いつもNPO法人soarの活動を応援していただき、ありがとうございます。みなさんのご協力のおかげで、soarは活動7年目を迎えました。

 

このたび、2020年度(2020年11月1日〜2021年10月31日)の活動や決算についてご報告する、アニュアルレポートが完成しましたのでご報告いたします。

1.NPO法人soarが目指すもの

NPO法人soar(以下、soarという)は、2015年12月22日にウェブメディア「soar」(以下、メディアという)をリリースし、2017年1月23日にNPO法人化をしました。メディアの運営を軸としながら、学びの場づくり、企業や学校とのプロジェクトなどを通し、誰もが自分の可能性を活かして生きる社会づくりを目指して活動しています。

【イラスト】NPO法人soarのステークホルダー説明図。役員、スタッフ、関係者、取材先、連携機関、サポーター、読者とさまざまな関係先があります。

 

Our vision:誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる


人の“可能性”に光を当てる私たちが目指すのは、障害や病気、性的・民族的少数性、経済的・機会的な格差などによって、人が自分の持っている可能性にふたをされることがない社会。生まれ育った環境や自身にある困難によらず、誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくります。

Our Mission:人の“可能性”に光を当てる


私たちは様々な困難の中にあっても輝きを失わない“希望”に光をあて、人がより善く生きていくための様々な知識や智慧を伝える活動を通じて、人がその人らしく生きていくことを肯定し、また、肯定する力そのものを見出す指針やきっかけなどの“可能性”を示したいと考えています。 そして、これまで分断されてきた人同士をつなぐことで、新しい価値を生み出し、より多様性のある社会を実現します。

代表理事・工藤瑞穂からのメッセージ

 

2020年度は2021年3月末に理事(当時)の解任に至る事案を端緒とし、活動体制等の改善に向けた取り組みのため、一部情報発信等の業務を除き、対外的な活動を一旦全て停止し、みなさまにご心配、ご迷惑をおかけしておりましたことをお詫びいたします。

活動休止期間中は、組織のガバナンスやコンプライアンスについて見直すほか、改めてsoarの存在意義を確認し、事業やチームづくり、活動に関わる人とのコミュニケーションにおいてどんなことを大切にしたいか、という根本の思いに立ち返り、メンバー一同で話し合いを重ねてまいりました。

その結果として制定したCode of Condact(行動指針。以下、CoCという)や各種ポリシーは、今後の活動のあらゆる場面において、メンバーや関係者の行動や発信の基礎となり、迷ったときに判断を助けてくれるものとなったと思います。また、ポリシーの策定を通じて、事故予防・環境整備・事後救済等や、それらプロセス自体の改善を行いやすい状況をつくり、soarに関わる人々の安全を守っていく土台を整備することができました。

組織の活動体制について様々なご意見をいただき、ご協力いただいたみなさまには、心よりお礼申し上げます。

また、2020年度の半分が活動を休止している期間であったにも関わらず、本当に多くの方々に当団体のメディアを読んでいただき、記事に関する感想等をお寄せいただきました。みなさまのお声を受け、改めて「情報のセーフティネット」としてメディアを運営していくことの必要性と責任を感じております。

2022年1月より記事のリリースを再開し、以前より本数のペースは少ないですが、継続的に記事をお届けすることができています。読者のみなさま、また、運営を支えてくださっているサポーター会員や関係者のみなさまのご協力に感謝いたします。本当にありがとうございます。

現在(2022年4月)も新型コロナウイルスの影響は続いており、対面での取材やイベント開催が難しい状況は変わらず活動への支障が出ていることは変わりませんが、感染対策を行い関係者のみなさまの安全を守りながら、より多くの方にsoarの活動を届けられるよう一同工夫を重ねていきたいと思います。

今後も組織として未熟な部分を自覚して改善に努めつつ、これまで以上にスタッフや関係者の方々が安全に働ける環境づくり、みなさまに信頼していただける団体運営を行い、当団体のビジョンの実現に向かって、一つひとつの活動に誠実に取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

工藤瑞穂
(NPO法人soar代表理事・ウェブメディア「soar」編集長)

