力を持っています。つまづいても、子どもたちは「自分の物語」を紡ぎだしていきます。

【写真】参加者に目線を向け、話すおざわさん

――畑山さんは、いわゆる一般的ではない家庭環境で育ったことが、自分のアイデンティティにどう関わっていると感じますか?

畑山さん:何かあったときに「あんたも自分の親みたいになるよ」と指摘されると、親の影が付いて回る感覚は、正直ありました。でも生涯それに固執することはないだろうなと思います。それは、周りの人たちや社会が私を引っ張り上げてくれたから。ただ、今関わっている当事者を見ていても、「将来、自分も子どもを捨てるんじゃないだろうか」と不安を抱いている人はたくさんいます。だから、全く影響しないことはないんじゃないかなと思います。

【写真】セッションの全体写真

親と子の関わり方について。家族の距離感はどれくらいがいいのだろう?

――よしおかさんはこれまで、里親のような存在として、他の家の子どもに多く関わってきたと聞きました。よしおかさんのもとに来る前に、いろんな負荷がかかった状態の子どもにどのような関わり方をされているのですか?

よしおかさん:ちゃんと食べさせて、ちゃんと寝かせただけですね(笑)。特に計画立ててやっていたわけでもなくて、自分の方が学ぶことばかりです。ただ気付いたのは、自分の子ではなくても、距離が近くなればなるほど「こうなってほしい」という自分の願望が入ってきてしまうんです。愛着があるからこそ、期待しちゃうんですよね。頭では分かっているのに押しつけがましさが出てくるところに、いつも葛藤を覚えます。

【写真】モデレーターのもりが話している様子

――子どもを信頼して好きにさせてあげたいのに、という葛藤ですよね。

よしおかさん:先日相談にきた方が「どうしても二人目の子どもを可愛く思えない。距離がある」と言うんです。これ、自然なことだと思うんですよ。自分の子どもを全員平等に愛するのって実は難しい。親と子にも相性がありますから。

――親であれば「血の繋がった私の子どもなのに」といい関係を築けない自分を責めてしまうと思うんですが、相性のギャップを無理に埋めようとしなくていいということでしょうか?

よしおかさん:そうですね。親子関係でも、私は私、あなたはあなたでいいと思うんです。親になり切ろうとすると、余計な力が入ってしまうので、親も自然体でいることでかえって信頼関係が築けた例を、何件も見てきました。

【写真】モデレーターのくどうが立ち上がり、はたやまさんに質問をしている

――畑山さんは、複数の養育環境を経験して、家族との関わり方について思うことはありますか?

畑山さん:私にとっては、ファミリーホームの両親が、里親として一貫して支えてくれた存在だったんです。「失敗してもいいから、とにかくやってみな」と背中を押してくれることで、「帰ってくる場所がある」と思えたんですね。ただ、同じホームで育っていても、お父さん、お母さんのもとに帰っていけない子もいます。自分の中で過去を昇華できているかどうかや、人と人との相性も、里親との関係性に影響してくるんだなと思いました。

【写真】笑顔で答えるはたやまさん

血がつながっていないからこそ創り出せる家族的な価値もある?

――小澤さんは、「コミュニティユースワーカー」というつながりを通して、子どもたちの支援を行っています。血がつながっていないからこそ創り出せる家族的な価値というものもあるのでしょうか?

小澤さん:コミュニティユースワーカーの関わり方の特徴として、子どもたちと利害関係がないんですね。だからこそ、ちょうどいい距離で、ゆっくり子どものペースに合わせられる関係を丁寧に作っていけると思っていて。実の親子だと、その子のことを思うからこそ、余白が少なくなってしまうこともありますよね。血縁のない関係は、冷静にその子の興味や強みを引き出すサポートができるところが、良い面の一つだと思います。

【写真】ノートを膝に置き、登壇者の話を聞く参加者ら

――「自分の意思を相手に伝えすぎない」とか「大人も自然体でいること」といったお話もあったのですが、より家族的な近い関係になっていくきっかけや変容の過程について、感じることはありますか?

よしおかさん:信頼関係には素の状態でいられることが大きく関わっていると感じます。その点、私のところに来る子たちは本性を出してくるのが早いんですね。するとそのうち「気を遣う」じゃなくて「ココロを遣う」ようになってくるんです。「あの子は〇〇が好きだから、用意しておいてあげよう」みたいな。自分がされて嬉しいことを、自然と人にもできるようになる。これが絆の始まりなんじゃないかなと思います。

畑山さん:いつからファミリーホームの親を家族と思えるようになったかというと、言語化しにくいところもあって。居心地の良さの積み重ねなんじゃないかなと思いますね。逆に、同情されてることが分かると壁を感じてしまいます。その人が、フィルターを通して自分を見ていないことが分かったときに、自分を出そうって思えた気がします。

小澤さん:家族の機能を考えたとき、フランス革命後に「教える」機能を誰もが平等に受けられるものとして外部化したものが学校なんですね。家族を構成する要素は幾つかありますが、その人にとっての信頼と安心・安全があれば、血縁のあるなしに関わらず、家族的な基地となっていくのではないかとも思います。

【写真】登壇者らが並んで座っている

家族の心地よい関係をつくっていくために

――大人が子どもに対して責任を持ったり、この子の未来のために何かしたいと思ったときに家族になっていくのでしょうか。親と子の心地よい関係をつくっていくために、心掛けていることはありますか?

よしおかさん:心地よさという意味では、「放っておいてほしい」といったように一定の距離がある方が好ましい子もいます。それを親側のものさしで決めるのではなく、子どもの心地よさにも目を向けてみてほしいなと思いますね。

小澤さん:私も同じです。自分と子どもの居心地の良さのポイントが違うことを、知っていけるといいなと。期待値のズレが生じていることに気付くこと。それから、子どもが何か困ったり、やっちゃったと思った時に、その人の顔を思い出したり、相談してきたりするような関係性になれたとき、絆が生まれていると言えるんじゃないかなと思いますね。

【写真】笑顔を見せながら話すよしおかさん

――居心地の良さというと、親子だけでなく夫婦の関係にも共通するものがあるかもしれませんね。

よしおかさん:そうですね。色々な価値観が出てくるようになって、結婚に二の足を踏む人も多いです。「結婚はこんな形であるべき」という決まった概念によって、夫婦になるとぎこちなくなる人たちもいます。でも今は、例えば二人のペースを大切にした“別居結婚”をはじめから選ぶ夫婦もいるんですよ。いろんな形があっていい時代になりつつあるのは、家族の多様性を考える上でとてもいいことなんじゃないかなと思いますね。

【写真】セッションの全体写真

――畑山さんは、18歳になるまで実のお母さんの居場所が分からなかったと仰っていましたね。大人になってから実のお母さんに会いに行ったのは、どんな心境だったのですか?

畑山さん:母は、父からDVを受けていたので、父から逃げるかたちで私を預けることになったんですね。その後も、私に近づくことによって父の影が見えることが怖かったのでしょう。母に会おうと思ったのは、私に新しい家族ができるタイミングでした。

――自分のルーツに出会えた感覚はありましたか?

畑山さん:自分の過去を整理するきっかけになりましたね。この境遇でも踏ん張れたことを誇らしくも思いました。これが正解だったのかは分からないけど、次のターニングポイントに入った感じはします。

【写真】笑顔で話すはたやまさん

――最後に、このトークセッションを終えてみて、「かぞく」というテーマで考えていることや伝えたいことがあれば教えてください。

よしおかさん:もし家族との関係性で悩んでいるひとがいたとしたら、一度、家族間の境界線を意識し直すことも必要です。また「理想の家族像とのギャップ」や「100%解決への期待」は自分を苦しめます。長い葛藤が続く場合は、家族から距離をおいて、外の人との繋がりや一人の時間を大切に過ごしてみてください。正直な自分でいられる居場所があれば、家族の現実とも折り合いがつけられるようになると思います。

畑山さん:色々あったけれど、今「家族」を考えると、「家族っていいな」と思えます。今の社会には、いろいろな場面で血縁関係の家族を意識せざるを得ないことがあり、それを持たない人にとって生きにくい状況でもあります。でも、血のつながりのない家庭環境で育った私だからこそ言えることは、血が繋がっていなくても家族になれるということです。同じように悩む人には、自分にとって心地の良い家族の形を見つけていってほしいです。

小澤さん:家族のあり方にも、家族が紡いでいく物語にも正解はないのではないかと思います。家族の数だけ、家族の物語があります。ときに、その物語を紡いででいる人たちだけでは、自分や子どもの安心・安全が保てなくなることもあります。そんなときは、「自分たちだけでなんとかしなくていい、様々な人との関係の中で、新たな安心な物語を紡いでいけるかもしれない」。そう思えるような、家族を取り巻く生態系を一緒に考えていきたいなと思っています。

【写真】登壇者の集合写真

信頼と安心を育むことで、人は「かぞく」をつくり出すことができる

「かぞく」と「回復」を考えるこのトークセッション。さまざまな切り口から家族のあり方が語られました。

自分のアイデンティティを考えるときに、家族は切っても切り離せないような存在。それゆえに、馬が合わなかったり、両親や子どもを愛せない自分を許せなかったりする人もいるかもしれません。トークセッションの中に出てきた「親子にも相性がある」「心地よさは人によって違う」「家庭環境で人は決まらない」といった考え方を聞いて、心がすこし楽になる人もいたのではないでしょうか。

家族が自分の中で「ゆるがない存在」だった場合、家族というイメージの枠をすこし透明にしてみることで、これまでとは違った視点で捉えられるようになるかもしれません。家族を大切にするという回復のかたちもあれば、家族を絶対視しないという方法での回復のかたちもあるはず。「家族=血のつながり」ではなく、「家族=心のつながり」と捉えることで、自分にとって心地の良い関わり方や、居場所を再発見できるきっかけにもなりそうです。

家族が心の傷を癒してくれることもあれば、家族から苦しみが生まれてしまうこともあります。そんな苦しみから救ってくれるのは、これまでの血縁関係による家族というかたちにとらわれない、さまざまなかたちの「かぞく」なのかもしれません。壊れてしまったと思っても、信頼と安心を育むことで、人はまた「かぞく」をつくりだすことができる。そうゲストスピーカーの皆さんから教えてもらったトークセッションとなりました。

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(写真/馬場加奈子)