1984年青森県生まれ。2015年に社会的マイノリティの可能性を広げる活動に焦点を当てたメディア「soar」をオープン。2017年に「NPO法人soar」を設立。様々なアプローチで、全ての人が自分の持つ可能性を発揮して生きていける未来づくりを目指す。

http://soar-world.com/

2.組織のコンプライアンスについて

(1)組織運営における行動指針、各種ポリシーの策定

2021年3月の理事(当時)解任のお知らせ、それに起因する一連の対応や発信(以下、「本件」という)につきまして、みなさまにご心配やご負担をおかけしましたこと、あらためて深くお詫びするとともに、これまで関係各所から様々なご意見をいただきましたこと、重ねてお礼申し上げます。

本件の対応や様々なご意見を踏まえ、2020年度は2021年4月から2021年10月まで、記事の発信やイベント等対外向けの活動を停止し、組織づくりや活動体制の構築、ガバナンスの見直しを行いました。

現在、法人または団体運営に関わる役員やスタッフ一人ひとりが、法令遵守はもとよりNPOとしての社会的責任を果たすべく、CoCを新設しました。そして、このCoCを基盤として以下各種ポリシーを策定し、これらを行動や発信の基礎とする団体運営を行っています。

パートナーシップポリシー

CoCを前提に、さらに具体的に、soarの活動に関わる個々人の人権が尊重される関係・環境づくりのために必要な指針を明確にしたもの。

メディアポリシー

CoCを前提に、さらに具体的に、メディアとしての使命やその影響力から導かれるスタッフ及び関係者の責務について定めたもの。

著作権ポリシー

soarから発信された情報が、人々がより善く生きていくための智慧として積極的に利活用されることを目指し、著作権法やsoarとしてのルールをわかりやすく示したもの。

プライバシーポリシー

soarの事業運営における個人情報の適性な取扱いと保護の基本方針を定めたもの。

今後もCoCや各種ポリシーは定期的に見直しを行い、組織内で検討を閉じることなく、広く読者のみなさまからポリシー運用についてご意見を頂きながら、団体運営や事業運営に反映してまいります。

コンプライアンスの詳細については、こちらのページをご覧ください。

(2)相談窓口について

2021年4月より、当団体関係者による適法性に疑いを生じさせる、または不相当な言動等による被害にあわれた方の相談窓口を、外部弁護士に委託し運営をしてまいりました。

現在は、CoCや各種ポリシーの策定に伴い、soarのスタッフまたは関係者によるCoCや各種ポリシーに反する行為があった場合や、その発生が予見された際の相談を受け付ける窓口を設け、運用を継続しています。

相談フォームはこちら


(3)組織体制について

soarは、理事会、経営管理、編集部、事務局から成り立つ組織です。

理事会について、これまでは事実上常勤の理事が1名で団体を運営しておりましたが、今後は内部理事と外部理事を分け、さらに内部理事も「常勤」と「非常勤」に分類し、理事会における役割と責任の所在を明確化したうえで、ガバナンス機能が強化される体制を整理してまいります。

あわせて監事も2名体制への変更を予定しており、会計面・業務面においてよりガバナンスの効いた意思決定が可能な体制へと徐々に変更していく準備を進めています。

3.メディアについて

メディアでは、2020年度(2020年11月1日〜2021年10月31日)16本の記事を公開し、約200万人の方に記事を読んでいただきました。2020年度の後半(2021年4月〜2021年10月まで)が活動休止期間であったことから、例年と比較して新着記事の公開本数が減少しています。

(1)記事のテーマについて

2020年度は病気・難病、社会的孤立・貧困に関する記事を最も多く作成しました。その他、当事者の家族・友人、ジェンダー・LGBTQ+、身体障害、精神障害、子ども・若者、女性、知的障害・ダウン症などの記事も公開しています。

【公開記事本数一覧】記事テーマごとの公開本数を掲載。身体障害2記事、知的障害・ダウン症1記事、精神障害1記事、病気・難病3記事、当事者の家族・友人1記事、ジェンダー・LGBTQ+1記事、社会的孤立・貧困3記事、女性1記事、子ども・若者1記事。

昨年度と同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、記事制作を以前のように対面で行えない状況は続いています。多くの取材はオンラインで行い、写真は撮影が可能な際は屋外をメインに、難しい場合は取材対象者の方から提供いただいた写真を掲載したり、イラストを使用しました。

また企画においてもコロナ禍の今必要な情報を考え、実際に新型コロナウイルス感染を経験した方の記事や、コロナの影響で混乱する今をどうとらえるかを考えるような記事を公開しました。こちらは公開直後だけでなく、長期にわたって多くの方に読んでいただいています。

(2)読者数の推移

2020年度の読者数は約200万人で、前年に比べて約134%の増加となりました。また今年度は、約87%の方が検索エンジンを通してアクセスしています。

【グラフ】2016年度から2020年度の読者数推移、流入経由を記載したグラフ。読者数は次の通り推移しています。 2016年度 総読者数は402,097人 うち、検索経由が135,505人。SNS経由が107,912人。その他が158,680人となりました。 2017年度 総読者数は2,615,442人 うち、検索経由が2,016,730人。SNS経由が298,22人。その他が300,491人となりました。 2018年度 総読者数は2,125,512人。 うち、検索経由が1,585,582人。 SNS経由が358,985人。その他が180,945人となりました。 2019年度 総読者数は1,483,009人。 うち、検索経由が1,040,959人。SNS経由が279,175人。その他162,875 人となりました。 2020年度 総読者数は1,986,014人。 うち、検索経由が1,735,865人。SNS経由が131,886人。その他118,263人となりました。

(3)検索エンジンを通してのアクセスについて

2020年度は後半の7ヶ月間が活動休止期間であったものの、検索エンジンを通じて過去の記事にアクセスしてくださる方は増加したことから、結果として昨年度よりも多くの読者に記事を届けることができました。

最近の傾向としては、病名や特性名のキーワードだけでなく、「自分の意見 涙が出る 病気」「すぐ顔が赤くなる」といった悩みや状態を直接検索し、記事を読んでくださる方が増加していました。検索エンジンからのアクセスが多かった5記事と、どんなキーワードで検索をしてその記事を読んでくださっているのかご紹介します。

 

大切な気持ちを話すと、涙が出てしまう。私がそんな性質と付き合えるようになるまで/あかしゆか

【イラスト】紙を腕にかかえ涙を流す女性

「心の奥底にある気持ちを話そうとすると涙が出てきてしまう」という、体質に関する悩みについて、内科医の鈴木裕介先生にお話を伺ったコラム記事。

検索ワード
・自分の意見 涙が出る 病気
・人と話すと涙が出る 原因
・本音を言うと涙が出る
・泣きたくないのに泣いてしまう
・すぐ泣いてしまう

 

「なぜ私だけ顔が赤くなるんだろう」赤面症に悩んだ私が見つけた症状とのつきあい方

【写真】見晴らしの良い場所で笑顔をみせるすがわらちかさん

さまざまな場面で顔が赤くなる「赤面症」を経験した菅原千佳さんご自身に綴っていただいたコラム記事。

検索ワード
・赤面症
・赤面症 治し方
・すぐ顔が赤くなる
・暑くなると顔が赤くなる 対策
・運動 顔 赤くなる 対策

 

生まれつき肌や髪の色素が少ない「アルビノ」とは?

生まれつき肌や髪の色素が少ない「アルビノ」の症状、当事者の声、サポート団体について解説したsoar dictionaryの記事。そしてこちらの記事にも登場する薮本舞さんへのインタビュー記事にも、多くのアクセスがありました。

検索ワード
・アルビノ
・アルビノとは
・アルビノ 日本人
・アルビノ 人間
・アルビノ 人

 

「親に愛されたかった」そんな自分の心を満たしたら、世界の見え方が変わった。アダルトチルドレンの経験を発信するナナチルさん

【イラスト】胸に手をあてながら上を向き、明るい表情のななちるさん。ななちるさんの髪は長い。

子ども時代に親との関係で何らかのトラウマを負ったと考えている「アダルトチルドレン」としての経験を、ナナチルさんに綴っていただいた記事。検索キーワードからは当事者の方が情報を探しているであろう切実な思いが感じられます。

検索ワード
・アダルトチルドレン
・愛情不足 大人 どうすれば
・愛されたかった
・ac 治った
・アダルトチルドレン 克服

 

手の指が3本で生まれてきた娘に「なんでみんなと違うの?」と問われて。先天性四肢障害がある子どもと家族が支え合う仕組みをつくる浅原ゆきさん

【写真】笑顔で娘さんを抱きしめる、あさはらさん

手の指が3本で生まれてきた子どもを育てているお母さん、浅原ゆきさんのご経験や、先天性四肢障害の子どもと家族をサポートする活動についてを綴っていただいたコラム記事。

検索ワード
・先天性四肢障害 いつわかる
・四肢欠損症
・指がない 赤ちゃん 原因
・先天性四肢障害
・先天性四肢欠損症 原因

 

(4)メディアの検索メニューについて

2020年1月に行ったサイトリニューアルから1年以上が経過しましたが、新たに実装した「困難のかたち」「サポート種類」「悩みや願い」の3つの検索メニューから記事を探せる機能は、多くの方が利用してくださっています。

特に、「悩みや願い」の「大切な人をなくした時」や「見た目との付き合い方」のクリック数が多く、読者のみなさんがどういった困りごとや興味関心を持って記事を検索してくださっているかが推測できました。これらの結果は、今後の記事制作にも活かしていきます。

【図】検索メニューのクリック上位ランキング図。困難のかたち (1)病気・難病 (2)知的障害・ダウン症 (3)精神障害 サポート種類 (1)心のケア (2)居場所・コミュニティ (3)対人支援サービス 悩みや願い (1)大切な人をなくした時 (2)見た目との付き合い方 (3)心の回復を考える

(5)多くの方に読んでいただいた記事の紹介

続いて、2020年度に公開した、反響が大きかった記事を紹介します。

「ポジティブな言葉に感じてしまうしんどさ」について考える。僧侶・藤田一照さん

【写真】笑顔でこちらを眺めるふじたいっしょうさん

ライター自身が感じていた「ポジティブな言葉や空気にしんどさがある」という気持ちとどう向き合っていけばいいのか僧侶・藤田一照さんとともに考えた企画。「共感した」「安心した」といった感想が多く寄せられました。


新型コロナウイルス感染を経験した秋本可愛さん
【写真】カメラを見ているあきもとさん

新型コロナウイルス感染から回復までの過程や、抱えている葛藤やその事実をどう周囲に伝えたかなど、秋本さんご自身の経験を綴っていただきました。まだ新型コロナウイルスを経験した方の発信が少なかった公開当時、たくさんの「リアルな体験記を知れてよかった」といった反響がありました。

(6)読者のみなさんからの声をご紹介

SNSやメール、感想を投稿するフォーム等を通して、読者のみなさんから下記のように、様々な感想をいただきました。

本当に素晴らしい内容でした。共感しましたし、学ぶことが多々あって、自然と涙があふれ出てきました。

 

患者さんの治療に関わる仕事をしています。記事にして情報を発信することで、患者さんにどういう症状があるのか、困っていることは何なのか、理解する助けになりました。

 

私の家族も同じ病気を抱えています。本人も辛いだろうけれど、見守る家族も辛いんですよね。記事を読んで、同じ思いの人がいて、嬉しくなりました。

 

地域で高齢者や子どもたちが集まる場所を作りたいと思っています。記事の内容を参考に、どのように進めていくか関係者で勉強したいです。

2020年度は、新着記事だけでなく過去に公開した記事への感想も多くいただきました。記事の公開時期を問わず、情報を必要とするタイミングで必要な方に届いていることを実感しています。

(7)SNSの登録者推移

soarでは、Facebook、Twitter、Instagram、noteなどのSNSを運用をしています。それぞれのプラットフォームで様々な読者と出会い、繋がり、情報を届けています。2020年度、Twitterは21,055人、Facebookは10,827人、Instagramは6,266人、noteは1,766人の方にフォローいただきました。

【グラフ図】SNS登録者推移。ツイッター 3,798人→8,821人→16,621人→ 21,268人→21,055人(2016年度→2017年度→2018年度→2019年度→2020年度) フェイスブック 4,706人→7,645人→9,947人→ 10,830人→10,827人(2016年度→2017年度→2018年度→2019年度→2020年度) インスタグラム 1,397人→4,677人→5,890人→6,407人→6,266人(2016年度→2017年度→2018年度→2019年度→2020年度) ノート 1,739人→2,160人→1,766人(2018年度→2019年度→2020年度)

(8)発信活動休止中のポリシー策定について

発信活動の休止期間中、編集部では記事制作を停止し、メディアポリシー著作権ポリシーの策定に取り組みました。

このポリシーは、メディアの影響力を自覚し、正確性と誠実さを担保すること。そして「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる」というsoarのビジョンに沿って、読者に価値がある情報を届けることを、改めて決意するとともに、メディアに関わる関係者一人ひとりが互いを尊重しあったコミュニケーションのもと、個々の権利と安全が守られる活動環境をつくることを目的として制作しました。

またどちらのポリシーも、スタッフ、取材対象者、読者と様々な方が関わる組織として、関係者全員の権利と安全が守られること、何か起きた時は適正な手続きを踏んで対応をすることを、多くの人に理解しやすいように伝えたいと考え、可能な限り具体的なプロセスの記載を入れています。

例えばメディアポリシーでは、記事が特定の人や場への不当な利益や特権に繋がったり、差別偏見や権利侵害の助長をもたらす可能性を考慮し、記事制作を行う基準や扱うテーマについてだけでなく、修正や取り下げをする際の基準を記載。

著作権ポリシーにおいては、著作権法のわかりにくさから利活用がしづらい現状を踏まえ、一般的な著作権法に沿った記載だけでなく、soarの著作物を適切に利活用いただけるよう使用例や使用する際の要件などを具体的に記載しました。

そしてメディアポリシーと著作権ポリシーに付随して、著作権侵害が起こった際に問い合わせいただく「著作権侵害に関する申請フォーム」、記事内容の誤りや、該当記事の制作関係者が権利侵害を行っている場合などに問い合わせいただく「記事修正・非公開申請フォーム」も開設。それぞれお問い合わせページからアクセスしていただくことができます。

今後もそれぞれ定期的に振り返りを行い、社会やsoarの活動の変化に伴って、見直しや改訂をしていきながら運用をしていく予定です。

 

4.イベントの開催について

soarの活動を伝える機会として、団体の活動説明会や記事に登場していただいた方などをお招きしたトークイベントを、定期的に開催しています。

2020年度も新型コロナウイルスの流行により、イベント会場で人が集う形式でのイベント開催が難しく、ZOOMを使ったオンラインイベントを行いました。

オンラインイベントの実施により、これまでご病気で直接イベント会場への参加が難しかった方、自分の特性を周囲に知られることが憚られる方、遠方にお住まいの方、子育てや介護中の方、対面で人と会うことが苦手な方と、様々な理由でイベントへの参加が難しかった方々にもご参加いただける機会をつくることができました。

また、参加者のご希望を伺いながら、UDトークやZOOMチャット機能の活用など合理的配慮の対応を実施してきました。この他、当日の参加形式については「映像オフで音声のみの参加」や「視聴のみの参加」といったように、参加者自身が状況に応じて無理のない参加方法を選択いただける仕組みを取り入れました。

これからも定期的にイベント運営方法を見直しながら、ひろく読者のみなさんにご参加いただけるイベントを実施していきたいと考えています。

(1)活動説明会

活動説明会は、soarが法人化以降、継続的に実施してきた事業の1つです。具体的には、soarが生まれるまでのストーリーや、メディアの運営を含めた法人の多様な活動内容、今後目指していきたい未来、スタッフが活動する上で大切にしていること、取材やイベントを通して感じたエピソードなど、読者のみなさんに直接お伝えする機会となっています。

2020年度の開催数は、計4回。のべ90名の方々にご参加いただき、マンスリーサポーターとして活動を支えてくださる方、ご自身の活動について取材させて頂いた方など、活動説明会をきっかけに様々な形で関わってくださる方々と出会うことができました。

「必要になったときにすぐ手が届くような、情報が欲しいと思ったときにすぐアクセスできる場所にいる存在でありたい、というお話が印象的でした」というメディア運営についての感想や「soarがメディアに留まらず、1つのムーブメントなのだと感じることができました」「スタッフの方々の生の声を聞くことができて、一方的な説明ではなく、soarの文化を身近に感じることができてよかったです」といった活動全体やスタッフの働き方など、様々な側面でsoarをご理解いただく機会となりました。

(2)イベントやワークショップの開催

2020年度、イベントは計4回開催し、のべ125名の方にご参加いただきました。

一人ひとりの困りごとや対処法を仲間とともに研究する「当事者研究」を広めていくプロジェクト「#やってみよう当事者研究」のワークショップでは「悩みをシェアしていた人が、他の人と話していく中で、自分から解決策を思いついたりしていく様子が印象的だった」といった感想をいただきました。

また、2020年11月26日に開催したトークイベント「インクルーシブな社会をつくるため、“文化の多様性”を育むビジネスとは?」の参加者からは「自由さというのを大切にして、自ら様々なことに挑戦をしていきたいと思った」「登壇者はインクルーシブという言葉をほぼ使っていないのに、みなさんがその本質を語られていたのが印象的だった」といった感想を寄せていただきました。

イベントの記事はこちら
「スキルや知識だけでなく、“その人だけが持つ経験”が価値になる」インクルーシブな社会をつくるビジネスのあり方を考える

どちらのイベントも共通して、答えや解決策を出すのではなく、参加者、ゲスト含めてイベントに集う一人ひとりがじっくりご自身の考えを深め、気づきにつながる時間を作る成果につながったと考えています。

これからもメディアで紹介した事例はもちろん、読者のみなさんと新たに探求したいテーマを設けたトークイベントやカンファレンスを開催してまいります。

 

5.2020年度のその他の活動

企業や学校との協働事業の実施

2019年度から継続して、株式会社リブセンスの社内向け研修「“常識”を考え直すワークショップ」を、リブセンス、株式会社ミミクリデザイン、soarで共同設計・開催しました。

2020年12月2日から2021年1月6日まで実施したワークショップのテーマは「ジェンダーバイアス」。ワークショップ当日は、参加者が自身や社会の中にある「常識」と「バイアス(偏見)」をじっくり考える時間となりました。また、リブセンス社内だけでなく、社外の参加者も募り、様々な対話や意見交換がなされました。

この他、継続して子ども・学生たちへの教育活動も行なっており、2020年度は潤徳女子高等学校の授業で「多様な性の生き方」というテーマで、soarで以前取材させていただいたLGBT当事者の方をゲストにお招きし、ご自身の活動についてお話いただきました。

 

6.ご寄付について

 

(1)個人寄付

soarは、月1000円からの「soarサポーター」のご寄付でメディア運営をしています。2021年10月末日時点で616名の方にサポートいただきました。

メディアに掲載している様々な記事ができるまでには、長く丁寧なプロセスがあります。このプロセスは、社会課題にまつわるテーマを取材し記事を届けていくためには欠かせません。

いつもご寄付でsoarを応援していただいているサポーターのみなさん、本当にありがとうございます。

今年度は活動休止のため、10ヶ月にわたり記事公開も停止していましたが、2021年12月の活動再開から現在(2022年4月13日)までに4本の記事を公開し、引き続き記事制作や公開に向けて準備を進めています。

引き続き、「全てのひとが自分の可能性を活かして生きる未来」をつくるため、soarサポーターを募集しています。ぜひ、月1000円からのご寄付でsoarを応援いただけたら嬉しいです。

 

(2)法人寄付

また、活動に共感し支援してくださる企業・団体の皆様を対象とした法人サポーターとして、「一般社団法人あおい福祉AI研究所」様が私たちの活動を支援してくださいました。

引き続き、soarの活動を支えてくださる法人サポーターを募集しています。ご興味をお持ちの法人様は、こちらよりぜひお問い合わせください。


7.会計についてご報告

(1)2020年度・収益の内訳について

2018年度から2020年度までの収益を比較したグラフ図。

 

2018年度に25,283,574円(サイトリニューアルのためのクラウドファンディング収益10,471,000円を含む)、2019年度に14,775,895円だった全体の収益は、2020年度は9,705,683円と前年度より大幅に減少しました。新型コロナウイルスによる自主イベント開催の中止、活動休止の影響による寄付や収益の減少が要因となっています。

【円グラフ】2020年度の収益内訳を掲載。寄付が全体の86%、ついでメディア運営事業が9%、イベント収益が5%と続く。

 

(2)2020年度・費用の内訳について

【円グラフ】2020年度の費用内訳を記載。人件費68%、事業費16%、その他経費17%と続く。

 


2020年度の費用については、人件費が68%、事業費が16%、その他経費が17%となっています。活動休止期間中、スタッフは各種お問い合わせへの対応や関係者へのご説明、通常どおりの事務局運営作業、CoCや各種ポリシー策定等の業務にあたっておりました。

(3)2020年度の活動計算書について

2020年度の活動計算書の詳細はこちらのPDFに記載しております。

NPO法人soar活動計算書

 

8.スタッフからのメッセージ

soarはスタッフ、インターン、ボランティアなど、様々なかたちで運営に携わっています。メンバーはそれぞれに、soarの目指す未来への思いを持って活動しています。ここでは、一部のsoarメンバーたちの業務や思いについてご紹介します。

(1)名前
(2)soarで担当している仕事
(3)これからsoarでチャレンジしたいこと

 

 

【写真】副代表のモリジュンヤ

(1)モリジュンヤ
(2)経営管理等を担当
(3)soarのビジョンの実現に向けて、団体が持続的に活動できるようにするための事業や組織の体制づくり、ガバナンスの強化のための仕組みづくりなどを担当しています。ウェルビーイングに働きながらも、社会的インパクトを創出できるチームに成長できるよう、引き続き挑戦していきたいと思います。

 

【写真】編集部スタッフのまつもとあやか

(1)松本綾香
(2)記事企画のディレクション、編集、執筆、メディア運営全般
(3)昨年度に続きコロナ禍で、人と直接顔を合わせる機会が少なくなっていますが、そんな今だからこそ必要な情報は何かを考え続けていきたいと思います。社会情勢とともに、人が直面する困難や、それに対するアプローチも変化してきていることを感じます。記事制作においても変化を受け入れながら、新たなテーマや切り口での企画にも挑戦していきたいです。

 

【写真】編集部スタッフのおのでらりょうこ

(1)小野寺涼子
(2)記事の企画・進行、メディア運営
(3)今年度soarにジョインし、取材を受けてくださる方の力強いメッセージや読者の皆さまからの温かい言葉に心を動かされた一年でした。これからも自分自身のあり方を振り返りながら、社会の動きや人の思いにしっかりと目を向けて、記事制作に取り組んでいきたいと思っています。

 

【写真】事務局スタッフのこうのなおこ

(1)河野奈保子
(2)経営管理、メンバーマネジメント、団体広報や採用等活動に関わる事務局業務やイベント運営全般を担当
(3)2020年度は組織や団体運営の見直しや新たな体制や仕組みづくりに注力してきました。これからもCoCやポリシーをベースに、事業を通して一人ひとりの可能性を活かす学びやコミュニケーションの機会を作っていきたいと考えています。

9.最後に

2020年度は活動体制等の改善に向けた取り組みのため、一部情報発信等の業務を除き、対外的な活動を一旦全て停止しており、読者や関係者のみなさまにご心配、ご迷惑をおかけいたしました。

私たちはこれからも「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」を目指し、多様性を増していく社会の中で変化し続けることを恐れず、常に自分たちの行動が環境や社会に与える影響とその責任を自覚しながら活動していきたいと思います。今後もビジョンの実現に向けて、メディアをはじめとした様々な事業を実施してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

制作メンバー:河野奈保子、松本綾香、小野寺涼子、工藤瑞穂、
デザイン:谷口舞